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【ボトムズ】ロボットアニメ黄金の1983年 なぜラッシュになったのか?【ダンバイン】

マグミクス / 2023年10月27日 6時10分

【ボトムズ】ロボットアニメ黄金の1983年 なぜラッシュになったのか?【ダンバイン】

■ロボットアニメ黄金期でもある1983年は戦国時代だった?

 ロボットアニメの全盛期とも言われる1980年代、なかでも1983年は「ロボットアニメ戦国時代」ともいえるほどさまざまな作品が群雄割拠する状態でした。同年に放送開始されたTVアニメは37本で、そのうちロボットアニメといわれるジャンルの作品は11本、およそ全体の3割になります。これだけでも当時のロボットアニメが、いかに好評だったかわかるでしょう。

 どうして当時は、これほどロボットアニメが人気だったのでしょうか。

 もともと、ロボットアニメは男児層に圧倒的人気であるという下地はありました。そして、1979年からTV放送され、劇場版で大ブームとなった『機動戦士ガンダム』の影響が大きかったと考えられます。

 この時期に至っても「ガンプラ」、すなわち『ガンダム』に登場するモビルスーツ(ロボット)のプラモデルは一定数の販売を維持しており、講談社の児童雑誌『コミックボンボン』で前年の1982年より連載を開始したマンガ『プラモ狂四郎』(著:やまと虹一/原作:クラフト団)というアニメに頼らない形での支えもあって、盤石に近い地位を固めていました。

 これに対抗する形で1981年からTV放送されたのが、『太陽の牙ダグラム』です。スポンサーのタカラ(現在のタカラトミー)から発売された本作のプラモデルもガンプラに迫る勢いで、同社および丸善(当時)からアニメだけでなく模型まで網羅した雑誌『デュアルマガジン』が創刊されるほどでした。

 さらに1982年からTV放送された『超時空要塞マクロス』に登場するロボット「バルキリー」の、可変機構を再現した完成品モデルがタカトクトイスから販売され、オモチャとしては異例の大ヒットとなってこれに続きます。プラモデルだけでなく、いわゆるオモチャに分類される商品も、小学生以上の層にヒットが見込めることを証明するものでした。

 こうしたオモチャと模型の好調さが背景にあったことが、1983年にロボットアニメが増産された一因なのでしょう。もちろん商品展開だけでなく、ロボットアニメというジャンルに勢いがあったことも挙げられます。ロボットアニメ作品が当時のアニメ雑誌の表紙を飾っていたことも多く、この頃から盛んになり始めた同人誌のようなファン活動でも中心にありました。

 ここで特筆したいのが放送時間帯です。それまでアニメの枠でなかった時間を新たに開拓することが増えてきました。関東での時間枠で言えば、金曜日17時半枠の『亜空大作戦スラングル』、日曜日17時枠の『プラレス3四郎』、日曜日9時半枠の『機甲創世記モスピーダ』、金曜日16時半枠の『特装機兵ドルバック』、金曜日19時枠の『銀河漂流バイファム』などです。

 もちろんロボットアニメだけが突出していたわけでなく、徐々に数を増やしてきたジャンプ系アニメやラブコメといわれるジャンルの作品が後続に控えていました。しかしながら、ロボットアニメが突破口になって、TVアニメ枠の開拓を成したと考えると、当時の勢いがわかるかもしれません。

 またロボットアニメが重宝された理由に、商品展開のしやすさがありました。主役ロボさえ発売すればいいのですから、女児作品やファミリー向け作品に比べれば商品の方向性がわかりやすいので、スポンサーの苦労も少ないというわけです。

■人気作品が続々と誕生する中、倒産する玩具会社も……

『装甲騎兵ボトムズ』は1983年4月放送開始 (C)サンライズ

 従来ならば小学生までにはオモチャから卒業していたものですが、1980年代はアニメブームによりアニメ雑誌が販売され、さらに前述のガンプラブームにより中高生といった層もターゲットとして残り、玩具会社としてはそこに向けての販売戦略といった部分があったのでしょう。

 そうしたことから従来の合金系オモチャは、単純な複数合体ロボから、シルエットをガラッと変える変形ロボに舵を切ったものが増えました。その中心にあったのが「バルキリー」を販売していたタカトクトイスで、『銀河疾風サスライガー』『超時空世紀オーガス』『特装機兵ドルバック』といった作品の商品を展開しています。

 この時期に独自の路線で動いていたのがタカラで、「デュアルモデル」というオモチャ商品を販売していたものの、主力商品はプラモデルというスタンスで『装甲騎兵ボトムズ』を展開していました。

 もちろんこの時期にもタカラは男児向けオモチャを販売しています。それが「ミクロチェンジ」シリーズや「カーロボット」といった、アニメではない、オリジナルの変形ロボのシリーズでした。これが数年後にはアニメになって、『トランスフォーマー』という黒船になるわけです。

 業界最大手だった玩具会社ポピーが、模型部門などを吸収してひとつのバンダイとなったのもこの1983年のことです。他の玩具会社がオモチャかプラモの一方に力を入れ、時には複数の会社が手を握る状況のなか、その両方ともに自社のみで商品展開をしていました。

 玩具業界自体が活性化していた時期でもあり、さまざまな会社がロボ玩具を展開した時期でもあります。『サイコアーマー ゴーバリアン』のポエム、『機甲創世記モスピーダ』の学研といったメーカーなどがそうです。それはまるでゴールドラッシュを思わせるものでした。

 この波に乗らなかったのはトミー(現在のタカラトミー)くらいでしょうか。もっとも、自社オリジナルブランドとして数年後にヒットする「ゾイド」をこの頃から展開していたので、ロボット系オモチャでもまったくカヤの外ではありませんでした。

 しかし、業界すべてが好調の波に乗れるというわけでもありません。この1983年には『聖戦士ダンバイン』のメインスポンサーだったクローバーが放送途中に倒産、翌1984年にはタカトクトイスも倒産しました。

 こういった業界再編もありましたが、ロボットアニメ自体はファンから多大な支持を得て、アニメ作品のなかでも一定の地位を得ます。その結果、「ロボットアニメ」というジャンルは何年もの間、人気コンテンツとして展開されていきました。

 何よりも、ロボットアニメといういちジャンルでくくられてこそいましたが、その内容は当時からバラエティ豊かで飽きることなく、ファンの期待に応える作品群を生んできたことも大きな要因でしょう。

 もっとも近年ではその数も減少し、かつて固定の放送枠を維持していたころに比べると見る影もありません。かつてはアニメの花形のようなポジションだったロボットアニメ、その復権はあるのでしょうか。

(加々美利治)

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