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FC版『ウィザードリィ』を「最弱冒険者」でプレイ 苦闘の果てに「一攫千金」を達成?

マグミクス / 2023年12月30日 21時50分

FC版『ウィザードリィ』を「最弱冒険者」でプレイ 苦闘の果てに「一攫千金」を達成?

■「才能もない若者が無謀な冒険に出る」という設定

『ウィザードリィ』は、もともと1981年に発売された米国製のダンジョンRPGで、1987年にファミコン向けに発売されると、多くの子供たちが冒険に熱中しました。物語は「魔法使いワードナに奪われた魔除けを取り戻すために、狂王トレボーが集めた冒険者となって、ワードナ討伐のために罠や魔物に満ちた迷宮を攻略する」というものです。

 キャラクターのレベル上限が事実上存在せず、強いアイテムは魔物を倒した時の宝箱(ほぼ罠がかかっている)から入手する……というゲームシステムで、キャラクターの転職も可能であることから、好みのキャラクターをいつまでも育成できます。

 用意されたストーリーがシンプルなこと、キャラクターが死んだ際に蘇生が失敗すると消滅する「ロスト」もあることから、冒険の始まりと終わりが感じられ、「冒険の物語を自分のなかで作っていく」雰囲気があります。筆者はパソコン版とファミコン版の双方でレベル1000くらいまで育てたものです(ゲームのクリア自体はレベル13程度で可能です)。

 その名作を、久しぶりにファミコン版でプレイしました。普通のプレイはやりつくした作品ですので「ロールプレイが楽しくなる制限プレイ」で進めたいと思います。そのコンセプトは「リアリティ」。後ほど詳しく説明していきます。

■最も低い能力のキャラを揃えたら…「回復役」がいない?

あえて初期能力の低い「人間」族で最弱キャラを作成。能力値が低すぎて、回復役の「僧侶」がいないパーティに

 まずはキャラメイク。ファミコン版『ウィザードリィ』では、人間、エルフ、ドワーフ、ホビット、ノームの5種族を選べますが、今回は全員人間とします。理由は「一番弱いから」(人間は能力値合計46、最強のホビットは50)です。

 ヒリヒリするような厳しい冒険がしたいので、キャラクターの能力値に割り振れるボーナスポイントも最低の「5」限定としました。ボーナス5ポイントでキャラメイクして気づいたのですが、人間の初期「信仰心」は5で、ボーナスを全てつぎ込んでも、僧侶になれる「11」を満たしません。つまり、パーティの回復役は「なし」ということになります。

 全く才能がないのに、無謀な冒険に出ようとする若者に敬虔さなどあるわけがないので、僧侶がいないのは、むしろそれらしく感じます。きっと村で食い詰めて、一旗揚げようと集まってきた農民とか占い師のたぐいなのでしょう。そんな輩(やから)がまともな倫理観を持っていると思えないので、属性は全員「悪」(ただし『ウィザードリィ』の属性「悪」とは、「利益がなければ人を助けない」という程度で、邪悪ではないようです)。

 パーティ構成と名前は「戦士ルディ、戦士ローザス、戦士フランカ、盗賊ミッシャ、魔法使いリアナ、魔法使いアレクセイ」としました。『ウィザードリィ』がTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をコンピューター化しようとして生まれたというコンセプトに敬意を示して、今回は筆者がゲームマスターとして、長年プレイしているTRPGキャンペーンでのキャラクター名を付けました。生き残ってくれるといいのですが。

 今回の冒険は「リアリティ重視」。『ウィザードリィ』と言えば、訓練場で適当なキャラクターを作り、酒場で使うキャラクターにお金を渡してからキャラクター削除、という追いはぎプレイが行われるものですが、リアリティ重視なので、それは禁止。つまり、もの凄くお金がありません。

 属性「悪」の冒険者が、他人を信じて自分のお金を渡すわけがないので「お金を集める」も禁止。各人が冒険で得たお金以外で、アイテム購入はできないこととします。『ウィザードリィ』は前衛3人が死なない限り、後衛3人は直接攻撃を受けないので、後衛には装備があまり必要ないのですが、ここもリアリティ重視なので、全員装備を固めます。

