信じた読者も多い? 『男塾』の身近なスポーツに関する「民明書房のウソ知識」
マグミクス / 2023年10月15日 10時25分
■民明書房が示すスポーツのとんでもルーツ
1980年代後半から1990年代 にかけて「ジャンプ黄金期」と呼ばれる時代を築いた作品のひとつに、『魁!!男塾』(作:宮下あきら、連載開始:1985年) があります。破天荒なバトルと熱い友情を描いた同作は、多くの読者を釘付けにし、人気を博しました。
そんな『魁!!男塾』には大正15年(1926年)に創業されたとされる「民明書房」という謎の出版社が登場し、そこから出版している書籍からの引用という形で、語源やスポーツ、自然科学、歴史、拳法など多岐にわたる情報について独特の解説がくり広げられました。本記事では、スポーツの秋にちなんで、民明書房が解説した「スポーツのルーツ」を3つ紹介します。
ひとつ目のスポーツは、本来は英国発祥というのが定説であるゴルフです。民明書房の書籍「スポーツ起源異聞」によると、ゴルフのルーツは英国ではなく中国であるとのことでした。
ゴルフスイングに酷似した方法で棍を操り、弾を打ち出して攻撃する「纒ガイ狙振弾(てんがいそしんだん)」の創始者・呉竜府(ごりゅうふ)の名前がゴルフのルーツだというのです。今見ればとんでもない話だと思うのですが、SNS上では当時を思い出して「信じていた」との声が多く見られ、作品の影響力の大きさがうかがえます。
また、2023年のワールドカップでは惜しくも日本が負けてしまった「ラグビー」も、民明書房にかかれば、全くの別物になってしまいました。民明書房の『ヨーロッパ中世スポーツ起源』によると男塾名物「羅惧美偉(らぐびい)」のルーツは、ラグビーの発祥の地、中世のイギリス・イングランド地方にあるとのことでした。ちなみに、実際のラグビーは1823年にイングランドの名門私立学校の「ラグビー校」で、ウェブ・エリスという選手がフットボールの試合中にボールを手に持って走ったのが起源とのことです。
『ヨーロッパ中世スポーツ起源』によると、男塾で行われている羅惧美偉は、中世の王侯たちが自分の持つラグビー(の原型)のチームを強くするために行われた「残虐な練習方法」のひとつでした。なんと、羅惧美偉では乱闘や武器の使用が許され、さらに両チームの選手は毒を飲んだ状態で戦います。そして、トライを決めた側のチームだけが、ボールのなかにある解毒剤を飲めるという内容でした。
X(旧Twitter)で「羅惧美偉」と検索すると、ワールドカップの試合を見ながら『男塾』を懐かしんでいる人が多々いたことが分かります。どうしても思い出してしまう人が多いようです。
日本の国技「相撲」も、『男塾』で意外なルーツが明かされました。民明書房の『相撲人生待ったなし』では、日本の相撲に類似した格闘技のひとつ・モンゴル相撲について書かれています。
古いモンゴル相撲の歴史のなかで、『相撲人生待ったなし』では17世紀に時の暴君・ジミヘカーンによって発案された「地獄相撲(チャガ・ポルテ)」の記述がありました。地上15mの高さの土俵で行われる命がけの戦いで、最強の戦士と言われたのが「ドスコイカーン」です。そんな彼の名前から、日本の相撲でお馴染みの掛け声「どすこい」が生まれたという説もあることが書かれています。
段々と、「トンデモ解説」のレベルが上がっていった『魁!!男塾』には、他にも「太公望書林」「英学館」「時源出版」「ミュンヒハウゼン出版」など、いろんな知識を教えてくれる架空の出版社が出てきました。今の時代だと、もしかしたら「誤った情報を教えるな!」とクレームが出てしまうかもしれませんが、この自由さこそ同作の大きな魅力だったと言えます。
(LUIS FIELD)
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