さらっと描かれすぎ! ジオン軍の「アッザム」が臨んだ「実は重要すぎる戦闘」とは?
マグミクス / 2023年12月25日 6時10分
![さらっと描かれすぎ! ジオン軍の「アッザム」が臨んだ「実は重要すぎる戦闘」とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_202878_0-small.jpg)
■ジオン軍初の「モビルアーマー」
MAX-03「アッザム」は、『機動戦士ガンダム』第18話「灼熱のアッザム・リーダー」に登場した機動兵器です。ジオン公国軍のマ・クベ大佐とキシリア・ザビ司令が搭乗し「ガンダム」と交戦、あと一歩のところでその撃破に失敗し、逆に襲撃されるも、無事に逃げおおせています。
現在では「モビルアーマー」と定義されている「アッザム」ですが、当初はモビルアーマーという概念は説明されておらず、単なる大型の機動兵器として扱われていました。のちに追加された設定では、月面配備用に開発された重機動砲座である「死を呼ぶ玉葱」ことG87「ルナタンク」を、重力下仕様に改修した機体とされています。戦闘での主な役割としてはトーチカの破壊が構想されていました。物語に登場した時点では、まだ機動兵器としては試作段階の機体であり、色々とちぐはぐな面が見て取れます。
機動手段としては、ミノフスキー・クラフト1基とホバーエンジン8基を装備しており、短時間ではあるものの飛行が可能となっています。ただしミノフスキー・クラフトは地球連邦軍が「ホワイトベース」に装備したものと比較すると性能が低く、稼働時間は短いものでした。また飛行能力の制限により、装甲を十分施せない弱点を抱えています。
武装としては、機体の上下に連装メガ粒子砲8門を搭載しているのに加え、機体の底部には特殊兵装「アッザム・リーダー」を装備しました。この「アッザム・リーダー」とは、「リーダー」と呼ばれる粉末を散布し、さらに鳥かご状に射出したワイヤーで対象物を包囲、そのワイヤーの檻内に電磁波を発生させ、これらにより生じた最大摂氏4000度の高熱で対象を焼却するという、恐るべき能力を備えていました。
上述のように、「アッザム」が初めて登場したのは第18話の冒頭です。このときアムロは「ガンダム」に乗ってホワイトベースを脱走し、廃墟に身を隠していました。物音に気付いたアムロが拳銃を手に様子をうかがったところ、数機の「ドップ」戦闘機を護衛に従えた巨大な機動兵器「アッザム」が頭上を通り過ぎようとする光景を目の当たりにします。「アッザム」側は、アムロや「ガンダム」に気づかなかったため、そのまま飛び去りました。このとき「アッザム」の窓からマ・クベとキシリア、複数の兵士の姿が見えており、内部にはかなりスペースのあることがわかります。
■ガンダムを追い詰めたものの……
やはりデカイ、そして思った以上にタマネギ。画像はBANDAI SPIRITS「1/550 ジオン軍重機動砲座アッザム」 (C)創通・サンライズ
その後、紆余曲折を経て鉱山基地を発見したアムロは、密かに情報収集を試みました。このときアムロは「ガンダム」に装備された収音マイクを使用して、マ・クベとキシリアの会話を盗聴しています。このマイクの登場はこれ1回きりで、実はとてもレアなシーンです。
この鉱山基地が需要な拠点だと判断したアムロは、無謀にも単独での攻撃を試みました。首尾よく砲台や主力戦車「マゼラアタック」を撃破していくアムロと「ガンダム」の前に、マ・クベとキシリアの搭乗する「アッザム」が現れます。ザビ家の一員とジオンの地球における最重要拠点のひとつであるオデッサの基地司令が、最前線で敵の一兵卒と対峙するという、もしアムロが両名の殺害に成功すれば一年戦争の流れが大きく変わる局面となりました。
マ・クベはまずメガ粒子砲の連射でガンダムの目をくらますと上を取り、勝ち誇った様子で「アッザム・リーダー」を射出し、首尾よく磁場に「ガンダム」を捉えます。表面温度摂氏4000度という高熱を受けた「ガンダム」は危機に陥り、コックピット内に「パイロット及び回路保護のため全エネルギーの98%を放出中」との警告音声が流れました。この音声案内が流れる様子も第18話だけの描写となっており、「ガンダムがしゃべった!?」と驚いた方もいたのではないでしょうか。
ともあれこのように「ガンダム」を危機に陥れた「アッザム」ではありましたが、しかし機体も武装もまだ未成熟だったためか、「アッザム・リーダー」の効果時間は短く、「ガンダム」の破壊には至りませんでした。とどめを刺そうとしたものの反撃を受けて、逆にワイヤーの檻を破壊されてしまいます。挙句の果てに「ガンダム」に取り付かれると、ビーム・ジャベリンで本体外装を切り裂かれてしまいました。一転して「アッザム」側のピンチです。
このままではやられるという時、キシリアは機密保持のために鉱山基地の爆破を命じます。アムロが基地の爆発に気を取られている間に、マ・クベとキシリアは「ガンダム」を振り落とし、脱出に成功したのでした。
結果として「アッザム」は、「ガンダム」と遭遇して破壊されなかった唯一のモビルアーマーとなりました。キシリアが連邦軍の試作型モビルスーツと交戦して生き残ったことは、ジオン軍の兵器開発に大きな影響を与えたとされており、その後、続々と新型モビルスーツが登場する伏線となりました。
(早川清一朗)
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