「元祖厨二病」「商品化に繋がった」 みんな真似した『幽白』の独特な名言3選

■実写版でも聞きたい名言

　1990年代の「週刊少年ジャンプ」の大ヒットマンガのひとつが、『幽☆遊☆白書』です。連載終了から約30年を経て、Netflixでの実写ドラマ化も公開直前で大きな注目を集めています。今回は、当時の読者（主に中高生たち）に多大なる影響を与えた、『幽☆遊☆白書』の真似しやすい、「暗黒武術会編」での名言を振り返ってみましょう。

●飛影「邪眼の力をなめるなよ」

　まずは、「厨二病の元祖」とも呼ばれる飛影の名言から振り返ります。暗黒武術会初戦で是流と対戦することになった飛影は、是流から「ネズミくさい邪眼師ごとき」と馬鹿にされた上に、手刀で身体を貫かれてしまいます。そして是流の妖炎に包まれ、あっさりと倒されてしまったかのように見えました。

　しかし、「いい腕だ、殺すには惜しいくらいだ」というセリフとともに、飛影は炎のなかから帰還します。服はボロボロに破れているというのに、とんでもない耐久力です。飛影はニヤリと笑いながら「見えるか！？　貴様の火遊びとは一味違う魔を秘めた本当の炎術が…」と相手の攻撃を揶揄し、「邪眼の力をなめるなよ」との名言を発して、炎殺黒龍波で是流を焼き尽くします。

　飛影が黒龍を封じるために右腕に包帯を巻いているという設定も当時の中高生に刺さり、ネット上では「怪我してないのに腕に包帯巻いて学校に登校してた記憶を消したい」などと、当時を思い返す声も見受けられました。

●鴉「トリートメントはしているか？」

　続いては、暗黒武術会の準決勝終了後に、鴉が蔵馬に放った名言です。蔵馬が闘技場の通路で鴉と武威に遭遇した際、武威からの不意打ちをくらったほんの一瞬の隙に、目の前にいたはずの鴉の姿を見失います。

「どこへ！？」とあたりを見渡していると、鴉の白い手が蔵馬の首元に絡みついてきます。鴉に背後を取られたことに気づいた蔵馬は冷や汗を流しますが、鴉はまるで愛でるかのように蔵馬の赤い髪に触れ、「少々髪が傷んでいる。トリートメントはしているか？」と発しました。

　蔵馬が振り向きざまに仕掛けた攻撃は鴉に軽々とかわされてしまい、歯を食いしばって悔しがる蔵馬に対して、鴉は「5人の中でお前が一番好きだ」と突如好意を打ち明けるのです。

　美しいものを好み、それを自ら殺すことに快感を覚える鴉にとって、赤髪に緑色の目を持った美青年である蔵馬は恰好の獲物だったのでしょう。この名言は鴉の変態性だけでなく、蔵馬を翻弄するほどの強さをも読者に刻み込みました。そして後に「蔵馬のローズヘアトリートメントオイル」として商品が発売されるほど、大きな影響力を持っています。

●戸愚呂弟「自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね」

『幽☆遊☆白書』で一番ネットミームとして使われているかもしれない上記のセリフは、暗黒武術会決勝戦での戸愚呂弟の深い名言です。幽助の心の弱さを見抜いた戸愚呂弟は「元人間の俺から見て、今のお前に足りないものがある。危機感だよ」「おまえもしかしてまだ　自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね」と幽助に問いかけ、殴り飛ばします。

　さらに会場中の観客の魂を食らうことで幽助を憤らせ、彼の持つ力を引き出そうとしました。しかし、その後も攻撃を食らい続ける幽助を見かねて助太刀した桑原が、戸愚呂弟の一撃に倒れてしまいます。深い悲しみと絶望のどん底に落ちた幽助は、それをきっかけに覚醒して、戸愚呂弟の肉体を崩壊させ勝利しました。

　戸愚呂弟にはかつての人間時代、自分の仲間を守り切れずに殺されてしまったという過去があります。コエンマや蔵馬、左京が語ったように、仲間を捨ててまで強くなった自分が虚しく、悪役を演じ続けてでも仲間を信じる者に倒されたかったのかもしれません。戸愚呂弟のこのセリフはただ相手を威圧するだけのものではなく、彼の本望を遂げるために必要不可欠な名言だったともいえます。

　現状公開されている実写ドラマ『幽☆遊☆白書』の予告を見る限り、そもそも「暗黒武術会編」までは描かれていないようなので、上記の名言はまだ聞けないかもしれません。ヒットして続編が出れば、本郷奏多さん演じる飛影、清水尋也さん演じる鴉、綾野剛さん演じる戸愚呂弟の伝説の名言も聞けるのでしょうか。楽しみに待ちたいところです。

（マグミクス編集部）