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「悲壮感エグすぎ…」 『ワンピ』旧三大将である赤犬・黄猿・青キジの「現在」が苦しい

マグミクス / 2023年12月15日 21時10分

「悲壮感エグすぎ…」 『ワンピ』旧三大将である赤犬・黄猿・青キジの「現在」が苦しい

■まさかの「黒ひげ海賊団」入りを果たした人物も

 かつてセンゴクが海軍のトップを務めていた頃、海軍大将の座にはサカズキ(赤犬)、クザン(青キジ)、ボルサリーノ(黄猿)が君臨しており、「三大将」と呼ばれていました。しかし時が経ち、今では3人はそれぞれ別の立場で活動するようになっています。

 最終章では、そんな元三大将の行く末がストーリーの根幹に関わってくる可能性も高いでしょう。まさに波乱万丈というべき彼らの「現在」について、改めて振り返ります。

※この記事には『ONE PIECE』最新話付近の内容を含みます。

 まず、旧三大将でもっとも激動の人生を送っているのがクザンです。センゴクが元帥の座を退いた際、クザンはその座をめぐってサカズキと決闘を繰り広げ、敗北の末に海軍を脱退しました。そしてマーシャル・D・ティーチから勧誘される形で、「黒ひげ海賊団」の一員になったとされています。

 クザンといえば、海軍の正義を絶対視しない稀有な姿勢をもち、海賊であるルフィたちにも公平かつ公正に接してきました。善悪の判断に悩み続けるという意味で、旧三大将のなかでは一番人間味あふれる人物といえるでしょう。そんな彼が悪名高い「黒ひげ海賊団」の一員になったという展開は、衝撃的というほかありません。しかも扉絵連載シリーズ「ジェルマ66のあゝ無感情海遊記」によると、クザンはビッグ・マムの縄張りに潜入し、シャーロット・プリンをさらったようです。

 そして「週刊少年ジャンプ」本誌で展開中の「エッグヘッド編」では、「黒ひげ海賊団」のメンバーとして活動するクザンの姿が描かれました。海賊島ハチノスにて「海軍の英雄」モンキー・D・ガープとの戦闘を繰り広げたほか、かつてクザンがガープの一番弟子だったという過去も描かれています。

 組織に縛られず、自分の正義を貫くというスタンスは、ガープからクザンに継承されたものなのかもしれません。では、なぜ海賊として悪事にしか見えない行為に手を染めるようになったのか、謎は深まるばかりです。

■「赤犬」サカズキにも人間の心があった?

画像は「一番くじ ワンピース 絶対的正義 A賞 サカズキ MASTERLISE EXPIECE」(BANDAI SPIRITS)

 一方で、いつもひょうひょうとしていてつかみどころのない存在だったボルサリーノも、人間味のある部分が徐々に明らかになっています。「エッグヘッド編」では、Dr.ベガパンクの暗殺を命じられたボルサリーノが、エッグヘッド島に侵入する展開が描かれました。しかし、そこで描かれた回想シーンによると、実はボルサリーノにとってDr.ベガパンクは古くから親しんできた「友人」であり、その部下である戦桃丸に至っては「愛弟子」だったようです。

「シャボンディ諸島編」の頃から、私情をはさまず淡々と任務をこなす印象だったボルサリーノですが、エッグヘッド島での任務にはさすがに心を揺さぶられたのでしょう。戦う前に戦桃丸へ降伏するようにと説得を行っており、本当は愛弟子を傷つけたくはないという本音をのぞかせていました。

 さらに第1092話では、ルフィからなぜDr.ベガパンクを始末したいのかとたずねられた際、「殺したいわけがない」という想いをセリフににじませています。結局ボルサリーノもまた、単なる組織の歯車ではなく、人間らしい葛藤を秘めた人物だったのでしょう。

 対してサカズキはまだ、ほかのふたりほどブレた姿勢は見せていません。かねてより彼は「徹底的な正義」を掲げており、海賊に対して情け容赦のない暴力をふるってきました。「2年後」の世界では、新たな海軍元帥として、各地の部下たちに命令を飛ばす姿が描かれています。

 しかし本人のやる気は別として、元帥という立場からいろいろな苦労も背負っています。世界政府の最高権力「五老星」から無茶な命令を下される一方、部下である海軍大将・藤虎からは反抗的な態度をとられ、読者のあいだでは板挟みの状況を「中間管理職」と揶揄(やゆ)されている始末です。

 また「エッグヘッド編」では、ほのかに人間性を感じさせる描写もありました。聖地マリージョアで暴走するバーソロミュー・くまを止めに入った際、意図的なのか偶然なのかトドメを刺せず、その姿に対して「意思も心も全て失った『人形』がよ……!!」という言葉を投げかけていたのです。まるで自分自身に言い聞かせているかのようなセリフでもあり、サカズキの人間味を感じる読者も多かったのだとか……。

 物語が進むに連れて、ようやく旧三大将の人物像が見えてきた印象です。彼らの掲げていた「正義」はどこに行きつくのか、今後のエピソードからますます目が離せません。

(ハララ書房)

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