主人公かと思ったら「即死亡」? 予告でだまされた「初見詐欺」アニメ3選
マグミクス / 2023年11月2日 18時50分
![主人公かと思ったら「即死亡」? 予告でだまされた「初見詐欺」アニメ3選](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_193121_0-small.jpg)
■「主人公」だって言ったじゃん!
新たなアニメが放送される前には、物語の内容を予告するような事前情報がいろいろと発表されるものです。しかし、それらがすべて真実を語っているとは限りません。過去に放送されたアニメのなかには、「釣り」ともいえるような事前情報で視聴者たちを惑わせた前例が存在するからです。今回は、そんな罪深き作品の数々をまとめました。
まず、2012年に放送されたアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』での「初見詐欺」をみてみましょう。同作の主人公といえば、ひょんなことから戦いに身を投じることになった女子高校生の立花響です。しかし、放送前は作中に登場する音楽ユニット「ツヴァイウィング」の天羽奏と風鳴翼(かざなり つばさ)が主役であるかのようなプロモーションが行われていました。
放送前に公開された雑誌の記事でも「『戦姫絶唱シンフォギア』で注目すべきは、この2人の歌姫」と、あたかもふたりが主人公であるかのような記載が多く、本当の主人公である響の情報は隅のほうに小さくまとめられていました。しかもそんなふたりのキャラクターボイスを務めるのは、『名探偵コナン』の江戸川コナン役でおなじみの声優、高山みなみさんと、アニメ界の歌姫と呼び声の高い水樹奈々さんだったため、誰もが事前情報を信じていたことでしょう。
しかし第1話で、主人公と思われていた奏が「戦死」してしまいます。そして、彼女に救われた響がその力を引き継ぎ、主人公として戦いに身を投じるストーリーが展開されていきました。もはや確信犯としか思えない初見だましぶりは、ネット上でも「予告詐欺のアニメといえば大抵『まどマギ』なんだけど『シンフォギア』も大概だよな(笑)」「キービジュアルだけを見たら奏が完全に主人公じゃん」「『シンフォギア』の詐欺番宣広告はもはや伝説」などと語られていました。
続いて2008年に放送された『喰霊-零-』でも、同様の主人公交代劇が繰り広げられています。同作は原作マンガ本編より2年前の過去を舞台にした物語であり、TVアニメ放送決定に際して、公式サイトでは「(オリジナルキャラクターである)特戦四課に所属する観世トオルを中心にヒロインの春日ナツキたちの活躍を描く」「主人公『観世トオル』たちが所属する部隊とはーー」などと記載されていました。
また放送直前には「スタッフ特別座談会」と題して物語の構想について語られており、実際、アニメ第1話は「特戦四課」がメインとなって活躍します。しかし1話目のクライマックスで、主人公だったはずの観世トオルをはじめとして「特戦四課」は全滅してしまい、2話以降は原作にも登場する諫山黄泉(いさやま よみ)と土宮神楽(つちみや かぐら)を軸に物語が進んでいきました。
つまるところ当初発表されていたシナリオも、「ナツキとトオルって、原作のヒーローヒロインである剣輔、神楽以上にヒーローヒロインらしいですね」などと語っていた座談会の内容もすべてフェイクだったのです。当時としては斬新な演出だったこともあり、多くの視聴者が大きな衝撃を受けたことはいうまでもありません。
■事前情報の釣りっぷりがすさまじい!
全人類をだました!? 画像は『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』ティザービジュアル第1弾 (C) Magica Quartet/Aniplex,WR
そして「初見詐欺」アニメの筆頭に挙げられるのが、2011年に放送された『魔法少女まどか☆マギカ』です。同作は魔法少女と呼ばれる不思議な力を持った女の子たちと、人類の敵である魔女との戦いを描いたファンタジー作品で、キャラクター原案を『ひだまりスケッチ』の蒼樹うめ先生が務めていたこともあり、キャラクターたちの見た目はとてもかわいらしい印象でした。
なおかつアニメ放映前に掲載された「電撃G’s magazine」の記事には、「ドキドキの魔法タイム」「キミを夢中にさせるステキ美少女がずらり。彼女たちが振りまく恋の魔法に陥落しちゃって♪」などと書かれていたことから、『魔法少女まどか☆マギカ』は「プリキュア」に味付けしたような作品だと多くの人が勘違いしていました。
現に放送が始まった当初は、正統派の魔法少女アニメのような雰囲気をかもし出していたのですが、第3話「もう何も恐くない」によって、それらがすべてくつがえされます。メインキャラクターが次々と非業の死を遂げたり、救いようのない現実が容赦なく襲いかかったりと、悲劇的なストーリーが目まぐるしく展開されたのです。
その元凶もとい立役者は、脚本を手掛けたニトロプラスの虚淵玄さんともいわれており、そのあと彼は『Fate/Zero』や『PSYCHO-PASS サイコパス』といったダークなアニメを次々と生み出しています。
ちなみに「ドキドキの魔法タイム」と銘打った記事の制作者は、「電撃G’s magazine」が廃刊になったタイミングで「最後なので白状すると、この記事を作ったのは私です。だ、だますつもりはなかったんや……」とSNS上で白状していました。本人いわく、『魔法少女まどか☆マギカ』がここまでダークな作品だとは知らなかったようで、実際の放送を見たときは衝撃を受けたそうです。
はたしてこれらの作品を越える「初見詐欺」アニメは誕生するのか、今後も視聴者をアッと驚かせる作品の登場に期待したいところです。
(ハララ書房)
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