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「ガンダムの歴代主人公って大体みんな最後悲惨じゃね?」確認して浮かんだ意外な結論

マグミクス / 2023年10月29日 7時10分

「ガンダムの歴代主人公って大体みんな最後悲惨じゃね?」確認して浮かんだ意外な結論

■ガンダム主人公はバッドエンドばかり?

 アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズは、1979(昭和54)年の第1作TVアニメ『機動戦士ガンダム』に始まり、令和のいまなお続く人気作品です。最新作『水星の魔女』にて、主人公のスレッタ・マーキューリーはハッピーエンドを迎えましたが、歴代の作品で主人公たちを待ち受けていたのは、なにもかもハッピーといえる結末ばかりではありませんでした。むしろ悲惨だったほうが多いのではないか、という印象すらあるのではないでしょうか。

 実際のところはどうなのでしょう。ひとまず「宇宙世紀シリーズ」に分類されるTVアニメおよび劇場用アニメ作品(一部OVA)について、その結末を見ていきます(原作マンガがまだ連載中の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』は除きました)。

 ただ、ハッピーか否かというのは、個人の価値観に大きく左右されるものです。よって、以下に記すのはあくまでひとつの見方にすぎないことにご留意ください。また、当然ながら物語の核心部分に触れるネタバレや、キャラクターの生死に関わる記述がありますので、その点にもご留意ください。

●アムロ・レイ(『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)

 初代主人公のアムロ・レイは、その初登場作品である『機動戦士ガンダム』にて、RX-78「ガンダム」を駆り、一年戦争を戦い抜きました。のちに劇場公開された『逆襲のシャア』にて再び主人公を務め、そのラストで、シャアが企図した「アクシズ(小惑星を改造した要塞)」の地球落下を阻止するも、のちの消息は不明となってしまいます。後年、『機動戦士ガンダムUC』において、死亡したと受け取れる言及がなされました。

 いわゆる死亡エンドということになるのでしょう。それだけを見ればバッドエンドといえるかもしれませんが、それでも目標であった「アクシズの落下阻止」「シャアとの決着」は達成したと見ることができます。アムロの周囲では、敵対していた者同士が手を取り合う姿も見られました。よってバッドの手前、ほろ苦いビターエンドといったところではないでしょうか。

●カミーユ・ビダン(『機動戦士Zガンダム』)

 壮絶なラスト、といえばカミーユが筆頭でしょう。最後の、「おーい、出してくださいよ。ねえ?」というセリフは衝撃的なものでした。この「討ち取ったシロッコの思念を取り込んで精神を病んでしまう」という結末は広く知られますが、実はその前、シロッコとの最終決戦の最中から、死者の思念と寄り添い溶け合うような描写はなされており、すでに不味い状態であろうことが見てとれます。最強すぎるニュータイプは、死者とすら通じ合えるということなのでしょうが、客観的に見てそれが健全といえるかどうか、疑義が挟まるところでしょう。

 全体的に見れば「ティターンズ(およびシロッコ)の撃滅」という目標は達成したものの、ハマーンには逃げられ、シャアもまた地球連邦を頂点とする現行体制に見切りを付けたと受け取れ(ただし本編中は姿をくらましたような描写のみ)、世界は全くもって不穏なままです。よってバッドエンドといって差し障りはないでしょう。さすがにやりすぎたと思ったのか、のちに富野監督は劇場公開された通称『新訳Z』にて、この悲惨な結末を大きく変更しています。

■何もできなかった「ぶっちぎりバッドエンド」は…!?

明るい結末を迎えた『ZZ』。画像はバンダイナムコアーツ「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士ガンダムZZ I」(C)創通・サンライズ

●ジュドー・アーシタ(『機動戦士ガンダムZZ』)

『Z』(TVシリーズ版)ラストで心神喪失状態となったカミーユとバトンタッチする形で、「Zガンダム」に搭乗することになったのが、旧式コロニー「シャングリラ」でジャンク屋稼業を営んでいたジュドー・アーシタです。

 ジュドーが宇宙世紀の歴史の表舞台に立ったのは14歳のときであり、物語全体的には、子どもの観点から戦争や大人たちに関わる、という立ち位置だったといえるでしょう。

 ジュドーの行動原理の根幹は「妹のリィナを守る/助け出す」というシンプルなものでした。これを全体の目的とした場合、彼が迎えた結末はハッピーエンドといえるでしょう。

 さらにハマーンとの最終決戦後には、エゥーゴの志願兵の少女であるルー・ルカと共に、木星圏に旅立っていく描写もあります。これも彼の明るい未来を感じさせるものでした。2000年代に展開されたショート・フィルムシリーズ『GUNDAM EVOLVE../10』では、木星圏に旅立ったあとのふたりが登場し、その後の仲睦まじい関係がうかがえます。

