そんなのあった? 初代「プレステ」についてた「謎の端子」 消えた理由が悲しい!
マグミクス / 2023年12月21日 21時50分
■来年で発売30周年、PlayStationにはある秘密が
今から29年前、1994年の冬に放送された、「いち・に・さん」を連呼し続けるテレビCMをご存知でしょうか。このCMが話題になった「PlayStation」(以下、PS)は、当時のソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニーインタラクティブエンタテインメント)が開発を手がけ、定価3万9800円で発売したゲーム機です。
PSは1994年12月3日のリリース以降、90年代後半から2000年代初頭にかけてシェアを伸ばし続け、売上台数が1億台を超える名機として世界中で遊ばれました。
当時「セガサターン」や「NINTENDO64」などのライバル機とゲーム市場で競い合い、後継機「PlayStation 2」へ本格的にバトンを渡すまで、初代PSは何度もモデルチェンジを繰り返していました。
最初に発売された「SCPH-1000」を皮切りとし、「SCPH-3000」(1995年7月21日発売)、「SCPH-3500」(1996年3月28日発売)……など、購入した時期によって型番の違いが見られます。最終的には2000年7月7日に発売された「SCPH-100」(PS One)で打ち止めとなりますが、消費者目線で最も分かりやすい「価格の低下」だけでなく、型番ごとにさまざまな調整が施されていたのです。ちなみに、振動機能を搭載したPS用コントローラー「デュアルショック」は、「SCPH-7000」(1997年11月13日発売)から付属するようになりました。
目に見えて分かりやすい型番ごとの違いは、「背面端子の数」でしょう。PSは型番が新しくなるにつれ、背面にあった端子が少なくなっていったのです。
最初期モデルの「SCPH-1000」には、AVマルチ出力端子、通信ケーブル出力端子、ビデオ端子、S端子、パラレル出力端子など、多くの接続端子を備えていました。ところが後続の「SCPH-3000」では早々にS端子がなくなり、「SCPH-5500」(1996年11月16日発売)になると、ビデオ端子がAVマルチ出力端子に統合されて消滅します。
PS本体を背面から見て左側の端子が「パラレル出力端子」。ボディと同色のカバーで覆われている
ここで注目したいのが、PS本体を背面から見て左側にあった「パラレル出力端子」です。この端子は「PSの機能拡張に用いる端子」として最初期から搭載されていましたが、それに対応する機器がいっこうに発売されず、終盤のモデル「SCPH-9000」(1999年5月24日発売)で完全に消失します。最後まで、結局使われることが無いまま役目を終えてしまいました。
このパラレル出力端子は、使わない状態では本体と同色のカバーで覆われているため、存在感がなさすぎて気付かなかった方も多いのではないでしょうか。
■一応「中身」は進化したが、思わぬ弊害も?
初代PSはモデルチェンジを重ねるごとに「端子」の数が減り、価格も下がっていきましたが、実は「CD-ROMドライブの再設計」など、中身も細かく進化していたのです。とりわけスペック面で恩恵をもたらしたのは、モデルチェンジごとにバージョンアップした内部の基板です。3Dポリゴンの描画力をはじめ、グラフィックス周りの表現力が初期モデルよりも向上しています。
しかし基板が改良されたことで、以前のモデルでは見られなかったバグも発生しました。微細なバグならまだしも、新モデルの発売以降にリリースされた一部のPS用ソフトが、「旧モデルのPSで動作しない」といった声もあがっていました。大多数のソフトに当てはまるわけではありませんが、一部のユーザーやメーカーが頭を抱えるケースもありました。
一世を風靡したPSも、来年2024年で生誕30周年を迎えようとしています。初代PSを今もお持ちの方は、ぜひ本体背面の「謎の端子」や、底面の「型番」を確認してみて下さい。当時の思い出がより新鮮な形でよみがえるのではないでしょうか。
※記事の一部を修正しました。(2023年12月25日 19:42)
(龍田優貴)
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