『サザエさん』衝撃の「水着回」 フネがビキニだけでなく「トップレス」にも？

■サザエのビキニは「マスオさんにもお父さんにも内緒」

　昨今のアニメでは、登場人物が海やプールに出かけて水着姿を見せる「水着回」が定番になっています。美少女キャラたちが水着姿ではしゃぐ姿を存分に見せて、視聴者を釘付けにするというわけです。

　しかし、まったくそんなイメージのない国民的アニメ『サザエさん』にも「水着回」があります。しかも、毎回非常に盛り上がっているのです。普段水着にならなさそうなキャラクターが水着姿になるから、盛り上がるのでしょう。

　サザエは、実はたびたび派手な水着姿を披露することで知られています。1976年放送の「ワカメ爆弾メモ」という物騒なタイトルのエピソードでは、部屋で非常に露出度の高いビキニを着て、偶然入ってきたカツオを困惑させていました。サザエは「父さんやマスオさんには内緒よ」と口止めしていましたが、いったいこの水着で何をするつもりだったのでしょう。

　水着姿を披露するのは、24歳のサザエだけではありません。なんと50代のフネも、水着でお茶の間を湧かせたことがあります。

　2019年放送の「海は広いな楽しいな」では、フネは海水浴でサザエのピンクの花柄のセパレート水着を借りて着用しました。しかも、ストラップレスタイプです。フネはサザエと同じく非常にスタイルが良いので非常に似合っており、本人も微笑みを浮かべて満更でもなさそうでしたが、このときは一緒にいたカツオとワカメが周囲からの視線に耐えられなくなり、フネを砂に埋めてしまいました。

■フネのトップレス姿がお茶の間に！

『アニメサザエさん公式大図鑑　サザエでございま～す！』（扶桑社）

　1976年放送の「ふねが水着で」も、インパクトの強いエピソードでした。その名のとおり、リゾート先でフネが水着になることだけに焦点を絞った、まごうことなき「水着回」です。なお、近年は「フネ」あるいは「舟」の表記が一般的ですが、このときはひらがなの「ふね」になっています。

　ある夏の日、サザエ、カツオ、ワカメ、タラオ、フネの5人で海水浴に行きますが、フネは海に入ろうとしません。一緒に海で遊びたいカツオとワカメは水着になることを勧めますが、フネは自分の水着は古いからと言って断ります。

　それでも、まわりに人がいないからとカツオたちに押されて、しぶしぶ着替えたフネが着ていたのは、「シマウマ」と呼ばれる膝まで布がある戦前の古いタイプの水着でした。

　ところが、着替えている間に海水浴場にやってきた団体客から、好奇の視線を浴びてしまいます。あわてたカツオはフネを砂に埋めますが、フネは動けない状態で子犬に顔を舐め回され悲鳴をあげる羽目に。宿に帰ったフネは激怒しますが、カツオとワカメは諦めずに売店で水着を入手しようとします。

　とはいえ、なかなかフネに似合う水着はありません。カツオはスポーティーなワンピース、若者風のセパレート、海女スタイルのフネを想像しますが、どれも今ひとつです。

　そもそも海辺の売店は在庫が乏しく、店主が「海水パンツならあるんだが……」と言うと、ワカメは海パン1枚のトップレス姿で恥じらいながら胸を隠すフネを想像して,「上もないと困ります……」とつぶやきます。すごい絵がどんどん出てきます。当時SNSがあったら、どんな反応だったのでしょう。

　結局、店の奥から出てきた星柄の派手なスカート付きワンピース水着を購入。翌日はそれをサザエが着て、フネはサザエが着ていた黄色いワンピースを着ることになります。

　ところが、ラストで波平とマスオが海辺にやってきたときは、フネが星柄のワンピース水着を着ていました。また着替えたのでしょうか。謎に包まれた終わり方でした。

　ところで、フネのビキニ姿は他にも登場します。なんと、77年の夏に放送されたエンディングでは、セパレートではなくはっきりとしたビキニ姿で恥じらい、ワンピース水着でもまだ恥ずかしがって、太ももあたりまで布がある昔ながらの水着でようやく落ち着くフネの姿が描かれていました。

　もはやこうなると、この時期のスタッフの誰かがフネの水着姿に執着していたとしか思えません。この頃の『サザエさん』はFODで配信されているので、興味を持った方はぜひご覧ください。

（大山くまお）