「ガンダム奪取」がドラマを生む? 激しい「兄弟機どうしの対決」が描かれたMSたち
マグミクス / 2023年12月13日 6時10分
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■ガンダム兄弟機同士の戦いは伝説級のドラマを生んだ
「ガンダムシリーズ」では「ガンダム」が奪われて、ガンダム同士の兄弟機対決となることがあります。高性能機ゆえに奪われ、敵陣営に使用されることの多いガンダムたちのドラマをいくつか振り返ってみましょう。
宇宙世紀では、たびたびガンダムが奪取され、敵となって姿を現すことがあります。なかでも印象的だったのはOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の「RX-78GP01 ガンダム試作1号機 “ゼフィランサス”」と「RX-78GP02A ガンダム試作2号機 “サイサリス”」との兄弟機対決でしょうか。作品前半を盛り上げた激しい対決でした。
一年戦争終結後、地球連邦軍の「ガンダム開発計画」によって生み出されたこの2機のガンダムは、それぞれ別の目的をもって試作されました。GP01は次期主力機となるための汎用MS(モビルスーツ)の試作機。GP02は核弾頭使用を前提とした強襲攻撃型のMSです。
このGP02の核弾頭に目を付けたジオン公国軍残党組織「デラーズフリート」が奪取を計画、その一員であるアナベル・ガトー少佐によって核攻撃に必要となるラジエーター・シールドとともに強奪されました。
このGP02に立ち向かったのが、偶然にも居合わせた地球連邦軍の新米テストパイロットのコウ・ウラキ少尉です。GP02を奪還するべく、GP01に乗りこみます。しかし、ガトーとの力量の差から逃亡を阻止できませんでした。こうしてコウとガトーの因縁から本作の物語は始まります。
その後、たび重なる実戦と訓練により急速に技量をあげたコウは、GP02の核攻撃を未然に防ぐことはできなかったものの、相打ちながらもガトーとの戦いに一応の決着を付けました。この戦いでGP01とGP02は大破しますが、このふたりの戦いはさらなるMSを得ることで、より激しいものになっていきます。
『0083』はもともと2機のガンダムの戦いが話題となった作品でした。製作当時はガンダム同士の戦いはまだ珍しいもので、この部分が大きなフックとなったことは間違いありません。この後、ガンダム同士の戦いが重宝され、多くの作品で描かれることになります。
そして、複数あるガンダムの1機を強奪し、同系機同士の兄弟機対決になるというパターンは、この後も複数のメディアで使われていく定番パターンになりました。ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』の「RX-79BD-3 ブルーディスティニー3号機」VS「RX-79BD-2 ブルーディスティニー2号機」、マルチメディア展開した『機動戦士ガンダムF90』の「ガンダムF90」VS「ガンダムF90火星独立ジオン軍仕様」などです。
細かいことを言えば、『機動戦士Ζガンダム』のティターンズ仕様の「RX-178 ガンダムMk-II」同士の戦いが、制作年代から見た最初の兄弟機対決でしょうが、インパクトに着目すると、GP01とGP02が元祖ということになるかもしれません。
■親友同士が傷つけあう悲劇的な兄弟機対決も
『ガンダムSEED』で主人公のキラ・ヤマトが搭乗し、奪取された兄弟機と戦った「ストライクガンダム」を立体化した、PG 1/60 GAT-X105 ストライクガンダム」(BANDAI SPIRITS)
兄弟機対決は何も宇宙世紀に限ったことではありません。他の「ガンダムシリーズ」でも行われていました。特に『機動戦士ガンダムSEED』を中心としたコズミック・イラの世界では、物語を動かす大きなドラマとなっています。
『SEED』の物語は、まだMSを持たなかった地球連合軍の大西洋連邦と、中立国であるオーブ連合首長国が極秘に開発を進めていた「G計画」の情報をザフトがキャッチしたところから始まりました。
このG計画で試作された5機のMSのうち、「GAT-X102 デュエル」、「GAT-X103 バスター」、「GAT-X207 ブリッツ」、「GAT-X303 イージス」の4機がザフトに奪取されてしまいます。そして、残った1機「GAT-X105 ストライク」に、学生だったキラ・ヤマトが偶然、乗り込んで戦うところから物語は始まりました。
こうして1対4の兄弟機対決が繰り広げられるわけですが、物語は単純なガンダム同士の戦いに終わらず、キラの親友だったアスラン・ザラがイージスのパイロットだったことでより複雑なものへとなっていきます。
キラとアスラン、お互いに相手を気遣って本気になれないまま幾度も戦いが続きましたが、不幸にも互いの友人を目の前で撃墜することで物語は急転しました。怒りと悲しみがふたりの本来持っている優しさを捨て去ってしまったのです。
機体をボロボロにするような戦いの結果、アスランはイージスを自爆させることでストライクを撃墜。キラはMIA(戦闘中行方不明、事実上の戦死認定)となります。親友であるキラの死亡を確信したアスランでしたが、実は偶然からキラはこの時に救出されていました。
しかし、このことがアスランの心に大きな傷を残します。自分の行動に疑問を感じ、大きな迷いをいだくことになりました。そしてキラの生存を知ったのち、自分の意志でザフトから離脱することになります。そして、以降はキラと行動をともにすることになりました。
この時、キラの乗る「ZGMF-X10A フリーダム」と、アスランの乗る「ZGMF-X09A ジャスティス」もまた兄弟機の関係ですが、以前とは違って協力関係にある本来の運用方法となっています。
この他にもコズミック・イラでは、続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』で今度はザフトのセカンドステージMSである「ZGMF-X24S カオス」、「ZGMF-X31S アビス」、「ZGMF-X88S ガイア」が強奪され、兄弟機である「ZGMF-X56S インパルス」と戦うところから物語が始まっていました。
前述のフリーダムもザフトから奪ったMSですから、コズミック・イラではガンダムが盗難にあうのは日常茶飯事なのかもしれません。
この他にも印象的な兄弟機対決として、『機動戦士ガンダム00』のアリー・アル・サーシェスが「GNW-002 ガンダムスローネツヴァイ」を強奪し、トリニティ兄弟を抹殺するという非情なドラマもありました。
みなさんが「ガンダムシリーズ」で印象的だった兄弟機対決はなんでしたか?
(加々美利治)
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