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子供たちを苦しめた、初代『マクロス』の放送時間 ロボットアニメに新たなカルチャー

マグミクス / 2019年11月18日 19時30分

子供たちを苦しめた、初代『マクロス』の放送時間 ロボットアニメに新たなカルチャー

■初代『マクロス』は「日曜の昼間」の放送が子供たちを苦しめた

 1982年に放送されたTVアニメ『超時空要塞マクロス』は、戦闘機からロボットへのスムーズな変形機構や作中に登場するアイドル「リン・ミンメイ」の存在など、多くの斬新な設定が盛り込まれ大人気作品となりました。その後も続編が作り続けられ、現在は新作映画『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の製作が進行中です。日曜日の午後2時という放送時間に苦しめられながらも『マクロス』を楽しんでいたライターの早川清一朗さんが、当時の思い出を語ります。

* * *

 友達から「戦闘機がロボットに変形するすごいアニメをやってる!」と聞いた時、「別に変形なんか珍しくもないじゃん」と思った記憶があります。

 1970年代から80年代にかけてロボットアニメは大ブームを巻き起こし、『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』などの数々の名作を生み出しました。それらの作品のなかには戦闘機が登場する作品も数多く、多くは変形合体してロボットの一部になるのがお約束でした。飛行機が直接ロボットに変形していた作品は、当時だと『グロイザーX』くらいでしょうか。

 とはいえすごいアニメと聞けば見たくなるもの。いつ放送しているのか聞いたところ、「日曜の昼くらい」と言われ「そんな時間にアニメをやってるわけないじゃん!」と返した覚えがあります。

 しかし実際に日曜の朝に新聞のTV欄を確認すると、本当に午後2時に『マクロス』の文字が書かれていたのです。早速見てみようと思い立ちましたが、そう簡単にはいきませんでした。

 当時、TVは家に1台しかないのが普通で、家庭用ビデオデッキもまだ普及していませんでした。なので親がTVを見ていたらアウト。当然、インターネットもないので配信など夢物語。しかも日曜の昼は普段から友達と外に遊びに出ることも多く、午後2時にTVの前にいること自体、難しかったのです。

 そんなある日、運良く親が出かけて友達との約束もない日曜日がやってきました。今日しかチャンスは無い! そう考えTVの前に陣取り『マクロス』が始まるのを待ち構え……大きな衝撃を受けたのです。

『マクロス』はそれまで見てきたロボットアニメとは何もかもが違っていました。オープニングの「バルキリー」の発艦シーンは、小学生の目にも重厚なリアリティを感じさせました。

 さらには戦闘機形態「ファイター」から手足だけを展開させた「ガウォーク」や人型の「バトロイド」へと瞬時に変形するシーンにも目が釘付けになりました。ほんの数十秒見ただけで、「これはすごいアニメだ!」と思い知らされたのです。

■リン・ミンメイ、「板野サーカス」 『マクロス』が生み出した文化の数々

『超時空要塞マクロス』メモリアルボックスDVD(バンダイビジュアル)

 作品の内容も非常に斬新でした。特に作中に登場するアイドル、リン・ミンメイは声と歌唱を担当した飯島真理さんの実力の高さもあいまって、アニメ作品という枠を飛び越えた存在感と人気を獲得しました。ミンメイの曲だと筆者は『私の彼はパイロット』が特にお気に入りです。

 劇場版『超時空要塞マクロス~愛・おぼえていますか~』上映の際には大手ファミリーレストランチェーン「すかいら~く(現:ガスト)」が当時としては極めて珍しいコラボCM「味、おぼえています!」を放送し、メディアミックスの先駆けにもなりました。

『マクロス』がもたらした新たな文化は他にもあります。天才アニメーター、板野一郎氏が描いたミサイルの機動「板野サーカス」は多くの視聴者をとりこにし、今では『マクロス』シリーズ以外でもしばしば見ることが出来る定番の演出となっています。

 子供向けとされていたアニメに「三角関係」を持ち込んだのも、大いなる挑戦だったと言えるでしょう。当初は「おばさん」呼ばわりされていた早瀬未沙(はやせ・みさ/CV:土井美加)が主人公の一条輝(いちじょう・ひかる/CV:故・長谷有洋)とくっついたのには驚きました。TV版27話「愛は流れる」のラストで降下してくるマクロスを見つけたときのふたりの表情は幸せそのもの。あんな顔をされたら、ミンメイが入り込む隙なんてありません。

 また「デストロイド」と名付けられた味方側の二足歩行兵器のロボットにさまざまなシリーズを設けたのも特徴的でした。トマホーク、ディフェンダー、ファランクス、スパルタン、そしてモンスターたちデストロイドは基本的にはやられ役でしたが、戦艦「マクロス」が使用する大技「ダイダロス・アタック」の際には強力な火力で敵艦を内側から粉砕するなど随所に活躍が見られました。

 初代『マクロス』の放送から37年が経ちましたが、今でもTVシリーズで『7』『F』『Δ』、OVAで『II』『ゼロ』『プラス』が作られるなど、存在感を見せ続けています。果たして次はどんなマクロス、そしてバルキリーを見ることができるのか、楽しみはいつまでも止まりません。

(早川清一朗)

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