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なぜ『葬送のフリーレン』はヒットした? 「ギャグの緩急が絶妙」「淡々と平和じゃないのが良い」さまざまな意見

マグミクス / 2023年11月24日 20時10分

なぜ『葬送のフリーレン』はヒットした? 「ギャグの緩急が絶妙」「淡々と平和じゃないのが良い」さまざまな意見

■正統派ファンタジーでありながら「斬新」な設定

 原作屈指の人気エピソード「断頭台のアウラ編」が終わり、アニメ『葬送のフリーレン』の話題性はますます高まっています。ここ数年のアニメ業界でも珍しいほどのブームを呼んでいる最中ですが、なぜそんな人気を獲得することができたのでしょうか。本稿では同作にハマっている視聴者たちの意見を取り上げ、ヒットの理由を探っていきます。

 たとえば『葬送のフリーレン』の感想としてよく見られるのが、オリジナリティあふれる設定を絶賛する声です。ネット上では、「ただのファンタジー作品かと思って長年敬遠していたが、良い意味で裏切られた」「使い古された正統派ファンタジーの世界観ながら、既視感を感じさせない設定とストーリー」などと評価されていました。

 同作はジャンルとしてはハイファンタジーですが、指輪を破壊したり、魔王を倒したりするわけではなく、魔王を倒した「後」の世界が物語の舞台です。主人公のフリーレンはかつて勇者たちと共に魔王を倒した魔法使いでありながら、長寿のエルフでもあるため、魔王を倒した後の人生のほうがはるかに長いという設定でした。

 魔王を倒しても世界は続いていく……。そんなある種当たり前の事実を再確認するような物語に、「たしかに」とハッとさせられた人は多いのではないでしょうか。

 ほかにも『葬送のフリーレン』には、画期的な設定がいくつも散りばめられています。勇者一行の活躍によって魔王はいなくなったものの、その後の世界も残党の手下たちが生き残っているため、あまり平和ではありません。

 また、かつて恐れられていた「人を殺す魔法(ゾルトラーク)」が研究し尽くされ、今では「一般攻撃魔法」と呼ばれていたり、苦戦を強いられそうな七崩賢のひとり、アウラとの戦いがあっさり終わったり……。視聴者にリアリティを感じさせる描写を積み重ねている印象です。そんな物語のお約束を丁寧に廃した作風が、現代のアニメファンに響いているのではないでしょうか。

 さらに原作をすでに読んでいたファンのあいだでも、アニメ『葬送のフリーレン』の評価は高いようです。原作は読者に静けさを感じさせるような空気感が魅力でしたが、アニメではその空気を壊すことなく、アクションシーンの躍動感をプラスしています。

 そのためSNSなどでは、「あの独特の世界観を壊さずにうまく表現していてびっくりした」「アニメならではの見応えを完璧に作り出している」と評価する声が後を絶ちません。

■「エモい」だけではない『葬送のフリーレン』

アニメ『葬送のフリーレン』キービジュアル(新パーティー) (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 また『葬送のフリーレン』の魅力について、「フリーレンのシュールな笑いがとても好き」「ふふって笑えるギャグの緩急がいい」と評価する声も聞かれます。たしかに同作は深いテーマ性とは裏腹に、シュールなギャグ要素がたっぷり仕込まれていることでもおなじみです。

 たとえば印象的なのが、アニメの第6話で描かれたギャグシーンでしょう。魔法使いの少女フェルンが、「服だけ透けて見える魔法」で戦士の少年シュタルクを見た際に、「ちっさ……」という言葉が飛び出しました。よくあるアニメなら女性側が悲鳴を上げたり、照れたりしそうな場面ですが、同作ならではのギャグ時空が広がっています。

 ほかにもクスッと笑えるシーンは数多くあるものの、大げさなボケに大げさなツッコミを返すようなギャグシーンはほとんどありません。むしろボケ&ツッコミが成り立っていない場面も多く、何ともいえないシュールな雰囲気を醸し出しています。

 またシュールなギャグだけでなく、フィクションにありがちな過剰な感情表現を避けていること自体も大きな魅力でしょう。フリーレンを始めとして、どの登場人物も淡々とセリフを発し、彼らのあいだには穏やかな時間が流れていきます。どれだけシリアスな場面があっても、見ていて疲れないのは、そうした作風の効果ではないでしょうか。

 毎週金曜23時~という放送枠にはもってこいの雰囲気で、視聴者からは「フリーレンは週末にチルするのにちょうどいい」「夜にまったりと浸れるチル系アニメ」「ヒーリングの波長が出てると思うよ、このアニメ」といった感想も多くあがっています。

 コロナ渦で社会現象を巻き起こしたアニメ『鬼滅の刃』ではギャグもバトルも全力投球で熱血的な作風でしたが、『葬送のフリーレン』は疲れた現代人をそっと癒やしてくれる作品です。今や視聴者は「チル」を求めているのかもしれません。

(ハララ書房)

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