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「エルフ=長い耳」は日本発祥? ファンタジーファンのすそ野を広げた『葬送のフリーレン』

マグミクス / 2023年12月15日 21時40分

「エルフ=長い耳」は日本発祥? ファンタジーファンのすそ野を広げた『葬送のフリーレン』

■1000万部突破の大人気ファンタジー

 現在放送中のアニメのなかでも特に高い人気を誇る『葬送のフリーレン』は、ファンタジーの「お約束」を盛り込んだ「剣と魔法の世界」の物語です。金曜ロードショーの初回スペシャル放送がきっかけで視聴をはじめたという人も多いでしょう。

 これまでファンタジーに親しんでいなかったファン層にまで「フリーレン」の人気が拡大した結果、なぜエルフは耳が長くて長生きなのか?といった素朴な疑問を持つ声が聞こえてきました。この記事では日本における「ファンタジー系作品」のお約束とその起源について振り返ります。

●日本における「ファンタジー系」作品のお約束とは?

 ファンタジーと聞くと皆さんはどのような作品をイメージするでしょうか。多くの人は、選ばれし勇者と世界征服をたくらむ魔王、魔法使いや戦士といった旅の仲間たち、樽(たる)のような体型のドワーフや尖った耳のエルフ、ゴブリンやオーガなどの危険なモンスターを思い浮かべるのではないでしょうか。

 これらのイメージは作品を超えてゆるやかに共有されており、ファンタジーという懐の広いジャンルを形成しています。中世から近世にかけてのヨーロッパを「イメージ」した世界に異世界転生して活躍する作品がその代表だと言えるでしょう。

 こういった設定の直接的な根源はイギリスの作家J・R・R・トールキンによる『指輪物語』などの古典小説だけではありません。実はその多くがかつて国民的RPGと呼ばれた『ドラゴンクエスト』(以下:「ドラクエ」)にあると言われています。

 たとえば『ドラクエ3』では4人組パーティとして勇者、戦士、僧侶、魔法使いというのが定番でした。『葬送のフリーレン』でも勇者ヒンメルと戦士アイゼン、魔法使いのフリーレンと僧侶ハイターの4人でパーティを組んで魔王を討伐しており、これは極めて「ドラクエ」的だと言えます。

 もちろんファンタジーというジャンルのイメージソースとなった「ドラクエ」もまた数多くの作品の影響下で生まれました。『指輪物語』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ』『ウルティマ』『ウィザードリィ』などがその代表です。

■「ドラクエ」で遊んだことのない世代の登場

「ロト三部作」と呼ばれるドラクエの初期作。日本中のプレイヤーの胸を熱くした。画像は「ピアノ曲集 『ドラゴンクエスト』I・II・III オフィシャル・スコア・ブック」(ケイ・エム・ピー)

『ファイナルファンタジー』と並んで、誰もが一度は遊んだことのあるとされている「ドラクエ」ですが、実は令和の時代においては状況が異なります。一度も「ドラクエ」をプレイしたことがない、それどころかRPGを遊んだことがないという人は珍しくありません。

 かつてはファミコンからスーパーファミコン、プレイステーションといった具合にゲームハードを買い替えて遊ぶという文化がありましたが、現在は違います。据え置きのゲーム機どころかTV自体を持たない人や、スマホなどのモバイル端末で手軽にゲームを楽しむ人が多いのです。

 このような時代の変化により、誰もが知っているからこそ「お約束」になりえた大前提の知識が共有されない世代が現れました。そういった世代にまで『葬送のフリーレン』がリーチしたからこそ、改めて素朴な疑問が生まれたと言えるでしょう。

●実はエルフの耳は長くなかった!エルフの耳が伸びた理由

 ファンタジー作品に登場するエルフといえば、長命で魔法に優れた高貴な種族のイメージが共有されています。その根源の多くは『指輪物語』に由来しているのですが、耳が長くとがったのは『ロードス島戦記』で日本におけるエルフの代表ともいえる「ディードリット」をデザインした出渕裕さんが大きく影響を与えています。

 2018年に行われた「『ロードス島戦記』出渕裕×『ペルソナ』副島成記:対談」内で、出渕さんは映画『ダーク・クリスタル』に登場する「ゲルフリン」という種族の少女「キアラ(キーラ)」の耳が長いから、自分のなかにエルフの耳は長いとインプットされていた、と述べています。ゲルフリン(Gelfling)とはエルフ(elf)のスペルにGを付けたオリジナル種族なのです。

 つまり、もともとのエルフの耳はディードリットやフリーレンのように長くありませんでした。『指輪物語』の実写映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するエルフ「ガラドリエル」の耳は尖っていますが、長く伸びてはいません。耳が長いエルフは日本産だと言えるでしょう。

●再びファンタジーの認知を高めた『葬送のフリーレン』

『葬送のフリーレン』の人気の高まりによって、ファンタジーの「お約束」は再び広く認知されるようになりました。このフォーマットを使えば「時代劇」のように、舞台背景を説明する必要がありません。「お約束」の認知力が高いジャンルの寿命は長いです。ファンタジーのブームは一過性に終わらず、今後も続いていくことでしょう。

(レトロ@長谷部 耕平)

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