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TVアニメ『SLAM DUNK』放送から30年 ファン待望の「山王戦」映像化が長い道のりになったワケ

マグミクス / 2023年10月16日 6時10分

TVアニメ『SLAM DUNK』放送から30年 ファン待望の「山王戦」映像化が長い道のりになったワケ

■アニメ放送で人気が爆発した

 10月16日は1993年に『SLAM DUNK』のTVアニメが放映開始した日。今年は30年目のメモリアルイヤーになります。近年、劇場版として製作され、いまなお高い注目度を集める本作の魅力について振り返ってみましょう。

 本作の原作マンガが連載されたのは「週刊少年ジャンプ」1990年42号です。最初の頃は安定した人気作でしたが、誌面の頭を飾るほどの作品ではありませんでした。人気が急速に高まったのは陵南との練習試合以降でしょうか。その後、三井寿の加入あたりから誌面冒頭が定位置になっていきます。

 そしてTVアニメとなったのは、海南対陵南戦が連載中だった頃。連載ストックが3年ほどあったので、余裕のあるTVアニメのスタートでした。このアニメ化による相乗効果で原作マンガの注目度も上がり、「ジャンプ」では『ドラゴンボール』に続く人気作の地位を不動のものとします。

「ジャンプ」の歴代最高部数653万部を達成した1995年3・4号では、巻頭カラーを飾ったことからも当時の人気の高さがうかがえるでしょう。TVアニメも番組改編期にスペシャル番組を放送、劇用版も4本も製作されるなど、高い人気を維持していました。

 TVアニメで特筆する点はやはり主題歌でしょうか。どの曲も印象深く、ほとんどがTVアニメ作品の主題歌としては異例のミリオンセラーを記録しました。

 しかし、連載作品のTVアニメ化にとって最大の障害である「ストーリーが原作マンガの連載に追いついてしまう」という理由から放送終了となります。TVアニメではオリジナルの展開で、湘北が陵南と翔陽の混成チームと練習試合し、花道が合宿シュートを初披露するというところが、最後の見せ場となりました。

 その後、湘北メンバーが全国大会へと向かうところでTVアニメは全101話で終了。時期を置いての再開も予想される展開で幕を閉じました。ちなみにその時期の原作マンガの連載は、山王戦も佳境に入ったころ。アニメとしても、これ以上のオリジナル展開を入れて引き延ばすことはむずかしかったでしょう。

 ところが、原作マンガはこの3か月ほど後の1996年27号で連載終了します。当時のファンとしては青天の霹靂(へきれき)。これならばTVアニメを最後まで放送してほしかったという声が当時は多く聞かれました。

 こういったことから長年の間、アニメで『SLAM DUNK』の最後まで製作してほしいという声は常にあったわけです。それゆえに2022年に公開され、初アニメ化となった山王戦を描いた『THE FIRST SLAM DUNK』は、大きな反響を呼んだ作品となりました。

■アニメでの完結を望んだのはファンだけではなかった

2022年に公開され、クライマックスの「山王戦」を描いた映画『THE FIRST SLAM DUNK』キービジュアル (C) I.T.PLANNING,INC. (C) 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 原作マンガ最終回は異例の巻頭カラーだったことから、本作の人気がまだ衰えていなかったことがわかります。この偉業は「ジャンプ」では『リングにかけろ』、『ドラゴンボール』に次いで本作が史上3度目の作品となりました。

 そういった事情から、本作のアニメ化されなかった全国大会以降のエピソードは、比較的早い段階から制作の東映動画(現在の東映アニメーション)によって企画されていたそうです。しかし、諸般の事情から実現には至っていません。

 結果的に、それが2022年に公開された劇場版『THE FIRST SLAM DUNK』となるわけですが、そこに至るまでは平たんな道ではなかったようです。何度かアニメ化の企画を打診したものの、原作者である井上雄彦先生のOKが出なかったからです。

 しかし幾度も企画が送られてくるなかで、ようやく自分が考えるものに近いものが出てきたことで井上先生が了承し、新作のアニメ制作に結び付きました。そういったこだわりがあったゆえに、井上先生が原作だけでなく脚本と監督を兼務することになったのでしょう。

 しかし、どうして東映アニメーションは『SLAM DUNK』の続編にここまでこだわったのでしょうか。もちろん何度となくファンから全国大会のアニメ化の要望があったことが一因です。しかし、もっと単純な理由もありました。それは社内に『SLAM DUNK』のファンが少なからず存在していたことです。

 東映アニメーション社内の方と雑談すると、『SLAM DUNK』が好きで入社したという人が何人かいました。つまり内部に熱狂的なファンがいたことから、社内の熱量がさめることなく、劇場版として復活する要因となったのかもしれません。

 もちろんそれだけが理由ではないでしょうが、他のアニメ製作会社にも好きな作品を制作したからという理由で入社している人は少なくありません。昨今では数十年ぶりの復活を遂げるアニメ作品が多くありますが、それは人気作品だったからという理由だけでなく、作り手が好きだった作品という点もあるのでしょう。

 こういった作り手側と受け手側の熱量の維持が26年越しで念願の山王戦のアニメ化を実現したのかもしれません。この『THE FIRST SLAM DUNK』の興行収入は国内だけで150億円を超え、現在、日本歴代興行収入7位に位置しています。

 この数字だけ見れば、作品の完結を望んでいたファンは多くいたことがわかるでしょう。いまだに『SLAM DUNK』を熱狂的に支持するファンの思いが作品を動かしたのかもしれません。

(加々美利治)

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