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手塚治虫「ブラック・ジャック展」六本木で開催中 時代背景ふまえ、多角的に物語を読み解く 連載50周年で

マグミクス / 2023年10月11日 17時10分

手塚治虫「ブラック・ジャック展」六本木で開催中 時代背景ふまえ、多角的に物語を読み解く 連載50周年で

■ブラック・ジャックの「魂の叫び」が迫ってくる

 2023年10月6日(金)から11月6日(月)にかけて、連載開始から50周年を記念した「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が六本木ヒルズ森タワー52階「東京シティビュー」で開催中です。500点以上の原稿や連載当時の「週刊少年チャンピオン」といった貴重な資料に加え、ファンが楽しめるフォトスポットなども用意された展示の様子をレポートします。

 迫力あるブラック・ジャックのキービジュアルに見守られながら会場入りした方がまず目にするのは、海抜250メートルの屋内展望回廊の壮大な空間に据えられた展示です。窓面には東京の絶景をバックに『ブラック・ジャック』の名セリフが貼り付けられています。特に目立つのが、ブラック・ジャックとピノコ、そして去り行くDr.キリコの後ろ姿が描かれたビジュアルで、刻まれたブラック・ジャックの魂の慟哭は見る人の心を揺り動かす哀愁に満ちています。

 また、ブラック・ジャックとピノコが過ごした家の間取りを再現したフォトスポット「ブラック・ジャック邸」も用意されており、登場キャラクターになり切って記念撮影ができるのも大きなポイントでしょう。

 エントランスから通路を進んだ先の第1室が「B・Jとキャストたち」のエリアです。ブラック・ジャックらお馴染みのキャラクターのスタンディと自由に写真が撮れるフォトスポットとなっているので、思い出作りをしてみてはいかがでしょうか。

 フォトスポットを過ぎると、いよいよ数多くの展示品が待ち受けているエリアに。第2室「B・J誕生秘話」では、当時の手塚氏を追い込んだ劇画全盛時代のマンガ雑誌や、「虫プロ」倒産時の新聞記事、「虫プロ」時代の写真や『新寶島』の単行本などが展示されています。

 さらに鉄腕アトム関連の動画や資料に加え、手塚氏が医大生時代に書き残したノートを始めとする医療関係の資料にブラック・ジャック第1話の原稿など驚愕の資料が続々と姿を現します。当時を知る関係者による『ブラック・ジャック』誕生にまつわるエピソードが語られる動画も上映されており、連載スタート当時の状況をつぶさに知ることができるでしょう。

■なぜお金にこだわる? 多様な切り口で物語と原画をひもとく

『ブラック・ジャック』で描かれた物語を多様なテーマごとにまとめた展示では、貴重な原画もたくさん鑑賞できる。画像は「母なるもの」をテーマにまとめられたエピソード群

 第3室「B・J曼荼羅」には壁一面に『ブラック・ジャック』の原稿が並べられており、見る者を圧倒する迫力を感じさせます。ブラック・ジャックの人生遍歴や、なぜ彼がお金にこだわるのかなど多種多様なストーリーを「ピノコ」や「母」「人でないものの命」「私が愛した医師」「スターシステム」など、キーワードごとにエピソードを展示しています。その数は実に140話分。多数の原画も合わせて展示されており、『ブラック・ジャック』の世界を思う存分味わうことができるエリアとなっています。

 第4室「B・J蘇生」では、人体の手術シーンを現代アート的な視点から鑑賞する展示や、連載当時の昭和の事件や出来事から作中に取り入れられた要素を読み解くコーナーも展開されています。当時のニュース映像なども流されており、懐かしい映像や音声とともに過去を振り返りながら、現代にも通じる『ブラック・ジャック』の魅力や普遍的テーマを感じ取ることができるでしょう。

 また、開催前日の10月5日には、慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章氏をファシリテーターとし、ゲストに手塚治虫氏の息子にしてビジュアリストの手塚眞氏とアーティストの長谷川愛さんを迎えた、開催記念トークショーも行われました。

 宮田氏は、『ブラック・ジャック』が医者からどれだけのリスペクトを受けているのかを解説し、手塚氏は「家業」として手塚作品と向き合っていることや、かつて監督として携わったTVアニメ版では、番組を見た子供がショックを受けてはいけないと、原作で動物が死ぬシーンをあえて変更した……といったエピソードなどを語りました。

 自身にとって印象深いエピソードを聞かれた長谷川さんは、怪我をしたシャチが治療を求めて真珠を持ってくる「シャチの詩」を挙げるなど、1時間にわたって濃密なトークが繰り広げられました。

『ブラック・ジャック』は、人の生死と切り離せない「医療」という題材を、多様なキャラクターと豊富な知識とエピソードで編み上げた、唯一無二の作品です。「手塚治虫 ブラック・ジャック展」は、変化し続ける時代や視点を行き来しながら『ブラック・ジャック』の魅力を掘り下げています。連載当時からのファンはもちろん、いまの若い世代にとっても楽しめるイベントとなるでしょう。

●「手塚治虫 ブラック・ジャック展」
2023年10月6日(金)から11月6日(日)まで、「東京シティビュー」(六本木ヒルズ森タワー52階)にて開催。開館時間10:00~22:00(最終入場21:00)、当日券はチケットカウンターまたは券売機(六本木ヒルズ森タワー3階)で販売、一般 平日2300円、土休日2500円、学生(高校・大学生)平日1700円、土休日1800円、シニア(65歳以上)平日2000円、土休日2200円、4歳未満は無料。

※手塚治虫の「塚」は旧字体が正式表記です。

(早川清一朗)

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