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「親殺し」はエレンの意思だった… 『進撃の巨人』残酷な結末の責任は誰のもの?

マグミクス / 2023年11月9日 19時10分

「親殺し」はエレンの意思だった… 『進撃の巨人』残酷な結末の責任は誰のもの?

■巨大なテーマに真正面から挑み続けた傑作

 2023年11月4日、遂に傑作『進撃の巨人』が完結しました。自由を求めるエレンの旅路は目の前で母カルラを食い殺した巨人への憎しみから、エルディア人を迫害する世界への絶望へと変化し、最終的に自らが人類の8割を虐殺する悪魔となって討たれるという結末を迎えました。

 エレンが巨人を駆逐すると誓ったあの日、本当は何が起きたのでしょうか。母カルラの死の原因と、エレンの罪について振り返ります。

●本来なら母カルラではなくベルトルトが喰われていたはずだった

『進撃の巨人』の最終エピソードでエレンはアルミンにある事実を告白します。それは超大型巨人と化したベルトルトによってシガンシナ区の扉が破られた運命の日のことです。

 あの日、本来ならシガンシナ区に侵入してきた無垢の巨人はカルラではなく、力を消耗しきったベルトルトを喰らうはずでした。しかしベルトルトはまだ死ぬべきではなかったので、彼を見逃して無垢の巨人がカルラのもとへと向かうにまかせた、というのです。

 カルラを喰らった無垢の巨人の正体はエレンの父グリシャの前妻であり、王家の血を引くダイナでした。もしもダイナがベルトルトを喰らっていれば、超大型巨人の力を継承したダイナが人間に戻れていたことでしょう。

 ダイナはパラディ島の外の情報を持っており、しかも王家の血を引き継いでいます。生きていればその後の歴史に大きな影響を与える変数となったに違いありません。だからミカサによってユミルが愛の呪縛から逃れる未来に到達するために、超大型巨人の力をダイナに継承させるわけにはいかなかったのだと思われます。

 また、もしもエレンがああいった形でカルラを失っていなければ、巨人殲滅の強烈なモチベーションを与えることができなかった、という理由も考えられます。エレンがヒストリアの戴冠式で見た未来へつなげるには「母殺し」は避けられなかったのでしょう。

 エレンは、父グリシャを喰らって進撃の巨人の力を継承しただけでなく、母カルラを巨人に喰らわせる、というあまりにも残酷な選択を強いられていました。アルミンへの告白がなければ誰も想像できなかったであろう真実です。

■母殺しから地鳴らしまですべて自分の責任

地鳴らしに挑む! TVアニメ「『進撃の巨人』The Final Season完結編」ティザービジュアル(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 座標には時間がありません。未来は確定しているようですが、すべてのイベントが同時に発生し、始祖の力を持つエレンの選択でダイナミックに変わっていくようです。進撃の巨人の未来を見せる能力、始祖の巨人の力や歴史介入の条件には解釈の余地がありますが、究極的にはすべての選択はエレンが下しましたし、エレン以外にそれができる人物はいません。

(アルミンの時間軸で)地鳴らしを終えてしまった後、「母殺し」を告白したのは、ここに到達するまでに起きた出来事の責任は、最初から最後まで自分にあるという意味だと思われます。どうしても親友のアルミンには「母殺し」の罪を聞いてほしかったのでしょう。

●諫山先生自身が手を加えてアニメ版で改変された部分

 衝撃の告白をうけたアルミンは、エレンに人のいない極地や火山などの情報を教えて、自由への憧れを植え付けてしまったのは自分だから、この結果は共犯だといいます。またエピローグの手紙の中でヒストリアは「きっとこの結果はエレンだけの選択ではない、私達の選択がもたらした結果がこの世界なのだ」と語りました。

 原作では時空を超えた進撃、始祖の巨人の力でエレンが歴史に干渉して動かしてきたように見えますが、最終巻刊行から2年を経て完成したアニメ版では特定の個人の意思だけでなく、人類全員に責任があると補足されています。

 この改変はすべてをエレン個人の責任にしているようにも解釈可能な原作展開と比べて、より問題意識が高く「自分ごと」として受け取れるエンディングではないでしょうか。

 これほどまでに自由を渇望するエレンを生み出してしまった世界の側にも、責任の一端があるに違いありません。

(レトロ@長谷部 耕平)

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