アニメで「カット」されたマンガの人気場面 短くてもないと大違い?
マグミクス / 2023年10月9日 18時10分
■「飛天御剣流」から実質的に消された「土龍閃」
原作人気の高いマンガがアニメ化されれば、原作の再現度に注目が集まるものです。しかし脚本、放送時間の都合などで、原作にあったはずのシーンが泣く泣くカットされてしまうことも少なくありません。これまではどんな改変が行われてきたのでしょうか。「週刊少年ジャンプ」の作品から、近年話題になった例を振り返ります。
最近話題になったのが、2023年に再アニメ化をはたした『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』第5話のひと幕です。主人公・緋村剣心と喧嘩屋・相楽左之助による戦いが描かれ、そこへ横槍を入れようとした比留間喜兵衛に対して「飛天御剣流」の技「土龍閃(どりゅうせん)」が披露される……というのが原作の内容でした。
「土龍閃」は刀で地面に衝撃を与え、相手に土石をぶつける技です。原作では一度きりしか登場しないレアな技なのですが、今回のアニメ版では使用されず、代わりに高速乱撃「龍巣閃(りゅうそうせん)」に変更されていました。
ちなみに1996年に放送された旧アニメ版では、「土龍閃」があらゆる場面で使われています。そんな背景も相まって楽しみにしていたファンも多かったようで、ネット上には「なんで土龍閃カットしたの!?」「土龍閃カットされたの普通につらい」「剣心といえば土龍閃だったのにな……」といった声が相次いでいました。
ほかにも一部ファンの間で物議を醸したのが、アニメ『鬼滅の刃』第20話「寄せ集めの家族」にて、蟲柱・胡蝶しのぶと姉蜘蛛が対峙したワンシーンです。
しのぶは姉蜘蛛の降伏をやさしく受け入れたかと思えば、一転して「人を殺した分だけ私がお嬢さん(姉蜘蛛)を拷問します」「人の命を奪っておいて何の罰もないなら殺された人が報われません」という恐ろしい言葉を放ちます。この場面、原作では「だめだめ」という手書き文字が添えられていますが、アニメ版ではカットされていました。
本当にちょっとしたシーンなので、カットされても仕方がないとはいえ、ファンからは「しのぶちゃんの『だめだめ』好きだったから残念だった」「ここがかわいいから胡蝶しのぶのサイコぶりが光るのに……」といった声が挙がっていました。またしのぶの担当声優が早見沙織さんということもあり、早見ボイスの「だめだめ」を楽しみにしていた人が多かったようです。
また、アニメ『BLEACH 千年血戦篇』の第3話「MARCH OF THE STARCROSS」でカットされた護廷十三隊総隊長・山本元柳斎重國の「もうよい」のカットには、賛否両論が巻き起こりました。
これは隊首会と呼ばれる会議にて、十二番隊隊長・涅マユリから「見えざる帝国(ヴァンテンライヒ)」に関する報告を受けた際のセリフです。敵が死神の奥義「卍解」を封じる可能性があると進言を受けたのですが、何を思ったのか山本元柳斎は「もうよい」と話を遮ってしまいます。
結果的に「見えざる帝国」と激突した際、各隊長たちは「卍解」を発動してみすみす奪われてしまうのです。これを受けてマユリが「信じられん馬鹿共だヨ」と正論をぶつけるのも相まって、読者に強烈なインパクトを残しました。
ところが、アニメ版では実に自然な流れでカットされており、SNS上で大きな話題になったようです。ネット上でイジられていたシーンなので、今回の決断を「『もうよい』みたかったけど、改編としてはいい判断だと思う」と支持する人もいれば、「もうよいカットしたら『山爺有能』になっちゃうじゃん」と不満を漏らす人もいたようです。
原作シーンのカットは賛否両論を呼びがちですが、差別化を図るという意味では必要な判断かもしれません。
(ハララ書房)
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