何か変なオチでトラウマ？ サザエさんに「異変」が起きた約15年前の謎の回

■冬が近付くと思い出すエピソード

　長年、日曜日の夕方を楽しませてくれているTVアニメ『サザエさん』は、毎回、視聴者を愉快な気持ちにさせてくれます。しかし、そんな『サザエさん』も、たまに気味の悪い終わり方をしたことがありました。なかでもネットでたびたび話題になり、「トラウマ回」とも言われるエピソードがあります。どのような内容だったのでしょうか。

『サザエさん』の2007年1月21日に放送された「こたつ依存症」というエピソードは、よく分からない、不気味とも言えるエンディングを迎えます。

　この物語は冬の寒い日に、カツオが走って学校から帰ってくるところから始まります。サザエさんは料理を作りながらも、寒さをしのぐため、こたつの出入りを繰り返していました。そんなサザエさんを見かねたカツオは、「こたつがひとつしかないとほんと不便だよ」といい、友達から子供部屋用に小さいこたつを借りて来ます。

　その後、フネは波平が冷えて帰ってくるだろうからと気を利かせ、波平の部屋に小さいこたつを移動させると、その夜は波平とマスオがそのこたつで暖を取りながら晩酌をすることになりました。一方カツオやワカメたちは、リビングの大きなこたつで温まっている様子が描かれています。

　夜になり愛猫のタマを探すカツオとワカメですが、リビングのこたつにタマはおらず、フネが就寝準備をしているときに、小さい方のこたつからタマが現れました。タマはリビングのこたつに向かい、磯野家は全員就寝することとなるのですが、その就寝シーンの後、問題の奇妙なラストが描かれます。

　時計の音のような不思議なBGMとともに、誰も居ない暗いリビングのこたつが映し出されたのです。そしてこたつからタマが出てきたかと思ったら、磯野家のみんなが同じこたつに入り楽しく話をしているイメージの絵が映り、そのまま終了してしまいました。

　ネットでは今もこの回が話題になっており、「リアルタイムで見てたけど、最後のシーンの意味が解らなくて怖かった。今見ても気味が悪い」「オチでそのエピソードが終わったことが気付かなくて困惑した」「シンプルに真っ暗な居間が怖い」「途中からサザエさんが出てこなくなるし、オチもよくわからんし怖い」と、不気味に感じる声が多くありました。

　このラストシーンにはさまざまな解釈があるようで、「サザエさんが死んでいる説」「タマ目線の話説」「家族団らんを強調したい説」などがあります。

「サザエさんが死んでいる説」は、このエピソードの途中、夕飯が終わった後からなぜか主人公・サザエさんが全く出てこなくなってしまうことから考えられているもので、ネットでは「サザエさんが出てこないのは彼女の死を暗示しているのでは？」と考える人もいるようです。

「タマ目線の話説」は、このエピソードの主役はタマではないかという解釈です。ラストシーンで無人のこたつから出てきて、くしゃみをして去っていくタマを見て「やっぱり家族の誰かと一緒にこたつに入ってないと寒いし寂しいだけだ。とタマが感じているのでは」という解釈もネットでは見られました。

「家族団らんを強調したい説」は、『サザエさん』はどんな回でも家族愛を感じられるエピソードを盛り込んでいるため、｢最後に無理やりでも家族愛を描きたかったのでは｣という解釈です。

　その他、劇中でワカメが「こたつは家族みんなで入るべき」という旨を語っているため、と家族の存在が大切だということを伝えたかったのではないかという声が見られました。似たような意見で、「こたつ自身も家族全員が入ってワイワイしてくれないと寂しいと思っているのかな？だからこたつに誰もいないカットを入れたのではないか。」という声もありました。

　また、「家族団らんの時間が少なくなっているという社会の風潮がある。そんな近年の家族関係を見直そうってことかな？」と、21世紀に入ってから作られたが故の物語の意図の解釈もあるようです。

　さまざまな解釈がある奇妙な回「こたつ依存症」ですが、このエピソードに込められた真意はいかなるものなのでしょうか。ひとつの回にさまざまな解釈が出る、『サザエさん』がたくさんの人に愛されている証拠でしょう。磯野家にはいつまでも楽しい一家でいてほしいものです。

（LUIS FIELD）