あと少しで分かりそう？ 『ワンピース』シャンクスは本当に「天竜人」なのか？

■カギとなるのは『FILM RED』でのひと幕？

　赤髪海賊団の大頭・シャンクスとはいったい何者なのか……。『ONE PIECE（ワンピース）』の物語が始まった当初から今に至るまで、その謎は解き明かされていません。

　読者のあいだでは、シャンクスの出自を「天竜人」と結びつける説も根強く支持されていますが、真相はどこにあるのでしょうか。

※この記事では『ONE PIECE』最新話のネタバレに触れています。

　まずシャンクスをめぐる意味深な描写を振り返ると、「マリンフォード頂上戦争編」で当時の海軍元帥・センゴクが見せた態度が印象的でした。混沌とした戦場に降り立ったシャンクスが「この戦争を終わらせに来た」と言い放つと、敵であるはずのセンゴクは反論するどころか、「お前なら……いい」「赤髪……責任は私が取る」と、その申し出をすんなりと受け入れたのです。

　なぜ自ら責任を負ってまでシャンクスの顔を立てたのか、当時この場面を見て、多くの読者が疑問に感じたのではないでしょうか。

　またパンゲア城内の「権力の間」で、天竜人の最高位である「五老星」たちと謁見を果たしていた点も気になるところです。天竜人といえば、800年前に「世界政府」という一大組織を築き上げた20人の王たちの末裔であり、『ONE PIECE』の世界において絶対的な権力を持つ一族を指します。その最高位で、世界政府最高権力者に位置付けられている「五老星」と謁見するには、それなりの地位や権力がなければ難しいでしょう。

　ましてやシャンクスは、世界政府と敵対関係にある海賊で、「四皇」のひとりです。にもかかわらず各国の王が聖地マリージョアに集まる「世界会議（レヴェリー）」が行われるなかで、五老星はわざわざシャンクスのために時間をとっていました。

　こうした描写の数々から浮き上がってきたのが、「シャンクス＝天竜人」説です。確かにシャンクスを天竜人と仮定すると、センゴクの意味深な態度も、五老星と謁見できた事実も、全て合点がいくでしょう。

　さらに、2022年8月に公開された映画『ONE PIECE FILM RED』では、五老星の口から「シャンクス＝天竜人」説を裏付ける決定的な発言が飛び出しました。暴走し革命の芽になりかねないウタを危惧して、五老星のひとりが「早めに摘んでおかねば手遅れになる」と発言したところ、別の五老星が「あの娘がフィガーランドの血筋でもか？」と発言したのです。

　フィガーランドといえば、判明したのは映画公開の1年後でしたが、天竜人のひとりである「神の騎士団」の最高司令官の名がフィガーランド・ガーリング聖でした。つまりフィガーランドとは、天竜人の一族のひとつを指す姓ということでしょう。だとすれば、「ウタ＝シャンクスの娘」と認識していた（実際は血縁はありませんが）五老星の発言は、間接的にシャンクスがフィガーランドの生まれであることを示していたことになります。

　なお『FILM RED』では、シャンクスが捨て子だったことも明かされました。同映画の入場者特典『「ONE PIECE」コミックス －巻四十億“RED”－』によると、「ゴッドバレー事件」の際にロジャー海賊団の船長、ゴール・D・ロジャーが奪った財宝に紛れ込んでいた赤ん坊が、シャンクスだったのです。

　そもそもゴッドバレー事件とは、天竜人とその奴隷たちを守るために、モンキー・D・ガープとロジャーが手を組んで「ロックス海賊団」を打ち破った戦いを指します。つまり必然的にゴッドバレーには天竜人がいたことになるので、話の辻褄は合うといえるでしょう。

　そして、最新1095話から始まったバーソロミュー・くまの過去編では、38年前のゴッドバレーで天竜人による「人間狩り」が行われ、そこに前述のガーリング聖が参加していたことが明らかになりました。そして、若き日のガーリング聖の顔がシャンクスに似ていることも、ファンの間で大きな話題になっています。

　もうすぐ「シャンクス＝天竜人」確定しそうな状況ですが、ファンのあいだでは、「シャンクスの特徴的な赤髪が一族の証」だと考察されており、ガーリング聖の髪色は赤髪ではなさそうなので何ともいえない状況です。

　はたしてシャンクスは本当に天竜人なのでしょうか。世界政府がひた隠しにしてきた謎が次々と明らかになっている今、その秘密に光が当たる日は近いかもしれません。

（ハララ書房）