初代『ガンダム』最大の謎 マ・クベがホワイトベースにとどめを刺さずに引き返す?
マグミクス / 2023年10月21日 6時10分
■ホワイトベースを追い詰めた男、マ・クベ
『機動戦士ガンダム』でホワイトベース隊を苦しめた最強の敵とは誰でしょうか。シャア・アズナブル、ランバ・ラル、黒い三連星など、印象深い名前が次々と挙げられますが、なかでも特にホワイトベースとガンダムを追い詰めたのがマ・クベなのです。
連邦軍内部のスパイを使って情報を入手し、戦局が悪いとみれば水爆ミサイルを使用し、まともにはやりあえないと見れば罠を張る。パイロットと言うより策士としての側面が強いため印象には残りづらいのですが、ホワイトベースもガンダムも、それぞれがマ・クベによって撃破寸前まで追い込まれています。
ガンダムが撃墜されかけたのは18話「灼熱のアッザム・リーダー」です。機動砲座(後にMAに分類)アッザムにキシリア・ザビとともに搭乗したマ・クベは、最大4,000℃の高熱を発する特殊兵装「アッザム・リーダー」にガンダムをとらえ、あと一歩のところまで追い詰めましたが決定打を与えられず、反撃を受けて砲塔を破壊され脱出を余儀なくされました。
さらにホワイトベース最大の危機となったのが、22話「マ・クベ 包囲網を破れ!」です。21話「激闘は憎しみ深く」でホワイトベース隊はクラウレ・ハモン率いるランバ・ラル隊の残存部隊をかろうじて退けたものの、リュウ・ホセイをはじめとする多くの人員を失いました。アムロたちはシャワーを浴びる時間も取れずに働き詰め、ブライトは過労で倒れ、ミライが艦長代理を務める非常事態。そこにマ・クベが襲い掛かっていったのです。
マ・クベの作戦は周到でした。まずは低高度を飛行するホワイトベースにリフトジェットを着用した兵士を差し向け、爆弾でミノフスキー粒子の発射口と電波妨害を行なうためのECM発信機を破壊したのです。余談ですがこのシーンで緊張のあまりヘルメットの上から汗を拭おうとする兵士が登場しており、『ガンダム』のリアル感を際立たせています。
ミノフスキー粒子を放出できず、電波妨害もできなくなったホワイトベースは、敵の探知から逃れる手段を失いました。しかしホワイトベース側のレーダーはなぜか破壊されなかったのです。破壊できるはずのレーダーをあえて残す。これがマ・クベの作戦で最も重要なポイントだったのです。
■マ・クベ隊「引き返し」の理由は描かれず
マ・クベが搭乗した「アッザム」は、ガンダムと交戦して生き残った数少ないモビルアーマーでもあった。画像は「1/550 アッザム」(バンダイ)
続けてマ・クベは約35機の小型戦闘機ドップを投入し、ホワイトベースに攻撃を仕掛けます。ミライはアムロとハヤトのふたりにコア・ファイターで出撃させますが、数が違い過ぎてどうにもなりません。結局アムロはガンダムへと空中換装、ハヤトはカイが対空機銃座から離れられない状況のため船内に戻りガンキャノンへと換装します。
かろうじて数機のドップを撃墜したものの、地上では大型陸戦艇ダブデと多数のグフが待ち受けていました。追い込まれたホワイトベースはレーダーを頼りに敵がいないと思われる方向へと舵を向け、完全に罠にハマってしまいます。アムロとハヤトの奮闘で3機のグフを倒したもののグフはまだまだ残っており、ホワイトベースはドップの攻撃を受け続ける絶望的な状況が続いていました。
しかし突然、ドップが後退を始めます。セイラは即座に危険を察知しますが、既に時遅しでした。地上から放たれた大口径のメガ粒子砲がホワイトベース左舷デッキを直撃したのです。再出撃したガンダムによりメガ粒子砲は破壊されましたが、ホワイトベースは大きな損傷を受けて第二メインエンジンは爆発寸前、第一メインエンジンも不調に陥り不時着を余儀なくされたのです。
ガンダム・ガンキャノン・ガンタンクは残っているものの、もはや状況は詰んでいました。マ・クベの部隊がとどめを刺そうとホワイトベースに迫るなか、オペレーターのマーカーの発案で、ホワイトベース各所の発煙弾のセーフティを解除して発射筒内で爆発させ、敵の目を欺こうとします。
盛大に煙をあげるホワイトベースを見たマ・クベの部隊はそのまま引き返し、ホワイトベースは絶体絶命の窮地を免れたのです。
しかし、なぜマ・クベは部隊を引き返させたのでしょうか?
目の前にあるのは連邦軍の最新鋭巡洋艦と3機のモビルスーツです。ホワイトベースは煙をあげて沈黙していますが、完全に破壊されたわけではありません。なぜマ・クベはホワイトベースにとどめを刺さなかったのでしょうか?
マ・クベの手元には数十機のドップと最低でも4機のグフ、ガウもあればダブデもいます。もちろんガンダムをはじめとするモビルスーツの抵抗はあるでしょうが、ダブデで遠距離砲撃してホワイトベースを完全破壊すれば、補給も移動もできなくなるので、降伏に追い込めるはずです。
作劇の都合と言ってしまえばそれまでですが、ホワイトベース隊に完勝する唯一の機会を逃したマ・クベはそのツケを後に自らの命で支払うことになりました。 マ・クベが引き返した理由は、『機動戦士ガンダム』最大の謎と言ってよいのではないでしょうか。
(早川清一朗)
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