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50年前の1974年は「アニメ史に残る1年」 高畑&宮崎の『ハイジ』、裏番組が『ヤマト』!

マグミクス / 2024年1月3日 7時10分

50年前の1974年は「アニメ史に残る1年」 高畑&宮崎の『ハイジ』、裏番組が『ヤマト』!

■高畑&宮崎の最強タッグ作『アルプスの少女ハイジ』

 今年2024年は、TV放送から「50年」を迎える、アニメ史に残る人気作が数多くあります。その後のアニメ文化に大きな影響を与えた作品を振り返ります。

 1974年1月6日から放映が始まったのが、「カルピスまんが劇場」シリーズの『アルプスの少女ハイジ』でした。フジテレビ系で、全52話がオンエアされました。演出は高畑勲氏、場面設定と画面構成は宮崎駿氏と、のちに「スタジオジブリ」を立ち上げるアニメ界の二大巨頭ががっちりタッグを組んだ名作アニメです。

 日本のアニメとしては初となる海外(スイス)へのロケ地取材を行うなど、良質のアニメをつくることにこだわり抜いた作品でした。5歳の少女・ハイジが、アルプスの大自然のなかで伸び伸びと育っていく様子を情感たっぷりに描けたのは、TVシリーズならではの強みでしょう。ハイジとアルムおんじたちとのやりとりを描いた平穏な「日常アニメ」ながら、平均視聴率が20%を超える人気作となりました。

 2023年は「スタジオジブリ」が日本テレビ系列の子会社になることが、大きな話題となりました。高畑&宮崎コンビによる『ハイジ』『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』のようなTVシリーズを、新生ジブリには期待したいと思います。

■地球滅亡の日が刻々と迫った『宇宙戦艦ヤマト』

 欧州でも大人気を博した『ハイジ』に真っ向勝負を挑んだのが、1974年10月から放映された『宇宙戦艦ヤマト』です。日本テレビ系で放送されたのは日曜の19時30分と、『ハイジ』と丸かぶりでした。西崎義展プロデューサーは、『ハイジ』の制作会社「瑞鷹エンタープライズ」に所属していましたが、個人事務所「オフィス・アカデミー」を制作母体にして、人生を賭けた大勝負に挑みます。

 それまでのTVアニメは子供たちを対象にしたものでしたが、『ヤマト』は2023年2月に亡くなった漫画家の松本零士氏をデザインスタッフに迎え、10代の若者たちが楽しめる本格的なSFアニメとして制作されます。

 視聴率的には『ハイジ』に大敗し、3クールの放送予定が2クール全26話に縮められてしまう結果になりました。ところが、海外向けに編集したダイジェスト版を日本で劇場公開したところ、予想を上回る大ヒット。西崎プロデューサーの大逆転勝利でした。

 戦艦が空を飛ぶという設定は、実写映画『海底軍艦』(1963年)や特撮ドラマ『マイティジャック』(フジテレビ系)などがすでにありましたが、太平洋戦争で轟沈した戦艦大和が改造され、全人類を救うために未知の惑星「イスカンダル」を目指すというストーリーには、ロマンがありました。

 世界観が認知されるまでに時間は要したものの、『ヤマト』はシリーズ化され、より大きな成功を収めます。『ヤマト』へのライバル心から、富野由悠季監督は『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)を企画することにもなりました。

 エンディングで「地球滅亡まであと××日」とカウントダウンが毎週進んでいくのを、リアルタイムで視聴していた当時のファンはドキドキしながら見守っていたのではないでしょうか。

■合体変形ロボの「元祖」も登場

1974年放送のアニメ『ゲッターロボ』を収録した、「ゲッターロボ VOL.1」DVD(東映)

 1974年4月には、もうひとつ画期的なアニメ作品が登場しました。元祖合体変形ロボットとなる『ゲッターロボ』(フジテレビ系)です。すでに2年前に放送が始まった『マジンガーZ』(フジテレビ系)を大ヒットさせていた漫画家の永井豪氏ですが、ダイナミックプロの石川賢氏との共作となった『ゲッターロボ』には破天荒な魅力がありました。

 熱血漢のリョウ、クールなハヤト、工事用ヘルメットを被ったムサシが、それぞれイーグル号、ジャガー号、ベアー号を操縦。ドッキングする順番を変えることで、ゲッター1、ゲッター2、ゲッター3へとトランスフォームする様子に、男の子たちは夢中になりました。

 とりわけ、アームドリルを武器にしたゲッター2は、大変な人気を博しました。男の子はドリル系の武器に目がないようです。実写化の企画も現在進行中なので、そちらも気になるところです。

■家長制の崩壊を予言した『ダメおやじ』

 社会的ブームを呼んだ『ダメおやじ』も忘れられない作品です。古谷三敏氏のマンガを原作に、テレビ東京系で1974年4月~10月に放映されました。

 サラリーマンの雨野ダメ助(CV:大泉滉)は、自宅に帰ると地獄が待っています。オニババこと妻の冬子から、連日のように虐待されていたのです。長女の雪子、長男のタコ坊も一緒になって、父親を責めるのでした。給料が安いこと、いつまで経っても出世しないことなどを理由にイジメられ、生傷が絶えないダメ助でした。

 どんなにひどい目に遭っても、ダメ助は翌朝になると家族のために会社へと出社します。あまりの不条理さに、思わず泣けてきます。

 原作では、その後のダメおやじは会社経営者として大成功を収め、悠々自適な生活を送ることになります。しかし、アニメ版は次男のイカ太郎が生まれたところで終わります。ダメおやじとオニババの夫婦が、やることはしっかりやっていたことに驚きを覚えずにはいられません。今なら大炎上必至の番組でしょう。

■骨付き肉がおいしそう『はじめ人間ギャートルズ』

 最後に紹介するのは、園山俊二氏のギャグマンガをアニメ化した『はじめ人間ギャートルズ』です。朝日放送と東京ムービーの共同制作で、1974年10月から全77話が放映されました。

 原始人のゴンたち家族のサバイバル生活を描いたもので、マンモスの輪切り肉や骨付き肉がとてもおいしそうでした。かまやつひろしさんが作曲したエンディング曲「やつらの足音のバラード」も、名曲として知られています。今でも時々、無性に聞き直したくなります。

 50年前のTVアニメは、非常にバラエティに富んでいました。アニメブームの夜明けを感じさせる特筆すべき一年だったと言えそうです。

(長野辰次)

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