本編の出番は一切なし！ アニメのOPにだけ登場した「幻」のキャラたち

■登場シーンは1秒以下!?

「オープニング映像に登場するキャラクターはアニメ本編にも登場する」

　おそらく多くの人がそう思い込んでいるのではないでしょうか。確かにその認識も決して間違いではないものの、数ある作品のなかには、オープニング映像にしか登場しない「幻」のキャラクターも存在します。

　その代表的な例が、1997年に放送されたアニメ『スレイヤーズTRY』のオープニング映像です。同作は神坂一先生の小説を原作にした人気アニメシリーズのTV版第3作目で、同作のオープニングテーマ「Breeze」は、主人公のリナ=インバース役である声優の林原めぐみさんが歌っていました。

　注目すべきは、サビに差し掛かる直前のパートです。怯えるリナの背後に、不敵な笑みを浮かべるキャラクターが描かれています。あたかも強敵であるかのような雰囲気をただよわせているのですが、なんとアニメ本編には一切登場しません。それどころか、映像には「Sorry！ Openig Only！」とわざわざ注釈まで添えられていました。

　実はその正体は「ルナ=インバース」という、リナの姉に当たる人物です。作中では「郷里の姉ちゃん」として名前だけたびたび登場しており、その実力は美少女天才魔道士（自称）であるリナ以上といわれています。なんでもリナの決め技「竜破斬（ドラグ・スレイブ）」をあっさりかわすほどの猛者らしく、リナすらも恐れる存在なのだとか。ちなみに前作『スレイヤーズNEXT』のオープニング映像にもワンカットだけ登場しているので、気になる人はぜひ目を凝らして確認してみてください。

　他方で一風変わった理由で話題を集めたのが、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のオープニングに登場した「黒猫」です。映像の終盤で主人公の鹿目まどかが抱きしめており、意味深な存在感を放っていたことから、一部のファンのあいだで「あの黒猫は何なのか？」「ほむらの正体なのではないか？」などとさまざまな憶測が飛び交いました。

　ただ知っての通り、同作のオープニング映像は「詐欺」といっても過言ではないような内容で、結局のところ黒猫も本編に登場しません。のちに制作を担当した「シャフト」のアニメーターが勝手に描いたキャラクターであることが明らかになっています。

　そんなちょっとした騒動を巻き起こした黒猫ですが、実をいうとBD／DVD第1巻の特典として収録されたドラマCD『メモリーズオブユー』に「エイミー」という名前で逆輸入されています。脚本を務めた虚淵玄さんいわく「せっかくだから使おう」ということで登場させたそうで、ドラマCDのなかでは重要なキーパーソンならぬキーキャットになっています。

　そして、この手の話題で外せないのが『機動戦士ガンダムSEED』です。2012年に地上波放送されたHDリマスター版でのことですが、T.M.Revolutionの楽曲「INVOKE －インヴォーク－」を使用した、あの有名なオープニングのなかに「ミゲル専用ジン」という機体が登場します。これはザフト軍の量産型モビルスーツ「ジン」をミゲル・アイマン専用にカスタムしたもので、アスラン・ザラの「イージスガンダム」やイザーク・ジュールの「デュエルガンダム」などと一緒に出演を果たしていました。

　しかし肝心の本編では整備中という扱いで、なおかつ搭乗する前にミゲルが退場してしまったため、活躍シーンは一切ありません。おまけに唯一の活躍の場となったオープニング映像でも撃墜されており、ネット上では「せっかくの出番なのに撃墜って（笑）」「メビウスゼロに毎回フルボッコにされるミゲルジンさん」「ミゲルジンの不遇っぷりよ……（笑）」といった声があがっていました。

　またオープニングではなく、エンディング映像にアニメ未登場のキャラクターが描かれた例もあります。それが1993年に放送されたアニメ『SLAM DUNK』です。第4期のED主題歌「マイ フレンド」にて、豊玉高校の主将である南烈がちらっと登場しているのですが、TVシリーズは「インターハイ編」を迎える前に終了してしまったため、アニメ本編には登場していません。

　残念ながら本編への出演こそ叶わなかったものの、どのキャラクターもある意味大きな話題を集めていました。そういった意味では、作品にとってなくてはならない存在だったといえるのではないでしょうか。

（ハララ書房）