 ちなみに、ファミコン版は、ソフトのバグで防具のAC(アーマークラス。敵の攻撃命中率を下げます)低下効果が全く機能していないので、実は防具自体がほぼ不要なのですが、リアリティ重視なので、防具も付けます。「かわのよろい」など、貧相なものですが。

 戦士ルディは初期の所持金が少なくて、剣すら買えずメイスで済ませます。本当に大丈夫かな……と思いますが、とりあえず冒険に出発です。

■モンスターと宝箱の「罠」で被害続出! パーティは「困窮」

パーティの能力が低すぎて、魔法で眠らせた相手にすら攻撃が当たらないという事態に

 迷宮の玄室に飛び込むと、アンデッドコボルト2体と遭遇。力が低いので、戦士3人は決定力がありませんが、魔法使いが攻撃呪文ハリトで援護し、勝利します。戦闘後、ほぼ確実に罠がかけられている宝箱を発見しました。盗賊ミッシャの素早さと運は「11」。盗賊としては最低レベルですから、スルーするのが最適手ですが、リアリティ重視なので「知恵」が最低の8しかない盗賊が、宝箱を無視するわけがないと考えます。

「おおっと、スタナー」

 最初の戦いでさっそく罠が発動し、ミッシャが麻痺しました。治療薬などを買うお金もなく、城に帰還するとカント寺院に運び込まれます。治療費は100ゴールド。「悪」の冒険者が、最初の冒険で罠にかかったマヌケな盗賊を「お金を集めて治療」するわけがありませんが、幸い、ミッシャ自身が107ゴールド持っていたので、彼自身のお金で治療できました。

 戦士フランカとローザスも負傷していました。このパーティに僧侶はいないので、回復魔法はありません。『ウィザードリィ』は無料の馬小屋でMPを回復し、回復魔法で負傷を直すのが基本ですが、リアリティで考えるなら、馬小屋で過ごす日常は嫌でしょう。

「知恵」が低いパーティが後先など考えるわけもなく、怪我も魔法使いのMPも有料の宿屋で回復させます。

 HP1回復に1週間……あっという間にお年寄りコースですね。で、ひと晩10ゴールド……お金が減る減る。酒場で「お金を山分け」すると、一人32ゴールドしか残りません(「お金を山分け」しないと、アイテムを入手したキャラクターだけ取り分が増えてしまうので、冒険後に、毎回山分けするのが「リアリティ」と考えました)。

 2回目の冒険でバブリースライム3匹を倒し、宝箱が出ます。盗賊ミッシャが罠を調べると「スタナー」。すでにトラウマなんじゃないかと思いつつ、何とか罠を外します。

 別の玄室で「みすぼらしいおとこ」2体と遭遇します。『ウィザードリィ』では、遭遇したばかりのモンスターは不確定名で表示されることが多く、しばらく戦闘しないと正体がわかりません。

 あれ、なんだか強い……。戦士たちがボロボロになります。敵の正体は「ブッシュワッカー」。地下1階で最強のモンスター(マーフィーズゴーストを除く)で、ヤバい攻撃力がある相手です。魔法使いたちのカティノが効いて、寝てくれたので何とか倒せましたが「寝ている相手に攻撃を外しまくる戦士たち」(敵のACは有効です)の姿が、最弱冒険者たるゆえん。敵の寝返りが酷いのかしら。

 そして宝箱はまたまた「スタナー」。ええい、ままよ。……外せた! 冒険後に宿で回復し、その後で酒場で「お金を山分け」すると、ひとりあたり41ゴールドに。命をかけて戦っても、1回の冒険でひとりあたり9ゴールドしか増えません……。

「最弱冒険者」の厳しさを痛感しつつ、3回目の冒険に出ます。バブリースライム3体に奇襲され、何もできずに回復したばかりのHPが削られます。盗賊ミッシャが宝箱の「どくばり」にかかり、かつ帰路にアンデッドコボルト5匹と遭遇。負傷しているのに、カティノでは眠らないモンスターが5匹……これは勝てないと思い、逃走しますが、逃げそこない、戦士ルディが初の犠牲者となりました。

