意外!「国内100万本」未達成の任天堂人気ゲーム 「もっと売れてもいいはず」
マグミクス / 2023年10月30日 20時10分
■面白いのになぜ?ミリオン未達成の名作ソフト
突然ですが、読者の皆さんは「世界で最も売れたゲーム」が、どのような作品かご存知でしょうか。
正解は、2011年に正式リリースされたサンドボックスゲーム『マインクラフト』(以下、マイクラ)です。子供から大人まで幅広いユーザーに遊ばれている本作は、今や家庭用ゲーム機・PC・スマートフォンなどあらゆるプラットフォームで展開され、全世界で3億本ものソフト売上を誇っています。
『マイクラ』の3億本という記録は前代未聞であり、選ばれたゲーム作品しか到達できない境地と言えます。しかし、売上100万本を達成した商品を意味する「ミリオンセラー」であれば、より馴染みやすいだけでなく、「そんなに売れてるんだ」と想像もしやすいのではないでしょうか。
ゲーム作品でミリオンセラーを達成する作品と言えば、面白さがある程度保証されている、知名度が高い人気シリーズの続編などが視野に入ります。しかし売上記録を見ると、人気シリーズの続編で知名度があっても、売上100万本に届かない例も多々あるのです。
今回はゲーム市場の老舗メーカー・任天堂が誇る人気シリーズに焦点を合わせ、ミリオンセラーにならなかった意外な名作ソフトをご紹介します。なお、文中のソフト売上は国内市場の記録が中心です。
●「ゼルダの伝説」シリーズ
長年愛される「ゼルダの伝説」シリーズは、1986年のディスクシステム用ソフト『ゼルダの伝説』から、ソフト売上169万本を突破していました。続くスーパーファミコン用ソフト『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』でも116万本を売り上げると、2Dから3Dへグラフィックが劇的に進化したNINTENDO64用ソフト『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(以下、時オカ)で、世界中のゲームファンから称賛の声を浴びました。
プラットフォームの移行に合わせて順当な進化を見せた「ゼルダの伝説」シリーズですが、『時オカ』の正式な続編として開発された『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』(以下、ムジュラ)はソフト売上60.1万本と、大ヒットではありながらも過去作品と比べて落ち着いた数字に留まります。
『ムジュラ』は「タイムリミットまでに世界滅亡を食い止める」というテーマを採用しており、時間を何度も巻き戻して謎解きを進めるシステムや、それにともなう難易度の高さなど、それまでの同シリーズと比べると異色な出来栄えでした。しかし決してクオリティに問題があったわけではなく、発売から23年が経った今もなおファンからの人気は衰えていません。
また他のプラットフォームを見ると、ゲームボーイカラー用ソフト『ゼルダの伝説 夢を見る島』(31.4万本)や、ゲームキューブ用ソフト『ゼルダの伝説 風のタクト』(74.2万本)など、名作ながらもセールス記録が数10万本で推移しているケースが見受けられます。筆者が言うまでもありませんが、「ゼルダの伝説」シリーズは携帯ゲーム機用ソフトのなかにも傑作が多く、「もっと売れても良いのでは?」という感想が正直なところです。
●「マリオカート」シリーズ
全世界累計ソフト売上5546万本。この記録はNintendo Switch用ソフト『マリオカート8 デラックス』のものですが、ぱっと見ただけでも、いかに「マリオカート」が「ドル箱シリーズ」なのかお分かりいただけると思います。デビュー作品『スーパーマリオカート』の時点で、すでに382万本(国内)ものソフトが売れており、30年以上も前から任天堂を支える人気シリーズでした。
そんな「マリオカート」シリーズですが、全作品がミリオンセールスを達成していたわけではありません。『マリオカートアドバンス』(売上93.8万本)と『マリオカート ダブルダッシュ!!』(82.5万本)の2作品は、ともにソフト売上が100万本に届いていないのです。
ただミリオン未達成だからと言って、この2作品の存在を無視することはできないでしょう。『マリオカートアドバンス』では『マリオカート8』が後に発売されるまでコース収録数の最多記録を持ち、ソフトが1本あれば手軽に複数人で対戦プレイが楽しめました。また、『マリオカート ダブルダッシュ!!』はシリーズでも類を見ないふたり乗りシステムを採用し、キャラクターとカートの組み合わせによって奥深いレースを実現させています。
セールス面では他のシリーズ作品に及びませんでしたが、「マリオカート」の歴史を振り返る上で欠かせないタイトルなのは間違いありません。
■国内市場で苦戦した任天堂の人気シューティング作品
●「スターフォックス」シリーズ
1997年4月27日発売『スターフォックス64』(任天堂)
1993年発売の『スターフォックス』は「スーパーFXチップ」を搭載したことで、スーパーファミコンでは難しいポリゴンの高速描画をものにしました。同作は勇敢な心と正義を胸に戦う戦士「フォックス・マクラウド」が主役を務め、これまで家庭用ゲームや携帯ゲーム機を中心にシリーズ作品が展開されています。
画面奥へと進みつつ、群がる敵機を連射可能なブラスターや強力無比なボムで一掃する……。ほどよく歯ごたえが感じられる難易度や、壮大な世界観も相まって、「スターフォックス」シリーズはシューティングを題材にした作品のなかでも、大きな存在感を放っています。海外市場における評価も高く、第2作目『スターフォックス64』は、「世界で最も売れたシューティングゲーム」というギネス記録を授かりました。
ところが国内市場のみに目を向けると、「スターフォックス」シリーズの各ソフト売上は多くても約80万本です。初代のシステムを踏襲した上で、さらなる進化を遂げた『スターフォックス64』(売上56.5万本)や、3Dアクションアドベンチャーとして作風が変化した『スターフォックスアドベンチャー』(25.9万本)、そしてシューティングと3Dアクションをミックスさせた『スターフォックスアサルト』(19.5万本)……などなど、大体の場合において海外市場の方がソフトが売れている傾向にあります。
セールス面はゲームハードの普及台数やシリーズ人気の問題など、さまざまな要因が絡み合っているため何とも言えないところです。ただ個人的には、Nintendo Switchや、いずれ発売されるであろう後継ハードにて、「スターフォックス」の面々が帰ってくる未来を期待しています。
(龍田優貴)
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