肩にバズーカ、傷心のため… 漫画家のユニークな休載理由に「何それ(笑)」
マグミクス / 2023年12月29日 15時10分
■作者の個性爆発な休載理由
毎週や毎月の連載を抱えている漫画家にとって締め切りを守ってマンガを描くことは大切なことですが、時にはやむを得ない事情で「休載」する場合もあるでしょう。大抵は真面目に休む理由を伝えるものですが、なかにはユニークな休載報告をする漫画家もいます。
たとえば「刃牙」シリーズの著者である板垣恵介先生は、シリーズ4部にあたる『刃牙道』を「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載していた時に、2014年41号の巻末で「骨折だ。正拳が握れない。休ませてくれ!」との発言を残しています。骨折は仕方ないとしても「正拳が握れない」のはマンガを描くうえでわざわざ言う必要がないようにも感じますが、「刃牙」シリーズの作者ならではのユーモアが垣間見えた休載理由でした。
また手術を理由に休載を発表し、面白おかしく報告した漫画家といえば『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎先生も外せません。
2014年5月29日にポータルサイト「ONE PIECE.com」で扁桃腺を切除するため、2号に渡って『ONE PIECE』を休載することが発表されました。その際に尾田先生は「去年から、疲れるとノドの扁桃腺という部分がはれる体質になってしまいました。大変仕事の邪魔なので、その扁桃腺を取ってしまおうというのが今回の手術です」と説明した後、「せっかくの手術ですので肩にはバズーカもつけて貰う予定です」と冗談を交えながら述べていました。
ちなみに2023年6月6日にも目の手術のために連載を4週にわたって休載することを発表し、その時にも「目から…ビームを出す手術をする事になりました」としています。肩にバズーカ、目からビーム……尾田先生はロボットになろうとしているのでしょうか。
板垣先生や尾田先生のように怪我や手術のために休載するのは仕方のないことですが、なかには「趣味のゲームのために休む」と堂々と報告した漫画家もいます。
その漫画家というのは、一児の母で『不思議なソメラちゃん』『弱酸性ミリオンアーサー』の作者である、ちょぼらうにょぽみ先生です。「コミックブシロードWEB」(KADOKAWA)で『きゅぽぽんぬ?宇宙忍者カンパニー』を連載していた際、2022年9月に「大好きなスプラトゥーン3が出る為しばらくお休みさせて頂きます」と長期休載を発表しました。
休載発表から1年以上経過していますが、『きゅぽぽんぬ 宇宙忍者カンパニー』の連載は2022年6月24日で止まったまま……。休載報告で「ランクがS以下なら漫画家失格なのが昨今の出版界の掟」としていたので、もしかしたらいまだに『スプラトゥーン3』でランク上げに励んでいるのかもしれません。
■「ゲームをやっていない」というコメントにツッコミ続出
協力:福本伸行/原作:萩原天晴/作画:上原求、新井和也『1日外出録ハンチョウ』第17巻(講談社)
ちょぼらうにょぽみ先生のように堂々と発表されると逆に清々しいものがある一方で、ギャグマンガ『いぬまるだしっ』の作者である大石浩二先生の場合は遠回しに「ゲームが原因」による休載を発表しています。マンガ配信サイト「少年ジャンプ+」(集英社)で『トマトイプーのリコピン』を連載中の大石先生は2022年3月に、自身のX(旧Twitter)で本作の休載に対する「お詫び」を投稿しました。
そこには「締切まで一切時間を漫画以外のために使うことはありません」と記してあるものの、直後に「話題のゲーム・エルデンリングなど一切やっておりません」と突拍子もないゲームの話題を持ち出し、最後には「無理することの危うさ」をゲームのプレイ方法に例え始めて「エルデンリングでもそうです。敵の隙に攻撃を当てた時 『もう一発当たるかも』と無理すると逆にダメージを食らってしまいます」と述べています。大石さんの謝罪に対し、「確実にエルデンリングやってるでしょ(笑)」「巧妙に白状してる」などツッコミの声が挙がっていました。
ほかにも、作中で起きたことを理由に休むというテクニックを見せた漫画家も存在します。たとえば「週刊少年サンデー」2013年45号にて『マギ』の大高忍先生は、同作の主要キャラ「アリババ」の作中での様子とリンクさせ、「アリババ君が傷心のため」という理由で次号からの休載を発表していました。
また「カイジ」シリーズに登場した、地下労働施設で働く「大槻班長」にスポットを当てたスピンオフ作品『1日外出録ハンチョウ』(協力:福本伸行/原作:萩原天晴/作画:上原求、新井和也)でもユニークな方法で休載が発表されています。
作中では「1日外出券」を使って外で飲み食いを楽しむ大槻の様子が描かれており、2017年に掲載された「お知らせ」では、大槻が外出券を使いすぎたことによってしばらく外出ができなくなった様子が描かれ、最後に「休載確定」と記載されていました。
本作の休載に対して、ネット上では「理由がメタすぎて爆笑した」「休載できるし、読者の『外出券使いすぎじゃない?』という疑問も解消できて一石二鳥だね」といった反響が相次いでいました。
マンガにおいて画力やストーリー性も重要ですが、漫画家生命を長く維持するためには「面白い休載理由」を考えつくのも、大切なことなのかもしれません。
(LUIS FIELD)
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