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「コナミコマンド」はアニメの歌にも? 裏技ブームで生まれた「上上下下…」のルーツ

マグミクス / 2019年11月23日 16時30分

「コナミコマンド」はアニメの歌にも? 裏技ブームで生まれた「上上下下…」のルーツ

■ファミコン少年ならだれもが知っていた「隠しコマンド」

 ファミコン版『グラディウス』の隠しコマンド「上上下下左右左右BA」は、「コナミコマンド」と呼ばれて裏技の代表格として扱われるようになりました。当時『グラディウス』を楽しみ、その後もさまざまな形で「コナミコマンド」と触れ合ってきたゲームライターの早川清一朗さんが、当時から今へとつながる記憶を語ります。

* * *

 うえうえしたしたひだりみぎひだりみぎびーえー。

 口ずさんでみると実にリズムの良いコマンドです。

 筆者がファミコン少年だったころ、バグを利用した現象や隠しコマンドなどは「裏技」と呼ばれており、さまざまなファミコン雑誌が力を入れて特集していました。実際に多くの裏技を試してきたはずなのですが、今でもやり方をはっきり覚えているのはこの「コナミコマンド」だけです。30数年経っても、記憶から消える気配すらありません。

 この「コナミコマンド」が初めて実装されたのが、1986年にファミコンに移植された『グラディウス』です。『グラディウス』は当時としては美麗なグラフィックと未来的なサウンドが印象的なタイトルで、圧倒的な敵の攻撃を多種多様なパワーアップによって切り抜ける、緊張感と爽快感をあわせ持つ傑作シューティングゲームでした。

 普段は「レーザー」を使って敵を粉砕し、大量のモアイが登場するステージでは「ダブル」に切り替えて上方にいるモアイの口めがけてショットを叩き込むという戦略的な戦い方ができるのも特筆すべき点でしょう。

 ただ、『グラディウス』には欠点もありました。パワーアップが前提のバランスとなっているので、うっかりやられてしまうと立て直しが難しく、残機が沢山あっても何もできずにゲームオーバーになってしまうことが多かったのです。

「このゲーム、最初の1機がやられたらそこで終わりだよな」

 そう思っていたある日、愛読しているファミコン雑誌に、簡単に自機をパワーアップできるコマンドが裏技として紹介されていたのです。これが筆者と「コナミコマンド」の出会いでした。

 後で知ったのですが、このコマンドはアーケード用の『グラディウス』をファミコンに移植する際に、難易度の高さに苦労していたスタッフのために組み込まれたデバッグ用のものでした。

 こうして世に姿を現した「コナミコマンド」は効果の強さと覚えやすさから「裏技」の代名詞となり、その後は様々な作品に実装されるようになりました。

■「コナミコマンド」との再会、そして現在も…

『グラディウスIII』が移植されたスーパーファミコンのコントローラーには「L・R」のボタンが追加されていて……。画像は「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」 (C) Nintendo

『グラディウス』を遊びつくしてから数年後、スーパーファミコン版『グラディウスIII』を入手した筆者は、さっそく「コナミコマンドを」入力してみました。ポーズボタンを押してからコマンドを入力し、画面に現れたオプションを見て「よし、やっぱりコマンドは生きてるな」とほくそ笑みながらポーズを解除した次の瞬間、いきなり自機が爆発したのを見て目が点になりました。

 なんと、慣れ親しんだ「コナミコマンド」に罠が仕掛けられていたのです。ちなみに筆者が『グラディウスIII』の正式なパワーアップコマンドは「上上下下LRLRBA」だったことを知ったのは、この記事を書くために調べものをしていた数分前であることを白状します。

 その後筆者がプレイしたゲームでは、「ときめきメモリアル」シリーズや「メタルギア ソリッド」シリーズなどにもさまざまな「コナミコマンド」が仕込まれており、パラメータいじりやちょっとした小ネタなど、いろいろと楽しませてもらいました。

 他のコナミ製のゲームにも膨大な数のタイトルに「コナミコマンド」は仕込まれており、特に「Dance Dance Revolution」シリーズや「pop’n music」シリーズらに代表される「BEMANI」シリーズでは隠し曲の解禁に使用できることがあり、その有効性は高いものとなっていました。

 また、裏技としてあまりにも有名になったため、隠しコマンドの代名詞として他社のゲーム作品にもしばしば取り入れられたり、ゲーム以外にアニメやマンガ、WEBサイトの小ネタとしても頻繁に使用されています。

『生徒会の一存』というTVアニメを見ていた時に、エンディング曲名が「上上下下左右左右BA」で、歌詞もどこか「コナミコマンド」を意識したものになっていたのに気づいたときは「コナミコマンドが歌にまでなったのか……」と、感慨に浸ったのを覚えています。

 ただのデバッグコマンドが、新たな文化を創造するに至る。

 果たしてほかにこんな事例があるのかはわかりませんが、「コナミコマンド」が次はどのような世界へ歩んでいくのか、これからも楽しみにさせてもらおうと思います。

(早川清一朗)

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