キャラゲーと侮ることなかれ ガチで面白かったファミコンの「キャラもの」RPG3選
マグミクス / 2023年12月16日 20時10分
■『ドラえもん』の劇場版に登場した悪人たちが復活?
ファミリーコンピュータ用のゲームソフトは、1986年5月23日に『ドラゴンクエスト(以下、ドラクエ)』、1987年1月26日に『ドラゴンクエストII』が発売され大ヒットを飛ばすと、それ以後、目に見えてRPGに分類される(あるいは自称する)ものが増えていきました。
また、それまではアクションゲームが中心だった、アニメやマンガを題材とするいわゆる「キャラゲー」も、このムーブメントに乗ったタイトルが発売されていきます。ただこの「キャラゲー」というジャンルは、どうにも低品質なゲームも見られ、なかには「キャラゲー=クソゲー」と刷り込まれてしまっている人もいるかもしれません。
もちろん、そうしたなかでも「名作」と評されるゲームは見られます。そのひとつに挙げられるのが、1990年9月14日にエポック社から発売された『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』でしょう。おなじみ国民的アニメ『ドラえもん』を題材としたRPGでした。
ゲームシステムはいわゆる『ドラクエ』フォロワーといえる、敵と戦いながら経験値を得てレベルを上げ、謎解きをするというオーソドックスなものです。わかりやすいゲームフローであることに加えて、世界観が『ドラえもん』の劇場版作品とクロスオーバーしているところが本作のポイントでしょう。
ゲームフローはオーソドックス。エポック社『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』より
タイトルの「ギガゾンビ」は映画『ドラえもん のび太の日本誕生』に登場する悪党で、本作にボスとして現れます。また冒険の舞台は『ドラえもん のび太の魔界大冒険』の魔界、『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』の海底、『ドラえもん のび太と竜の騎士』の地底などで、劇場版本編のその後を描く物語が展開されました。
その魔界編には「魔王デマオン」、海底編には「ポセイドン」と、劇場版でお馴染みのキャラクターが敵ボスとして君臨します。地底編に限っては明確な敵がいないため、オリジナルキャラとの戦いが繰り広げられました。ラストはギガゾンビが待ち構える古代編です。
もちろん敵キャラだけでなく、仲間として『魔界大冒険』の「美夜子」や『海底鬼岩城』の「バギーちゃん」こと「水中バギー」も登場するので、劇場版を観て知っている人は大いに胸が熱くなることでしょう。
ちなみに作中冒頭で、ドラえもんからの「一緒に助けにいってくれない?」というお願いを断り続けるとゲームオーバーになることでも有名な作品です。
■ひと味違う「三国志」RPG/「カードダス」をまるっと盛り込んだRPG
『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』を踏襲した、2015年リリースのスマホ/PC用ゲーム『ナイトガンダム カードダスクエスト』より
1983年から1984年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載されたマンガ『天地を喰らう』を原作とする同題のゲームも、名作として挙げられる1本でしょう。1989年5月19日にカプコンから発売された同作は、原作の三国志の世界観をRPG化したもので、『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』のようなファンタジーな世界観ではなく、武将たちと手を取り合って天下統一を目指すというストーリーになっています。
主人公である劉備軍を操作していくこの作品の面白ポイントは、敵将と戦った後、仲間に加えられるところです。誰でも味方にできるわけではなく、金や名馬を提示して交渉し、相手が納得することでパーティに参加します。相手がモンスターではなく人なだけに、とてもリアルなやり取りに感じるでしょう。もちろん、なかには弱い武将もいるため、スカウトとしての目利きもゲーム攻略のカギになります。
また一般的なRPGのHPにあたるものが「兵士数」というステータスで、ゼロになれば戦闘不能になるのはもちろん、減れば減るほど攻撃力もダウンします。それだけでなく「兵糧(軍隊の食糧)」というシステムもあり、街や城、砦以外を歩くと兵士数に応じて兵糧の数値も下がります。兵糧がゼロになれば、『ドラクエ』でいうところの「毒状態」になり、歩くたびにダメージを受ける、すなわち兵士が逃散していくのです。この独特のシステムも本作の面白ポイントで、より頭を使ってゲームを進めなければいけない点が多くのプレイヤーを魅了したといいます。
そうした、一般的なRPGとはひと味違うタイトルといえば、『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』も外せません。同作を語るには、その前に、1988年に登場した「カードダス」について少々、説明が必要でしょう。
カードダスとは、バンダイが展開するトレーディングカードおよびその自動販売機の総称です。ローンチ商品として、「ガンダム」シリーズに登場するキャラクターやモビルスーツをデフォルメした「SD(スーパーデフォルメ)ガンダム」のキャラクターカードなどがラインナップされ、当時の子供たちの間でブームになります。
その「SDガンダム」のバリエーションとして誕生したのが、ファンタジーRPG要素を取り入れた「騎士(ナイト)ガンダム」で、独立したシリーズとしてカードダス、カプセルトイ、プラモデルなど商品展開がなされました。
1990年8月11日に発売された『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』は、その展開された商品のひとつです。敵を倒しながらレベル上げや謎解きをするのに加え、ゲーム中でカードダスの購入やバトルができるシステムを盛り込んでいました。
なかにはストーリーを進める傍ら、街でカードダスを購入してコンプリートを目指したり、カードダスバトルに没頭したりするプレイヤーもいたといいます。しかも対戦相手によっては大量の経験値やお金を獲得できるため、効率よくレベル上げをするためにも役立ちました。
ゲームのなかにカードゲームを収録しただけでなく、ゲームシステムにもしっかりと組み込まれていて、RPGの面白さの幅を広げた作品といえるでしょう。
エポック社『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』:(C)1990 EPOCH CO.,LTD. (C)藤子・小学館・テレビ朝日
バンダイ『ナイトガンダム カードダスクエスト』:(C)創通・サンライズ
(LUIS FIELD)
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