カギは「ゲルググ」? ジオンの大失策か「ニュータイプ兵器を小出しで投入」の謎を読み解く
マグミクス / 2023年12月16日 6時10分
![カギは「ゲルググ」? ジオンの大失策か「ニュータイプ兵器を小出しで投入」の謎を読み解く](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_200823_0-small.jpg)
■読み解く鍵はシャアの「ゲルググ」
アニメ「ガンダム」シリーズの「ニュータイプ」といえば、いざパイロットを務めれば未来予知にも近い「直感」を働かせて、光速に近いビーム兵器を回避し、ビットのような遠隔操作兵器も操るという、軍事的な観点からは非常に強力な存在です。
シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』のジオン公国軍には、「ララァ・スン」や「シャリア・ブル」、そしておなじみ「シャア・アズナブル」といったニュータイプのパイロットが所属し、それぞれ「エルメス」「ブラウ・ブロ」「ジオング」というニュータイプ専用モビルアーマー(MA)/モビルスーツ(MS)に搭乗して戦います。これら兵器には「サイコミュシステム」と呼ばれる、無線で遠隔操作可能な無人攻撃ポッド「ビット」や、有線でコントロールする腕部ビーム砲などといったニュータイプ専用兵器が搭載されており、ミノフスキー粒子でレーダーが効かないこの世界では対応困難な「オールレンジ攻撃」を仕掛けてきます。
特に「エルメス」のビットは感知も困難で、地球連邦軍の宇宙艦艇は、ほぼ何もできずに撃沈される様子が描かれていました。
このように強力なニュータイプ専用MA/MSとニュータイプパイロットではあるものの、物語において戦場に投入されるのはいつも1機ずつでした。そして、普通に戦えば連邦軍にできることは何もないほどの戦力でありながら、ニュータイプとして異常覚醒を遂げたアムロが操縦する「ガンダム」を相手にすると分が悪く、ビットや有線ビーム砲はビーム・ライフルで撃墜され、接近戦を挑まれて撃破されるのです。
アムロの「ガンダム」を中心とする「ホワイトベース」のモビルスーツ隊が高練度なのは、特にシャアは熟知しているはずであり、兵力を逐次投入すれば各個撃破されるかもしれないことは、シャアも頭にあったことでしょう。
ではなぜ、ジオン軍はニュータイプ部隊を集中運用できなかったのでしょうか。「エルメス」と「ブラウ・ブロ」と「ジオング」を同じ戦場に投入すれば、いくら「ガンダム」でも大いに苦戦するでしょうし、もしかすると撃破できる目だってあるかもしれません。そこまでは期待できないとしても、アムロ&「ガンダム」以外は全て撃破できそうですし、そうなると「ホワイトベース」を撃沈して「ガンダム」も無力化できるかもしれないのです。
なおこの場合、それぞれの機体の完成時期のズレについては、無視しても大丈夫でしょう。シャリア・ブルが登場するエピソードはソロモン要塞の陥落後で、そしてソロモンが陥落したのは12月25日、終戦まで約1週間というタイミングです。
しかし、ニュータイプ兵器の集中運用はなりませんでした。改めて、なぜ集中運用ができなかったのかを考えると、その答えは「ララァの『エルメス』を護衛するのが、シャアの『ゲルググ』」であったことから紐解けるかもしれません。
■ニュータイプ兵器が集中運用できない理由の一考
BANDAI SPIRITS「1/550 ブラウ・ブロ」 (C)創通・サンライズ
シャアの「ゲルググ」は高性能なモビルスーツではあるものの、ニュータイプ用兵器などは何も搭載していませんでした。またこの時点で、シャアのニュータイプ適正がどの程度なのか、上司の「キシリア」が把握していないとは思えません。シャアをニュータイプ部隊の指揮官として任命し、後で「ジオング」も与えているのですから、ある程度、ニュータイプ能力があることは把握していたはずです。にも関わらず、シャアは「ジオング」までニュータイプ用兵器に搭乗していません。
恐らく、当時のサイコミュ技術では、複数のニュータイプ兵器を同じ戦場に投入すると、サイコミュ同士が混信して、うまくビットや有線腕部ビーム砲を動かせなくなるのではないでしょうか。だからシャアは、ニュータイプ能力で自分より勝るララァ(劇中でシャアは「ララァの方が優れている」と認めています)の「エルメス」にオールレンジ攻撃を任せ、自分は通常兵器の「ゲルググ」で護衛に徹していたのだと思われます。
そう考えるなら、特に「ブラウ・ブロ」のような図体の大きなMAには、エースパイロットの搭乗したMSの護衛を付けるべきでしたが、たとえばマンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場するエース部隊「キマイラ」は、「シャアのニュータイプ部隊が反乱を起こした際に、撃破するための戦力」とのことです。つまり、上官たるキシリアとしては「キマイラ」のようなエース部隊が、カリスマ性を持つシャアの影響下に置かれたり、ニュータイプたちと共感して寝返ることを恐れ、ニュータイプ部隊の護衛にはできなかったのでしょう。この両者が連携していたら、アムロの「ガンダム」でも撃破されていたかもしれませんね。
キシリアがシャアのニュータイプ部隊を信用しきれなかったばかりに(弟のガルマを殺し、自分も仇討対象なのですから、無理もありませんが)、ニュータイプ部隊とエース部隊が連携できず、連邦に敗れたと考えるなら「足並みのそろわないジオンらしさ」を感じてなりません。
(安藤昌季)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
劇場版『ガンダム』で「消された」重大な要素 その後の歴史が変わった可能性も…!?
マグミクス / 2024年7月22日 6時25分
-
『ガンダム』MSの名前はどのように決めていた? 「ザクの由来」と「エルメスの問題」
マグミクス / 2024年6月30日 6時25分
-
『ガンダム』戦果だけじゃない「アムロ最大の貢献」とは? そらジオンは勝てねーよ!
マグミクス / 2024年6月28日 6時25分
-
『機動戦士ガンダム』好きな名言ランキング-主人公から名もなき兵士のセリフまで一挙紹介
マイナビニュース / 2024年6月25日 20時21分
-
『ガンダム』最終話でアムロが「僕の好きなフラウ」といった真意は何だったの?
マグミクス / 2024年6月25日 6時25分
ランキング
-
1「大谷の件といいクソすぎる」フジテレビに批判殺到!猛暑にマラソン…井上咲楽ドクターストップが物議
週刊女性PRIME / 2024年7月21日 21時10分
-
2《全文公開》俳優・中野英雄が明かした“28歳下女優と4連泊→元妻宅”「二重生活」の真実「もう男性機能がダメなの」「息子の仲野太賀は『母さんがいいなら…』と」
NEWSポストセブン / 2024年7月22日 7時20分
-
3高級すし店の大炎上から半年...元ラウンジ嬢がビキニ姿に Xでは「美容整形好き」告白
J-CASTニュース / 2024年7月21日 19時0分
-
4「光る君へ」道長巡る修羅場2連発に凍りつく
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年7月21日 20時50分
-
5中森明菜、6年半ぶりディナーショーで感動の11曲を披露 MCでは「ただのクソババアでしょ。来年還暦よ」と大暴れ
NEWSポストセブン / 2024年7月22日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)