1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

『逆襲のシャア』環境と巡り合いが悪かった? 不人気ヒロインのクェスを擁護してみる

マグミクス / 2023年12月17日 6時10分

『逆襲のシャア』環境と巡り合いが悪かった? 不人気ヒロインのクェスを擁護してみる

■純朴な少年の人生を狂わせた運命の少女

「ガンダム」シリーズには、強烈な個性をもった女性が数多く登場します。そのなかでも映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下、『逆シャア』)に登場したニュータイプの少女「クェス・パラヤ」は、衝動的で奔放なふるまいから、ファンの間で敬遠されがちなヒロインとして有名です。

 しかし、本当にクェスは感情的でわがままなだけの少女だったのでしょうか。あらためてクェスについて振り返ります。

※以降、登場人物の生死に関わる記述を含みます。

●包容力ある大人の男性を求める13歳女子(家出中)

 本稿を作成するにあたって久しぶりに『逆シャア』を見返したところ、クェスの自己主張の強さと、びっくりするほど衝動的なふるまいに目眩がしました。爆弾のように繊細で危険なクェスを簡単に受け入れる人間がいたとしたら、100%良からぬ事を考えているに違いありません。現実では、彼女のような少女を狙った犯罪は珍しくないでしょう。

 クェスを「ウザい」と感じるガンダムファンは少なくないでしょうが、それは彼らがまともな倫理観をもっている証拠だと思われます。クェスに懐かれたアムロが距離を取り、受け入れたシャアが戦闘マシンとして利用したのは対照的です。

●性的な眼差しを避けつつ庇護されたい少女

 クェスは、同じ10代であるギュネイとハサウェイから好意を寄せられますが受け入れません。クェスにとってその眼差しは、父親が愛人を作って家庭を崩壊させたことから耐えがたいのでしょう。だから自分を性的対象にせず、庇護し肯定してくれる理想の父親を求めたのだと思われます。

 またアムロやシャアを独占しようとして、ほとんど全ての女性キャラと摩擦を起こしているクェスに「女」を見るファンもいますが、それはクェスが情緒的にも社会的にも未熟な証拠だといえるでしょう。

●「α・アジール」という「アサイラム」

 映画終盤、クェスはシャアの期待に応えるため、言われるがままに「α(アルパ)・アジール」というドイツ語の名前を持つ強大なモビルアーマーに搭乗します。「アジール」とは英語で「アサイラム(asylum)」といい、避難所や聖域といった意味があります。「α(アルファ)」と合わせれば、「初めての避難所」という含みのあるネーミングだといえるでしょう。明らかに行き場のない彼女が追い詰められた場所を意識していると思われます。

 周囲に肯定されず導かれることもなかったクェスは行き場を失い、最後には兵器のコクピットという危険なアサイラムに逃げ込み(追いやられ)、死んでしまいました。

 等身大のクェスに向き合っていたのはハサウェイだけですが、残念なことに同じくらい未熟なハサウェイには、彼女を支えられるだけの人間力がありません。そんなハサウェイをクェスがかばったのは、自分を肯定してくれる存在だと認めていたからだと思われます。クェスは自分を肯定してくれる存在のために命を捨てられるほど、承認に飢えていたのでしょう。

 感受性が高すぎて衝動的なので嫌われがちなクェスですが、実は可哀想な少女だったのではないでしょうか。

* * *

 BS12 トゥエルビ『日曜アニメ劇場』は、2023年12月17日(日)19時より映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を、その翌週24日(日)19時より映画『機動戦士ガンダムF91』を放送します。視聴方法は「BS+12ボタン」または「3桁番号222チャンネル」です。

(C)創通・サンライズ

(レトロ@長谷部 耕平)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください