感情的に行動しすぎ？ 『鬼滅の刃』後で「自分の首を絞めた」無惨様の失敗集

■感情的になったせいで後手に回ることになった無惨様

「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『鬼滅の刃』は、2024年春に「柱稽古編」のTVアニメ放送が控えており、さらには『「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』が2024年2月2日から上映予定で、原作が終了してもなお高い人気を誇ります。

　作中のラスボスである鬼の始祖・鬼舞辻無惨は、とにかく自分が生き残ることを最優先に考えており、冷酷で賢く計略家のように見えます。しかし、無惨は時折感情的に行動してしまい、読者から「失敗」扱いされた行動もありました。

※この記事は『鬼滅の刃』でアニメ化されていない部分のネタバレを含みます。

　例えば、主人公の竈門炭治郎の母である竈門葵枝（かまど・きえ）を殺害してしまったことも挙げられるでしょう。というのも無惨が長年探していた「青い彼岸花」の在り処を、彼女が知っていたからです。無惨は青い彼岸花に「日光に浴びたら消失する」という鬼の弱点を解消できる可能性があると考えており、部下の鬼たちを使って必死に探していました。

　この事実は『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』の「戦国コソコソ噂話」に記載されており、そのなかで葵枝が青い彼岸花の場所を知っていたことが語られています。

　もちろん無惨はそのことを知る由もなく、序盤に彼女を殺害してしまいました。ちなみに、炭治郎も小さいときに母に連れられて、「青い彼岸花」を見ており、下弦の伍の鬼・累との戦闘の際の走馬灯でその場面が描かれています。無惨や部下がもっとリサーチを徹底していれば、一番の弱点がなくなっていたかもしれません。

　アニメが記憶に新しい「刀鍛冶の里編」では、最終話にその「青い彼岸花」にも関係する「無惨の失態」が話題になりました。平安時代、まだ人間だった頃に、無惨は20歳まで生きられないと言われた病弱な自分を治療してくれた善良な医者を、殺害していたことが明らかになったのです。

　医者は無惨を健康な身体にするためにあれこれ手を尽くしますが、病状は悪化する一方でした。そこに苛立ちを覚えて、無惨は最終的にその医者を殺してしまいます。

　悲しいことに医者を殺害したのち、彼は徐々に健康になっていく自身の身体に気付きますが、それと同時に太陽の下を歩くことができなくなり、人の血肉を好む身体になってしまっていました。健康になれたのはよかったものの、無惨は今度は太陽の下を歩けないことが苦痛になってその克服方法を探し始めます。

　そして、「太陽の下を歩けない」状態を克服できる薬の作り方は、その医者のみが知っていました。前述したように、その薬に必要な青い彼岸花を探させるために、無惨は欲しくもない配下の鬼たちを増やします。1000年以上も不毛な労力を使うことになったわけですから、医者を殺した無惨の後悔の念は相当なものだったかもしれません。

　その他、いちばん「無惨の失敗」として指摘されることが多いのが、「下弦の鬼の解体」です。前述の累が倒されたことがきっかけになりました。

　無惨配下の「十二鬼月」のうち、上弦の鬼は100年余り顔ぶれが変わっておらず、下弦の鬼のみが入れ替わっており、さらには鬼殺隊の柱を殺すのも上弦の鬼ばかりです。無惨はその弱さから存在理由が見出せなくなり、死んだ累がお気に入りだったこともあって、なかば八つ当たりのような形で彼らの解体と殺戮を行うことになります。

　読者の間では「厭夢（下弦の壱）だけじゃなくて、あそこに集められた他の4人も無限列車に向かわせてれば、炭治郎、善逸、伊之助の誰かくらいは殺せてただろ」「累だって結局炭治郎の代わりに義勇が倒したんだから、成長する前の炭治郎殺害には使えたはず」「上弦の手駒にさせるくらいの使い道はあったのでは」と、いろんなツッコミが話題になっています。

　下弦を始末した、いわゆる「パワハラ会議」の場面の無惨には、「もしかして誰も女装姿をかわいいって褒めなかったから、ぶち切れてパワハラ会議になってしまったのでは……？」「十二鬼月4人を殺した無惨様こそ最強の鬼狩り」とイジるコメントも多数出ていました。

　鬼の始祖ながら人間臭い一面も多い無惨は、「ある意味カワイイ」「冷酷だけど冷静じゃなくて好感持てる」など、その失敗ゆえにある種の人気も集めています。

（LUIS FIELD）