30年の時をこえる『アフターバーナーII』の魅力。今なお稼働する貴重な筺体も
マグミクス / 2020年1月4日 19時10分
■またひとつ、『アフターバーナーII』筺体との別れ
1987年に登場した『アフターバーナーII』は、近未来的な大型筐体の存在感や映画『トップガン』の人気にも影響されて爆発的な人気を獲得し、多くの家庭用ゲーム機やパソコンに移植されました。当時から現在まで『アフターバーナーII』をプレイし続けているライターの早川清一朗さんが、同ゲームの魅力について語ります。
* * *
無い、無い、どこにも無い。
2019年のある日、筆者は仕事のついでに立ち寄った秋葉原のゲームセンターで、目を皿のようにして『アフターバーナーII』を探し求めていました。最終的には店員さんに確認し、撤去されたことを知りました。
つい先日までプレイしていたタイトルが撤去されるのは、ゲームセンターでは珍しいことではありません。特に『アフターバーナーII』のようなメジャータイトルはさまざまな家庭用ゲーム機に移植されているので、遊ぶだけなら不自由することはありません。
それでも筆者は、ゲームセンターの喧騒の中でプレイする『アフターバーナーII』が大好きだったのです。
『アフターバーナーII』は1987年にセガ(現:セガ・インタラクティブ)が発売した体感シューティングゲームです。デザイナーは後に『バーチャファイター』シリーズや『シェンムー』シリーズを手がける鈴木裕氏。もともとは『アフターバーナー』として発売されましたが後にスロットルレバーの追加やゲームバランスの修正を行い、「II」とナンバリングされ完成版として再発売されています。
このタイトルの最大の特徴は、さまざまな種類の筐体にあるでしょう。座席が前後左右に揺れる「ダブルクレイドルタイプ」、左右に揺れる「クレイドルタイプ」、立ってプレイする「アップライトタイプ」、他にも通常の筐体風のものや、1985年にセガから発売されたシューティングゲーム『スペースハリアー』の筐体を流用したものなど、多くの筐体が約30年前からゲームセンターやゲームコーナーをにぎわせていました。
しかしいずれの筐体でも、軽快なBGMに乗りながら、最初は点にしか見えない敵機をロックオンし、ミサイルを放って撃墜する爽快感と、撃墜し損ねて接近してくる敵機から放たれるミサイルをかわすときの緊張感は同じでした。
背後から現れた追跡機は一旦速度を上げ、その後急減速して背後を取ってバルカンで撃墜、敵のミサイルにロックオンされればアフターバーナー(編集部注:作中では、スロットル操作で爆発的な推力を得る機能)を吹かして逃げ切る。この繰り返しに没入している間はいつでも、『アフターバーナーII』と出会った頃の少年時代に戻れる気がしていました。
■『アフターバーナーII』との出会い
プレイステーション2向けに発売された、『セガエイジス2500 Vol.10 アフターバーナーII』 (セガゲームス)。同作はさまざまなハードに移植された
いつ『アフターバーナーII』と出会ったのかは、正確には覚えていません。30年ほど前は街のゲームセンターやゲームコーナーには大抵設置されていた、ありふれたタイトルだったのです。
当時は1プレイ50円のゲームセンターも数多く存在していましたが、『アフターバーナーII』は大抵1プレイ100円、大型の筐体は200円だった記憶があります。大型筐体は他のゲーム基板と比べれば高価だったのが大きな理由でしょう。
筆者が1プレイ100円の『アフターバーナーII』をプレイするときは、多少懐が温かいか、どうしてもやりたいという場合に限られていました。
思い切って座席に座り、100円を投入すると「Get Ready!」と呼びかけられます。これから戦いが始まるという緊張感が押し寄せ、次の瞬間には「SEGA」のロゴが入った空母の甲板から自機が大空に舞い上がっていくのです。
押し寄せる敵機との戦いの末に撃墜され、ゲームオーバーの画面を見た回数は全く覚えていません。撃ち漏らした敵機に至近距離からミサイルを撃ち込まれたり、後ろから来る追跡機やミサイルに気を取られて前から来たミサイルに撃墜されたり、ボーナスステージで地上攻撃に気を取られて崖に激突したりと、色々なやられ方をしていました。
その後10年くらい、『アフターバーナーII』はゲームセンターに行けば簡単に出会えるタイトルでした。とはいえ大型筐体はメンテナンスも難しく、ゲームセンター自体が数を減らし続けるのと同じくして、1台、また1台と姿を消していきました。
それでもまだ、東京・池袋の「ゲームセンター ミカド」や大阪・新世界の「ザリガニ」などでの稼働が確認されているのが、『アフターバーナーII』の根強い人気を示しています。先日、2019年11月17日に惜しくも閉店となった「ウェアハウス川崎」でも稼働しており、閉店直前には別れを惜しむゲーマーたちがひっきりなしにプレイしていました。
筆者もいずれ稼働筐体のもとに再び足を運んで、「Get Ready」の声を聴きたいと思っています。
(C)SEGA
Produced under a license from Northrop Grumman Systems Corporation.
(早川清一朗)
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