 生き残った戦士フランカとローザスもボロボロなところに、さらに「友好的なスケルトン」が出現します。友好的なスケルトン、とは……? 自分の命が一番大事なのが「悪」ですから「戦いを避ける」を選んだのですが、戦士ローザスと魔法使いリアナが属性「善」に変わります(属性「悪」が戦いを避けるとランダムでこうなります)。

 ミッシャとリアナは兄妹という脳内設定なので、「毒で死にかけている兄ミッシャを救ってくれた、友好的なスケルトンを見て、リアナが正しい心に目覚めた」と脳内ストーリーが展開されていき、『ウィザードリィ』を実感します。

 なんとか城に逃げ帰ったものの、ルディを生き返らせるお金が、ルディ自身の所持金にありません(「お金を集める」を使えば治療できますが、リアリティ重視なので……)。仕方ないのでカント寺院に遺体を預かってもらい、新たに「善」の最弱戦士ジェラルドを作り、パーティに加えます。死んだルディには運がなかったのです。実際、最弱冒険者なので「運」は最低値だし……。

 ちなみに「善」の冒険者と「悪」の冒険者は酒場ではパーティが組めないので、迷宮内で合流します。しかし、ローグを倒して出現した宝箱を調べただけで、ミッシャが「毒針」の罠にかかります。またお前か……。城までの階段から遠い玄室にいたので、城に帰る前に盗賊ミッシャは毒で死ぬことが確定するという、悲しい現実に直面します。回復魔法があればなぁ……。

 というわけで、早くも2人目の犠牲者……。善になったリアナも「もう神なんて信じない。善になったのは気の迷いだった」とか、思うんじゃないですかね(その後、リアナの所持金でミッシャを生き返らせたのですが、また「スタナー」で寺院行きに……)。

■あいつぐ犠牲者、貧乏で「蘇生」もできない…?

冒険で「死亡」または「麻痺」した冒険者を回復させるにはお金が必要。困窮したパーティはそれができないので、動けない仲間をカント寺院に預けて、次の冒険に出発する

 ミッシャをカント寺院に放り込み、悪の最弱盗賊ヨハンを作成して、再び冒険に。5匹のアンデッドコボルトはかなり手ごわく、戦士たちが手ひどくやられたので城に帰還、宿代がかさみ、ひとりあたり61ゴールドまで増えていたお金が、42ゴールドに減りました。

 その次の冒険でもブッシュワッカーに殺されかけたため、宿代でさらに減って所持金がひとり12ゴールドに……。「ワードナ討伐で一攫千金」どころか、ジリ貧じゃねーか。

 ただ、ここでレベルが上がり、心持ち強くなりました。なんとかして誰かの「信仰心」を11に上げて「僧侶」に転職しなければ、冒険の継続すら困難……と実感する厳しい旅で、楽しいです。

 その後、多くの犠牲を重ね、カント寺院に多数の冒険者を放りこみつつも、戦士フランカがレベル4で信仰心11となったので、僧侶に転職します。そして魔法使いアレクセイがレベル6で知恵と信仰心が12となったので、ビショップに転職しました。

 ビショップは低レベル帯では強くないのですが『ウィザードリィ』では鑑定していないアイテムは売れないので、鑑定できるビショップがいないと集金効率が悪いのです。ちなみに通常プレイだと、鑑定のためだけに、冒険に出ない1レベルのビショップを作るのが序盤の王道ですが「無償で鑑定だけしてくれる、悪のビショップ」などいるわけがないので、リアリティの観点からできません。

 地下3階の落とし穴で全滅寸前まで追い込まれたりもしたものの、なんとかレベル9に到達し、地下4階でコントロールセンターの守備隊から「死の指輪」を入手。鑑定後、売却してひとりあたり4万2939ゴールドを入手し、「一攫千金」を果たした時には、度重なる冒険の労苦を思い出して、目頭が熱くなったのでした。

 久々の『ウィザードリィ』でしたが、「金属製のカエルの彫像が、前足を左右に振りながら『イェイ』と甲高い声で踊っている」など、海外作品らしいメッセージセンスがやはり大好きです。日本国内でオリジナルとして制作された『ウィザードリィ』も面白いのですが「魔法使いワードナ。営業中」のような、意味不明なメッセージが飛び出してくるゲームの方が、より『ウィザードリィ』らしいのではないかと改めて感じました。

(安藤昌季)

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