ルフィが死にかけた… 『ワンピ』手も足も出なかった「敵キャラ」たちの絶望的な強さ

■強さのインフレに屈しない海軍大将の強さ

　たとえ少年マンガの主人公といえど、必ずしも敵に勝つとは限りません。それは『ONE PIECE（ワンピース）』の主人公モンキー・D・ルフィも例外ではなく、これまで勝利と敗北を繰り返してきました。なかでもルフィがとんでもなく苦戦を強いられ、結局「勝てなかった」敵キャラといえば誰なのでしょうか。

※この記事には『ONE PIECE』単行本未収録の内容も含まれています。

　思い返せばルフィが苦戦する敵キャラには、「自然（ロギア）系」の能力者が多かったように感じます。初期の手強かった敵でいえば、「アラバスタ編」のラスボスであるサー・クロコダイルが筆頭に挙げられ、「スナスナの実」の能力で干からびてしまったルフィの姿には当時多くの読者が衝撃を受けたのではないでしょうか。そのあと運よく復活したから良かったものの、一歩間違えればルフィの冒険は「アラバスタ編」で終わっていたかもしれません。

　クロコダイルとの戦いでは、なんとか最終的に勝利を収めることができたものの、ほかにもロギア系の能力者に苦汁を飲まされた経験があります。その相手は、元海軍大将「青キジ」ことクザンでした。

　クザンがルフィたちの前に現れたのは、「ロングリングロングランド島」にたどり着いたタイミングです。そこで戦いが勃発しますが、麦わらの一味の三大戦力であるルフィ、ゾロ、サンジの3人がかりでも倒せずに終わりました。そのあと一騎打ちになった際も、ルフィはあっという間に「アイスタイム」で氷漬けにされてしまいます。

「空島編」でエネルをやすやすと倒したあとだったこともあり、ルフィが呆気なく敗れる様子は、まさに「絶望」のひと言に尽きるでしょう。ウソップが「……あんな強ェのがこの先…おれ達を追って来るのかな」と思わず怖気づいてしまうのも無理はありません。

　今でこそルフィは「覇気」を習得しているため、相手がロギア系だろうと実体にダメージを食らわせることができます。おまけに「ワノ国編」では太陽の神ニカの力に目覚め、懸賞金ランキング3位のカイドウを倒すほどの強さを手に入れたので、もはや海軍大将レベルは敵ではないともいわれていました。

　ところがそんな矢先、現在連載中の「未来島エッグヘッド編」では読者の予想を覆すような展開が起こりました。海軍大将の「黄猿」ことボルサリーノとほぼ互角の対決が繰り広げられたのです。つまりニカの力をもってしても、海軍大将レベルの壁はそう簡単には乗り越えられないということでしょう。

　通常バトルマンガには強さのインフレが起こるものですが、ルフィが四皇のひとりとなった今でも、相変わらず海軍大将はトップクラスの強さを誇っています。もしこの先クザンとのリベンジマッチがあっても、苦戦は避けられないかもしれません。さらにクザンを倒し、海軍元帥となった「赤犬」サカズキに関しては、なおさら厳しい戦いになるのではないでしょうか。

　またルフィは、「毒」によって何度も死にかけています。なかでも印象的なのは、「インペルダウン編」に登場したマゼランとの一戦でしょう。全身から毒を分泌させるマゼランを攻略できず、最終的に生死をさまようほど追い詰められていました。あの場に「治癒ホルモン」を使えるエンポリオ・イワンコフがいなかったら、ルフィはほぼ確実に死んでいたことでしょう。

　そもそもマゼランの「ドクドクの実」の能力はチート級の強さを誇り、恐らく武装色の覇気をまとったところでどうこうできる能力ではありません。今のルフィなら当時よりは善戦できるとは思いますが、もう少し何か決定打がないと勝機は薄そうです。

　こうして見ると、ルフィには意外と相性の悪い敵が多く、ほかにも「ホビホビの実」「ガスガスの実」「ホロホロの実」などの「初見殺し」のような能力は、思考回路が単純なルフィにとって脅威となりえる存在です。実際「ホロホロの実」の能力者であるペローナのネガティブホロウを食らったルフィは、すっかり戦意を失ってしまい、あわや一味は全滅するところでした。

「四皇」へのぼり詰めたとはいえ、ルフィには天敵が多いのも事実です。はたして今後はどのような敵が麦わらの一味の前に立ちはだかり、ルフィの脅威となるのか、この先の展開が楽しみですね。

（ハララ書房）