「元ネタより有名になりすぎ？」 実は「スピンオフ」の人気作3選

■元ネタは美少女ゲーム？

　マンガ『名探偵コナン』に登場する安室透をメインキャストにした『名探偵コナン ゼロの日常』や、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』の御坂美琴を主人公にした『とある科学の超電磁砲』など、本編から派生して作られた、さまざまな「スピンオフ」作品が人気を博しています。今回はそんなスピンオフ作品のなかでも、元になった作品が存在するということに驚いてしまうほど有名になった作品、キャラたちを振り返ります。

●マンガ『アカギ～闇に降り立った天才～』

『賭博黙示録カイジ』『銀と金』『最強伝説 黒沢』など、数々の作品で知られる福本伸行先生の代表作『アカギ～闇に降り立った天才～』は、1992年から26年間という長期間にわたり連載された作品です。アニメ放送のほか、主人公･赤木しげるを俳優の本郷奏多さんが演じた実写ドラマも放送されるなど、人気のギャンブルマンガでした。

『アカギ』の元になった『天 天和通りの快男児』という作品で、こちらの作中での赤木は、裏社会の頂点に君臨していた中年の伝説の博徒として登場しました。はじめは強敵として主人公・天貴史に立ちはだかるものの、その後頼れる味方となって活躍します。その赤木が、13歳から青年時代にかけて築いていった伝説を描いているのが『アカギ～闇に降り立った天才～』です。

　なかでも、序章を含めると連載20年に渡った「鷲巣（わしず）麻雀｣編は、『アカギ』を象徴する戦いと言えます。戦後日本の影の支配者の鷲巣巌が考えた、お金ではなく自らの血液を賭けるという過酷なルールのもと、裏社会を牛耳る事前の輸血により致死量を変動させたり、昏睡状態に陥っても復活し勝負を続行したりと、生死をかけたギリギリの攻防と丁寧な心理描写が描かれた、伝説の1戦となりました。

　鷲巣の存在は『天』でも触れられているので、『アカギ』→『天』の順番で読むのも面白いでしょう。

●TVアニメ『魔法少女リリカルなのは』

　2004年に放送されたTVアニメ『魔法少女リリカルなのは』は、第1期のヒットを受けて2018年までにTVアニメシリーズは5作、劇場版も4作公開されている人気シリーズです。こちらは1998年にリリースされた『とらいあんぐるハート』シリーズの3作目の18禁の美少女恋愛アドベンチャーゲーム『とらいあんぐるハート3 ～Sweet Songs Forever～』が原作となっています。

　なのははゲームでは主人公の妹という攻略対象でもない脇役設定でしたが、おまけとして作られたストーリーが好評となり、スピンオフ作品としてアニメ化しました。

　魔法少女という可愛らしい響きとはかけ離れた激しい戦闘シーンも特色で、劇場版の『魔法少女リリカルなのは Detonation』は、その戦闘シーンのリアルな描写からPG12指定となっています。その人気は健在で、2023年にもドン･キホーテとコラボした新商品が発売され、アニメの世界観を楽しめる期間限定イベントなどもこれまで多数開催されています。

●スマートフォン向けゲーム『Fate/Grand Order』

　2015年にリリースされてから、現在もゲームのセールスランキングでは上位をキープしている人気のスマートフォン向けゲームの『Fate/Grand Order』（通称『FGO』）は、プレイヤーが英霊（サーヴァント）と呼ばれるキャラクターたちを従えるマスターとなり、失われた未来を取り戻すための聖杯探索（グランドオーダー）という旅に出るロールプレイングゲームです。アニメやマンガ版、舞台も作られる人気を誇ります。

　そんな『FGO』は、2004年に発売されたパソコン用ゲーム『Fate/stay night』から始まる、『Fate』シリーズのひとつです。『Fate/stay night』は『FGO』とは違って、文章を読み進めながらさまざまな選択をすることで物語の展開に変化が生まれるというヴィジュアルノベルというジャンルでした。

　まだ半人前の魔術師である主人公が偶然英霊であるセイバーと契約をしたことにより、「聖杯戦争」と呼ばれる殺し合いの戦いに巻き込まれていくストーリーです。『FGO』に登場するセイバーや遠坂凛、間桐桜といった人気キャラクターたちの原型は、すでに『Fate/stay night』で完成されていました。

（マグミクス編集部）