1話ごとにファンが驚く『オトナプリキュア』 今後注目を集める「キャラ同士の再会」は？

■ファンの心をつかんだ、1話ごとの衝撃演出

　プリキュアシリーズ初の大人向け作品として注目されている『キボウノチカラ～オトナプリキュア’23～』が放送中です。人気作品の続編ということもあって話題の作品ですが、その見どころについて考えてみましょう。

『オトナプリキュア』は今年2023年で20周年を迎えるプリキュアシリーズの番外編的な位置にある作品です。なぜ番外編的なのかというと、もともとのシリーズが現在も継続しているからであり、タイトルにあるように本作は本来の子供向け作品ではなく、大人に向けた作品だからです。

　もととなった作品は、シリーズ第4作『Yes!プリキュア5』（2007年）と、その続編である第5作『Yes!プリキュア5GoGo!』（2008年）です。いわば本作は順番からいえば第3期にあたるかもしれません。

　かねてから人気プリキュア作品の続編を望むファンは多くいました。そういった点から本作への期待は当初から多く寄せられ、放送前から話題は高まり、放映中の現在までファンの注目を集めているます。

　今回『プリキュア5』の続編となったことについて、多くのプリキュア作品を生み出したプロデューサーの鷲尾天さんは、「シリーズで最初に将来の夢を語ったから」と発言していました。

　確かに主人公である夢原のぞみが変身するキュアドリームの名の通り、「夢」というキーワードが重要視された作品が『5』だったと思います。敵対する組織が「絶望」であることに対して、プリキュアは「希望」を掲げて将来の夢、明るい未来を感じさせる作品でした。

　近年のプリキュアシリーズでは最終回に将来の姿を描くことが多くあります。そういったことも踏まえると、過去の作品のプリキュアたちが大人になった姿を見たいという気持ちは当たり前なのかもしれません。

　その期待に応えたのが本作なのでしょう。そして、予想以上に話題になる展開が毎回用意されていました。

　第1話「ミライノカタチ」では、懐かしのキャラクターたちが成長している姿を見せるだけで十分に満足するファンも多かったのですが、第2話「ケツイノスガタ」では、のぞみがかつてのキュアドリームの姿に変身するというおどろきのサプライズを見せます。

　続いて第3話「ココロノキオク」では水無月かれんがキュアアクアに、美々野くるみ/ミルクがミルキィローズへと変身しました。前作では最後のメンバーとして一度は変身に失敗することがネタにされたかれんの、早い段階での変身は話題となります。

　第4話「マヨイノツバサ」では『ふたりはプリキュア Splash☆Star』の主人公である日向咲と美翔舞の活躍が中心のエピソードでしたが、かつての敵役であるブンビーの登場が話題の中心をさらった感じでした。

　そして第5話「ノゾミノノゾミ」では、ココとナッツが人間の姿で登場するという展開が話題になります。このココとのぞみの再会は、かつてのファンなら本作でもっとも気になったところかもしれません。

　こうして1話ごとにファンが気になる展開を用意して、続編であることを生かした物語づくりが見どころとなっています。今後もファンなら見たいと思える展開がまだあるので楽しみは尽きません。

　余談ですが、各サブタイトルは「〇〇〇ノ〇〇〇」というのが基本フォーマットのようです。

※以降の文章には推測によるネタバレ記述がありますのでご注意ください

■はたして登場はあるのか？　もう一度会いたいキャラクター

『オトナプリキュア』に登場して注目を集めている、『ふたりはプリキュア Splash☆Star』の日向咲（左）と美翔舞（右）

　本作開始以降、筆者がもっとも気になった点が「ダークナイトライト」の存在です。1話で作中の配信画面として見た瞬間、思わず声をあげた視聴者は筆者だけではないことでしょう。

　この時点ではファンサービスのようなものだと思っていたのですが、回を重ねるごとに重要な役回りに思えてきました。そして、ついに第5話で声を聞くことになります。その声を担当したのは渕崎ゆり子さんと岡村明美さん。往年のファンには懐かしい声優でした。

　アパター画像で予想していた往年のファンもいましたが、このダークナイトライトは霧生満と霧生薫と考えられます。その担当声優が前述の渕崎さんと岡村さんでした。

　満と薫は『ふたりはプリキュア☆Splash Star』に登場したキャラクターで、敵として登場しながらも改心し、咲と舞に協力するようになったふたりです。その生い立ちから根強いファンも多いキャラクターで、その登場を待ち望んでいた人も多いことでしょう。

　実は、この満と薫の存在は時にファンの意見を二分することがありました。それが「満と薫はプリキュアか？」という問題です。薫と満は『Splash☆Star』の最終決戦で変身して戦うのですが、それをプリキュアとしてカウントするかファンの間でも時に激論が交わされる問題でした。

　双方の意見はさまざまありますが、スタッフからは「プリキュアではない」というコメントが出ており、この問題に対して一応の解決はされています。しかし、薫と満の変身後の姿は『プリキュアオールスターズ』のような特別編でも登場しているので、本作にも何らかの形で出ることを期待するファンも多いことでしょう。

　それはさておき、筆者としては咲と舞との再会にも期待大です。これまでの展開だと咲と舞は薫と満が配信者になっていることは知らない様子。もしかしたら再会することで大きなドラマが待っているかもしれません。

　今後もドラマが期待できると言えば、春日野うららとシロップの再会も楽しみでしょうか。ここまでシロップが人間の姿に変身していないのは、うららとのドラマに合わせてと考えられるからです。

　それとプリキュア関係者以外でも『Splash☆Star』から星野健太と（旧姓太田）優子夫妻が登場したように、『5』の増子美香の登場を期待する人もいるかもしれません。他にも成長した姿での登場を期待するキャラクターは人それぞれあるでしょう。筆者としては声優という視点から『SS』の宮迫学が可能性ありと思っています。

　往年のファンの期待に応えるように、見たかったシーンを次々に提供している『オトナプリキュア』の今後の展開に期待大です。

　そういえば余談ですが、タイトルの『23』はてっきり23歳のことと思いましたが、5話での「大学卒業から4年」というセリフでこの推測が誤りだとわかりました。ということは『23』は2023年のこと。そうすると、今後も「年」をカウントした続編が制作される可能性があるかもしれませんね。

（加々美利治）