年末年始に一気見したい！ 1クールできれいに完結している神アニメ3選

■殺人マシーンの女子高生たちが治安を維持する世界

　年末年始の休みは、観たいアニメを一気に観られる貴重なタイミングです。これまで観逃してきた傑作や、話題作を観たいと思っている人も多いでしょう。

　とはいえ、何シリーズも続いていたり、せっかく観たのに明らかに途中で終わっていたりするような作品は観たくないと思っている人もいるかもしれません。今回は、1クールできれいに終わっているアニメ作品を紹介します。

●『リコリス・リコイル』

『リコリス・リコイル』（原作：Spider Lily、原案：アサウラ、アニメーション制作：A-1 Pictures）は、2022年7月から放送されたオリジナル作品です。全13話で一旦完結しています。

　日本の治安を守るため、犯罪者を極秘裏に抹殺するための公的組織「DA」。その暗殺を実行するのは、「リコリス」と呼ばれる孤児から育てられた少女暗殺者たちでした。

　東京の下町にあるDAの支部「喫茶リコリコ」を舞台に、天才的な戦闘力を持ちながらも絶対に相手を殺さない底抜けに明るい少女・錦木千束と、正確な射撃術を持つ無表情な少女・井ノ上たきなとの出会いと交流、そしてDAと敵対するテロリスト・真島との死闘を描きます。

　少女たちのアクション、千束とたきなの友情など、見どころは盛りだくさんです。なかでも、家父長制が色濃く残る抑圧的な組織・DAから自分の意思で生きるために離反した千束と、一種の疑似家族であるリコリコが、DAから抜けられないたきなにどのような影響を与えていくかが見どころでしょう。

　本作はエピローグ的なエピソードも含めて、とてもきれいに完結しています。2023年2月には、「新作アニメーション制作決定」が告知されてファンを歓喜させました。新作がどのような作品になるかにも注目です。

●『宇宙よりも遠い場所』

『宇宙よりも遠い場所』（原作：よりもい、アニメーション制作：マッドハウス）は、2018年1月から放送されたオリジナル作品で、全13話で完結しています。

　主人公は群馬県に住む高校2年生の少女・マリです。日常から脱して「青春」らしいことをしたいと思っているのに、失敗を恐れてばかりいて一歩が踏み出せないマリは、ある日、南極に行くと公言している報瀬（しらせ）と出会いました。その後、高校を中退した日向、ローカルアイドルの結月とともに、「宇宙よりも遠い場所」である南極を目指します。

　徹底した取材と関係各所からの協力をもとに描かれた、南極へ向かう行程と南極での生活の緻密な描写が見どころです。同時に、けっして人間関係について器用とは言えない主人公たち4人の心情が、丁寧に掘り下げられていきます。彼女たちの友情と、自分の強い意思と行動だけが閉塞感を打ち破ってくれるのだという本作のメッセージに、心揺さぶられる人も多いのではないでしょうか。

　現時点で第2期の制作発表は行われていません。同じいしづかあつこ監督、マッドハウス制作によるアイスランドを舞台にしたアニメ映画『グッバイ、ドン・グリーズ！』が、2022年に公開されました。

■観ればアニメが作りたくなるアニメ

●『映像研には手を出すな！』

『映像研には手を出すな! COMPLETE BOX』（ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント）

『映像研には手を出すな！』（原作：大童澄瞳さん、アニメーション制作：サイエンスSARU）は、2020年1月から放送された作品で、全12話で完結しています。

　アニメを作るのが夢だが引っ込み思案の浅草みどり、アニメには興味はないが金儲けには人一倍貪欲な金森さやか、アニメーター志望の現役カリスマ読者モデル・水崎ツバメの3人が「映像研」を立ち上げ、自主アニメ作品を制作するという物語です。

　映画『マインド・ゲーム』や、TVアニメ『四畳半神話大系』などを手がけた湯浅政明監督による主人公たちの奔放なイメージをビジュアル化した映像、スタイリッシュなオープニングなどが大きな話題を呼びました。なんといっても見どころは、ものづくりをしたいという主人公たちの初期衝動と情熱でしょう。

　最終話は主人公たちが作った自主アニメがまるごと流れ、エンディングも彼女たちのイメージがあふれ出るような形で終わりました。原作は続いていますので、第2期の可能性がないわけではありません。

　時間に余裕のある年末年始、ぜひお好きなアニメの一気観を楽しんでみてください。

（大山くまお）