●アルフレッド(アル)・イズルハ(『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』)

 小学校5年生のアルと、準主人公であるジオン兵のバーニィことバーナード・ワイズマンの最終目的は、アルが居住するコロニーへの核攻撃を阻止すること、そのために連邦の新型モビルスーツを撃破すること、です。

 その結末は、アルとバーニィの関知し得ない外側で核攻撃が(間接的に)阻止される(核搭載のジオン艦が連邦軍と交戦の末投降)、つまり彼らの奮闘は徒労というものでした。しかし、物語開始時点で旧式化していたうえに損傷していたモビルスーツ「ザクII改」を修理し動かして、連邦軍のニュータイプ専用最新モビルスーツ「ガンダムNT-1(アレックス)」を戦闘不能に陥らせたという殊勲を挙げており、目的は半ば以上、達成したと見ることができるでしょう。

 ただ、その代償としてバーニィは戦死してしまいます。隣人で、「ガンダムNT-1」のテストパイロットで、大好きなお姉さんであるクリス(クリスチーナ・マッケンジー)も去って行きます。せつなすぎます。よってビターエンドといったところでしょう。

●コウ・ウラキ(『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』)

 コウ・ウラキを語るうえで外せないのがニナ・パープルトンの存在でしょう。ご存知のように彼女は、その「罪深さ」で広く知られるキャラクターです。コウの立場から簡単に説明すれば、「心を通わせたと思っていた相手が元カレのために自分へ銃口を向けてきた」となります。

 コウの受難は、それだけにとどまりません。阻止しようと奮闘した「コロニー落とし」は落ちてしまい、上述の「元カレ」であるところのガトーには決着も曖昧なまま預かり知らぬところで死なれ、挙句、覚悟のうえでのこととはいえ「ガンダム試作3号機(デンドロビウム)」強奪の咎で軍法会議にて有罪となってしまいます。のちに諸事情で罪状が消滅し釈放されるものの、しばらくは投獄されていたようです。ぶっちぎりのバッドエンドといってよいでしょう。

 なおオリジナルのOVA版『STARDUST MEMORY』ではその後、軍務に復帰しニナと再会するところで終幕を迎えますが、映画版『ジオンの残光』では罪状消滅のテロップで終幕です。「軍務復帰」「ニナとの再会」が、コウにとって救いになっているかどうか、という判断かもしれません。

■死んだと思ってたよね…「型通りの悲恋」を大逆転したのは?

『V』の結末はほろ苦い。バンダイナムコアーツ「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士Vガンダム I」(C)創通・サンライズ

●シーブック・アノー(『機動戦士ガンダムF91』)

 物語開始時点で高校生であるシーブックの当初の目的は、敵対勢力に連れ去られてしまった幼馴染であるセシリーの奪還、といえるでしょう。そのセシリーはのちに敵対勢力の一員として登場し、あまつさえ交戦まですることになりますが、説得し味方に引き入れることに成功、当初の目的はここで達成されます。続く、本作におけるラスボスとの決戦にも勝利し、その最中に宇宙へと放り出されたセシリーも無事に救出、映画は大団円を迎えます。自身の未熟さから父親を亡くしてしまうなど悲劇にも見舞われたものの、この結末はハッピーエンドといえるのではないでしょうか。

 なおシーブックは、その後もマンガ『機動戦士クロスボーン・ガンダム』(原作:富野由悠季/作画:長谷川祐一/角川コミックス・エース)などに登場しています。一線を退いたのち、セシリーと結ばれ、子どもにも恵まれ、パン屋を営むなど、時には戦闘に巻き込まれつつもおおむね平穏な生活を送る様子が描かれました。

●ウッソ・エヴィン(『機動戦士Vガンダム』)

 結末からいうと、弱冠13歳にしてウッソは、敵であるザンスカール帝国の侵攻を阻止し、幼馴染であるシャクテイ・カリンの奪還にも成功し、そして故郷への帰還を果たすという、おおむね大団円を迎えます。「おおむね」というのは、戦時であり失うものもあったということからで、そこには、物語開始時にはウッソの想い人であり、そして最終的には敵となったカテジナ・ルースの存在も含まれます。

 戦乱に巻き込まれる前のウッソにとってカテジナは憧憬の対象であり、また自らの理想を押し付けるような描写も見られます。それは幼い恋心であり、つまり、彼にとっての幼年期の象徴のような存在といえるでしょう。そして戦乱を経験し、ウッソの世界が広がることで、無知ゆえに幸福な幼年期は彼岸のものとなったわけです。

 カテジナは、悪女に数えられることもあるキャラクターではあります。しかし、彼女の物語における役どころを考えると、この結末の見方も少し変わってくるのではないでしょうか。そうした要素も鑑みると、ややビターなエンド、となるでしょう。

