【漫画】絵を完成できず酷評… 苦悩する美大受験生が一変したきっかけとは？「素敵」「涙出た」【作者インタビュー】

■希望のある結末に勇気づけられる！

　美大受験に落ちてしまい、高校卒業後に浪人生となったうさぎさんは、美大受験予備校で絵を描き続ける日々を送っていました。しかし何枚描いても、時間内に完成させることができません。いろいろなことを考えすぎて、描いては消してを繰り返していたのです。先生からも酷評され、すっかり自信をなくしていたうさぎさんですが、ある日都会の予備校のコンクールに参加し……。

　こみひかるこさん（ @hi_chako53 ）による創作マンガ『作品を完成できなかった美大受験生のお話』がTwitter（現：X）で公開されました。創作活動の苦悩と喜びが描かれた物語に、読者から「いい話」「涙が出た」「学生時代を思い出す」「みんな優しくて素敵すぎる」「ひとつのきっかけでひと皮むけた感じ、分かる」「そのときの気持ちで耳の高さが変わるの好き」などの声があがり、投稿には3.9万いいねの反響が集まりました。

　作者のこみひかるこさんに、お話を聞きました。

ーー普段はイラスト作品を中心に投稿なさっていますが、『作品を完成できなかった美大受験生のお話』のお話をマンガに描こうと思ったきっかけを教えて下さい。

　日頃からマンガを描いてみたいという思いもあって、12月のコミティア146で発表することを目標に、まずは気軽にひとつ描いてみようと思ったことがきっかけです。

　また、冬は何かとせわしない季節ですし、受験生にとっても大詰めの時期ですから、少しでも励ますことができるような作品を描きたいという気持ちもあり、良いタイミングだったかと思っています。

ーーうさぎさんを通して、創作活動をする人の気持ちの持ち方の大切さを感じました。ご自身のご経験などもふまえていらっしゃるのでしょうか？　作品に込めた思いを教えて下さい。

　私の浪人時代の経験をもとにした作品です。あの頃は出口の見えない不安定な気持ちのなかで、必死に絵を描き、勉強する毎日だったのですが、必死なぶん、周りの人の優しさに気付かなかったり、客観的に自分を見ることができていなかったのかなと思います。

　気持ちが変わると見える景色も変わって見えるように、苦しい時期を「つらかった」とひとくくりにするのではなく、そこから喜びを見つけるような、明るい軽やかな表現に落とし込みたくて挑戦しました。

知っている人がいない環境に、気持ちが軽くなり？（こみひかるこさん提供）

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　本当に温かなコメントをたくさんいただいて、感謝でいっぱいです。「美大受験をもとにしたマンガなのに、爽やかで読んでいて心地良い」というお言葉もたくさん見かけたのですが、そのように感じていただけたのが、とてもうれしいです。

　人によっては過去のトラウマを掘り返してしまうような要素も含まれているので、発表しない方が良いのではと躊躇していた部分があったのですが、皆様のコメントを読んでいると、表現の繊細な部分まで受け取って下さっていて、かなり驚いております。

ーーこみひかるこさんがイラストを描き始めたきっかけを教えて下さい。

　物心つく頃から絵を描くことが大好きで、裏紙を見つけては絵本を作って家族に披露していた子供時代だったのですが、本格的に「イラストレーター」という職業を知ったのは高校生の頃で、漠然と絵を描くことを仕事にしたいと思っていました。

　大学で仲良くなった研究室の助手さんから、「イラストは1枚で勝負するのではなく、枚数が多い方が良くて、技術を上げるにはコツコツ描き続けることが一番大事だよ」という話をしてもらい、自主トレの意味も込めて大学2年生頃から、週1～2ペースでSNSにイラストを投稿し始めたのがきっかけでした。ありがたいことに少しずつ見て下さる方が増えていきました。

ーー現在のご活動内容や、今後のご予定などについて教えて下さい。

　これからも、イラストを中心に絵本やマンガも発表予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。少し先ですが、来年2024年10月1日～6日に原宿の「ギャラリールモンド」にて個展を予定しておりますので、ぜひお越し下さい！

（マグミクス編集部）