『ガンダム』で語り継がれる「女性キャラの死」 戦争の無情を象徴する「あっけなさ」
マグミクス / 2023年12月4日 6時10分
![『ガンダム』で語り継がれる「女性キャラの死」 戦争の無情を象徴する「あっけなさ」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_197416_0-small.jpg)
■「婚約していたのに…」幸せをつかめなかった切ない女性キャラたち
TVアニメ『機動戦士ガンダム』は、地球連邦軍とジオン公国軍による戦争が舞台となり、そのなかで数々の人間ドラマが描かれました。
とくに作品を彩る女性キャラが容赦なく散っていくシーンは印象的で、多くの視聴者の脳裏に焼きついていることでしょう。そこで今回は、戦場で命を落とした切ないヒロインたちの最期を振り返ります。
アニメの第11話「イセリナ、恋のあと」では、ジオン公国のザビ家の四男であるガルマ・ザビの婚約者、イセリナ・エッシェンバッハのやりきれない死が描かれています。
ガルマとイセリナは相思相愛でしたが、第10話「ガルマ散る」のなかでガルマは命を落とします。実際は、ガルマが信頼を寄せていたシャア・アズナブルの裏切りによる結果でしたが、そのことを知らないイセリナは地球連邦軍に対して敵討ちを決意しました。
そしてガウ攻撃空母に乗ることを自ら志願したイセリナは、ホワイトベース隊に一矢報いるべく出撃します。
しかし、ホワイトベースを守るガンダム、ガンキャノン、ガンタンクによる反撃は激しく、イセリナが乗艦したガウも被弾します。その際、ガウの操縦者が負傷し、イセリナが操縦を代わることになりました。
艦の舵を握ったイセリナは、ガンダムに向かってガウで体当たりを敢行します。地表でガンダムと衝突したガウはそのまま不時着し、双方の機体は動けない状態に。するとイセリナは最後の力をふり絞ってガウの上部に出ると、ガンダムのコックピットから出ていたアムロに向けて銃を構えました。
「ガルマ様の仇!」と発砲しようとしますが、そこで力尽きたイセリナはあらぬ方向に銃を撃ち、ガウの上部から真っ逆さまに転落しました。
ガルマへの一途な愛が、戦いを知らないイセリナを戦場に駆り出しましたが、その行動は虚しい結果となり、彼女は戦場で命を落としたのです。
続いて、アムロが憧れた女性であるマチルダ・アジャンの戦死も、ファンにとっては忘れられないシーンのひとつでしょう。
第24話「迫撃!トリプル・ドム」の回では、ジオン公国軍のガイア、マッシュ、オルテガの3名で構成された「黒い三連星」のドムが、補給中のホワイトベースを襲撃します。
アムロはガンダムで迎撃しますが「黒い三連星」の三位一体の攻撃「ジェットストリーム・アタック」に翻弄され、苦戦を強いられました。
そこにマチルダが操縦するミデアが駆けつけます。アムロを援護するため、マチルダはオルテガのドムに体当たりを試みました。
「ジェットストリーム・アタック」を邪魔されたオルテガはミデアを捕らえると、ドムの両腕を叩きつけてマチルダのいるコックピット付近を粉砕しました。
こうして、あまりにも壮絶な戦死を遂げたマチルダには、ウッディという婚約者がいたことが判明します。結婚という幸せなイベントが間近に控えていただけに、余計に胸が締めつけられる想いを抱いた視聴者は多いことでしょう。
■初代『ガンダム』で忘れられない「ヒロインの死」といえば!?
アムロとの戦闘でララァは命を落とした 画像はDVD「機動戦士ガンダム 第10巻」(バンダイビジュアル)
初代『ガンダム』を象徴する「ヒロインの死」といえば、ララァ・スン抜きには語れません。
第34話「宿命の出会い」では、スペースコロニー・サイド6で、陣営の異なるララァとアムロが出会います。アムロは名前も知らない彼女に不思議な魅力を感じますが、第41話「光る宇宙」では敵としてララァがアムロの前に現れました。
モビルアーマー「エルメス」に搭乗するララァは、アムロが乗るガンダムに向けてビットによるオールレンジ攻撃を仕掛けます。アムロは予想外の方向から来る遠隔攻撃を見事に交わし、ガンダムのビーム・ライフルで次々とビットを撃ち落としていきました。
そのまま激しく交戦するなかで、お互いのニュータイプ能力が共鳴し、アムロとララァは思念によって会話を成立させます。
アムロは戦いをやめさせようと懸命に説得を試み、ララァがそれに応じかけたとき、ふたりの間に割って入ったのがシャアでした。
「ララァ! ヤツとの戯言はやめろ!」と、ふたりだけが共有する世界に対し、嫉妬にも似た感情をあらわにしたシャアは、ゲルググでガンダムに攻撃を仕掛けます。
しかし、ニュータイプ能力が覚醒したアムロが駆るマグネット・コーティングが施されたガンダムの前に、シャアは圧倒されてしまいます。
そしてガンダムのビーム・サーベルがシャアのゲルググを捉えようとした瞬間、ララァのエルメスがシャアを庇ってアムロの攻撃を受けて、戦死しました。
せっかく分かりあえたララァの命を自ら奪ってしまったことにアムロは大きなショックを受け、「取り返しのつかないことをしてしまった」と涙を零す場面に胸を打たれた視聴者は多いはずです。
そして、このララァの死は、アムロとシャアの心に長く刻まれることになります。
『機動戦士ガンダム』の戦場で散った女性たちの死は、戦争の理不尽さや生々しさを表現しているようにも思えます。そして、それぞれに切ない背景があったからこそ、視聴者に強烈なインパクトを与え続けているのかもしれません。
(LUIS FIELD)
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