●シロー・アマダ(『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』)

 かつてシェイクスピアが『ロミオとジュリエット』で描いたように、敵対勢力に属する若者同士が惹かれ合い落ちる恋は、悲劇の始まりといえるでしょう。連邦軍のパイロットであるシロー・アマダもまた、ジオンの名門サハリン家の娘アイナと運命的に出会い、恋に落ち、そしてふたり揃って戦場で消息不明になるという悲劇的な結末を迎えた……はずでした。なおその前に、物語上の目的のひとつである「敵兵器の稼働阻止」は達成しています。よってこの時点では、ビターエンドといったところでしょうか。

 ところがその後、シローの隊の一員であったミケル・ニノリッチを主人公とする『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 特別編 ラスト・リゾート』において、ふたりの生存が確認されました。しかも子宝にも恵まれている様子です。シローには、脱走兵かつモビルスーツの私的占有という、罪に問われるであろう不安材料がないこともないわけですが、これはハッピーエンドと数えてよいでしょう。

■定められた運命(=原作)は変わるのか…?

『UC』は「めでたしめでたし」。バンダイナムコアーツ「機動戦士ガンダムUC Blu-ray BOX Complete Edition」(C)創通・サンライズ

●バナージ・リンクス(『機動戦士ガンダムUC』)

 他の主人公たちにもれず、バナージもまたなかなか過酷な運命に翻弄されたわけですが、最大の敵であるフル・フロンタルの「ネオ・ジオング」に勝利し、ヒロインであるオードリーことミネバの目的「ラプラスの箱の開示」を達成し、そして共に生存したまま終幕という、ハッピーエンドを迎えました。

 その後、『機動戦士ガンダムNT』にて、ミネバとともにジオン共和国にて身を隠しているという描写がなされています。ミネバにはザビ家という立場もあるため、その後も平穏な生活が続くかどうかはわかりませんが、さしあたって観る側は胸をなでおろしてよさそうです。

●ヨナ・バシュタ(『機動戦士ガンダムNT』)

 最大の敵であるゾルタンの「II(セカンド)ネオ・ジオング」を撃破し、その目論見も阻止することに成功はしたものの、幼い頃に過酷な過去を共有し自身にとって特別な存在であるミシェルもリタも結果的には失うという、ほろ苦い結末を迎えています。

 ただ、幼い頃にリタを救えなかったという罪悪感は、再会し交流を持てたことで解消されたともいえ、そしてそれはミシェルにもリタにも同様のことがいえるので、ほろ苦くはあれどひとつの解決を得て、過去を精算し、それぞれが次に進めたという見方もできるでしょう。若干ビターながら、ハッピーエンドといえるのではないでしょうか。

●ハサウェイ・ノア(『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』)

 富野監督自ら執筆した原作小説では、実に悲劇的な結末を迎えています。ハサウェイもそうですが、数々の問題児たちを抱えつつ、何度も死線をくぐり抜け数々の功績を立ててきたブライト・ノアにあのような未来が待ち受けているとは、いくらなんでも残酷すぎるというものでしょう。1989年から1990年にかけてと比較的、早い段階で発表されたにもかかわらず長年映像化されてこなかったのは、そのあまりにも暗いお話ゆえ、というウワサがまことしやかにささやかれてきました。

 とはいえ、それはあくまで原作小説でのお話です。近年、「原作に忠実に映像化」というのがアニメ業界のトレンドとはいえ、果たして原作そのままにアニメ化されるかどうかはまだわかりません。映画は3部作の予定で、2021年9月3日に開かれたトークイベントでは、「第2部は、3部作の映画の中で一番小説と違った話になる」という、小形プロデューサーの発言もありました。ということは、第3部の結末はあまり変わらないのでは……とも考えられますが、そうではない可能性もあります。そのうようなわけで、アニメ版については判定保留です。

●結論 それほど悲惨な結末ばかりでもないのでは

 以上のように、ほぼ独断と偏見で、それぞれの主人公が迎えた結末をハッピーか否かという観点から振り返りました。結果、保留を除き、10人中5人がハッピーエンドを迎えています。ただそのハッピーエンド作品は近作に偏っており、つまり長らく続いた主人公受難の時代が、「ガンダムの歴代主人公は悲惨な結末」というイメージを形成してしまったのではないでしょうか。

 また、そもそもが戦争を扱った作品です。そこには人の生死がつきものであり、よってなにもかもハッピーハッピーになるわけがない、ともいえるでしょう。

 繰り返しますが、本記事はほぼ独断と偏見により構成されています。ここで記された内容にとらわれず、改めてフラットな気持ちで作品を観返してみてください。子どもの頃とは違った観方ができるかもしれません。

(マグミクス編集部)

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