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『宇宙戦艦ヤマト』天地のない宇宙でなぜ艦艇のカタチ? 偽装はさておき納得の理由は

マグミクス / 2024年1月4日 6時10分

『宇宙戦艦ヤマト』天地のない宇宙でなぜ艦艇のカタチ? 偽装はさておき納得の理由は

■「ヤマト」の目的から考えると「あり」?

 西暦2199年、外宇宙から襲来した星間国家「ガミラス帝国」の攻撃により、地球は滅亡に瀕していました。地球は「イスカンダル星」より技術供与された「波動エンジン」を搭載する、恒星間航行用宇宙戦艦「ヤマト」を建造し、放射能除去装置「コスモクリーナー」を受領するために、大マゼラン星雲にあるという「イスカンダル」目指して、ヤマトを発進させました。

 このようなストーリーのアニメ『宇宙戦艦ヤマト』、1974年に放送が開始されたそのオリジナルでは、海が干上がった地上で発見された旧日本海軍戦艦「大和」の残骸を隠れみのに建造されたため、大和型戦艦に似た「船」のような形をしています。

 一方、現在でも新作アニメが作られているリメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』以降の設定では、戦艦「大和」の残骸だと思わせるために、偽装でこのような形になっているとされています。大きさ設定は違いますが(オリジナルは全長265.8m、リメイク版は全長333m)、どちらも「船」のような外見をしています。宇宙船であれば、そのように水上艦艇のカタチである必要はないようにも思います。これはなぜなのでしょうか。

 以下は設定量の多いリメイク版を基に、考察していきます。

 なおリメイクシリーズを福井晴敏氏による構成、監修でさらにリビルドしたアニメ作品『宇宙戦艦ヤマトという時代 西暦2202年の選択』によると、戦艦「大和」は西暦2141年に引き上げられて修理され、「第二次世界大戦終結二百周年」でその姿がお披露目されたのち、再び海底に沈められたので、物語開始時点において原型を留めた状態で沈んでいた、という設定のようです。

 さて、上述したように宇宙船である宇宙戦艦が「船」、いわゆる「水上艦艇」の形をしていることは不思議にも感じられます。宇宙には天地がないので、通常の水上艦のように、砲や火気類を船体上部に詰め込む必要はなく、側面や艦底に配置することも可能なはずです(もちろん、集中ないし分散配置することのメリット/デメリットはあることでしょうが、ここではいったんさて置きます)。

 実際、リメイク版で同時代に建造された地球側の宇宙艦艇「キリシマ」「ムラサメ」「ユキカゼ」などは、艦底にも砲塔などの武装を備えています。もっとも「ヤマト」にしても、艦底部にVLSとしても運用できるミサイル発射管を8門、装備していますし、艦載機発進ハッチも「武装」といえるものではありますが、それらの艦と比較して武装の偏りは顕著に見えます。水上艦艇の形に、何かメリットはあるのでしょうか。

■「ヤマト」はもともと「戦闘艦」に非ず…?

『宇宙戦艦ヤマトという時代』より、艦底にも砲が見える (C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会 (C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202 製作委員会

 そもそもの前提として、「ヤマト」は「限られた人類を宇宙に脱出させて、生存可能惑星を探す」という「イズモ計画」で計画された宇宙船です。生存可能惑星を調査するための宇宙船ですから、調査対象となる惑星の大気圏内での行動が前提ですし、人類が生存できる惑星を探すわけですから、水のある惑星での行動が前提となるはずです。

 そうなると、長期間の探査行動が求められるであろうなか、大気圏内を飛行し続ければエンジンなどのメンテナンスもできません。リメイク版の排水量は不明ですが(旧作では6万2千トン)、「船」として考えるなら10万トンはありそうな「ヤマト」が「水に浮かぶことができる」なら、水のある惑星への長期滞在もしやすくなるでしょう。

 また武装で艦を埋め尽くせば、それだけ居住区は減りますから「限られた人類が生存できる惑星に移住する」という「イズモ計画」本来の目的を阻害する可能性も生じます。その点、水上艦艇型であれば艦内への収納力は高くなります。

 艦底が平たいのも、緊急時に陸上へ着陸するとしたら、安定感もあり、都合がよさそうです。実際、木星の浮遊大陸では艦底から土煙を立てつつ、「ヤマト」は発進しています(艦底の第三艦橋も無傷でした。凄い!)。大気圏突入時にも、艦底の耐熱性を集中して高くすれば有利でしょう。

 では、戦闘時はどうなのでしょう。「ヤマト」は目視も含めての戦闘指揮を執っていますから、搭載火器を目視で一望して確認できることは、戦況の把握という意味ではメリットがありそうです。

 また艦が上下対称なら、どちらが「上」なのかわかりにくいですから、緊急時に人員がどう行動するのか混乱が起こるかもしれません。「ヤマト」ほど上下がはっきりしていれば、乗員の混乱も避けられるでしょう。

 艦底が弱点なのではないか、という指摘もあるでしょうが、艦底は武装がミサイルだけなので、それだけ重装甲にできます(「波動防壁」もあるので、「ヤマト」はそもそも重防御なのですが)。実際、七色星団海戦時と次元潜航艇からの攻撃くらいしか、艦底部がダメージを受けた顕著な描写はありません。

 搭載艦載機もありますから、下から攻撃しようという敵の行動を読んで迎撃することもできますし、なんであれば、『2199』第15話「帰還限界点」にて描かれた「カレル163」での戦闘のように、「ヤマト」自体が回転すればいいだけなので、実はそれほど問題はない気もします。

 無論、搭載艦載機を発着させるのに、じゃまになる構造物は少ないに越したことはありません。武装が集中している艦上部から発進させるより、側面や艦底に分けた方が利点は大きいといえるでしょう。

 というわけで、艦内重力その他の問題が解決している「ヤマト」の科学技術力であれば、船型の宇宙戦艦は「あり」なのではないかと思う次第です。

(安藤昌季)

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