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ドラクエキッズはどう『ファイナルファンタジー』にハマっていったのか その魅力とは

マグミクス / 2024年1月11日 21時40分

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■「FF」シリーズにはなにがあったのか?

 生まれて初めて出会ったRPG、それが傑作ともなると、鮮烈な記憶として刻まれることでしょう。私こと筆者にとってのそれは、1986年発売の『ドラゴンクエスト』(以下『ドラクエ』)でした。そのため、翌年発売の『ファイナルファンタジー』(以下『FF』)をプレイすると「やっぱドラクエが原点にして頂点よ」と思ったもので、そのような思いを抱いたキッズは、きっと私だけではないはずです。

 それから幾星霜、ドラクエ脳だった少年は、いまや両作ともにハマる中年です。あのように受け入れられなかった「FF」へ、いつからこのようにどっぷりと浸かっていったのでしょう。そうさせてくれた「FF」シリーズの魅力を振り返ります。

●ターン制ではなく、リアルタイムの戦闘にあたふた!? だが、それがいい……

「ドラクエ」シリーズのバトルシーンは、初期からそのほとんどが一人称視点で、目の前に敵がいるという描写です。一方の「FF」シリーズは、三人称視点で敵とその数、そして味方パーティーが視認できました。

 この視点の違いは、子供のころの自分に対し、「主人公視点として感情移入できのめり込める『ドラクエ』」「主人公らを操作している『FF』」という感情を抱かせました。

 また、戦闘システムは両作とも初期はターン制で、ゆっくりじっくり、「物理攻撃か?」「防御か?」「回復か?」などと熟考したうえで挑めたのは良かったところです。

 この点「FF」シリーズはナンバリングを重ねるごとに、新しい戦闘システムへの意欲的なチャレンジが見られました。

 最初に大きく変わったのは、『FF4』の「アクティブタイムバトルシステム(ATB)」という、準リアルタイムで戦闘が進行するバトルシステムではないでしょうか。今となっては広く見られるシステムで、加えて魔法欄などを表示するとじっくり考えられる「ウエイトモード」という救済があったものの、当時は焦りここに極まれりで、悩んでいる間に敵から攻撃されたり、入力ミスしたりと難儀しました。

 しかし、やがてそのドキドキがまさに冒険の一部、と思えるようになったのを憶えています。

 そして『FF7』になると、システムはおおむね変わらないものの、シーンの演出が劇的に変わり、魔法詠唱者をアップにして臨場感が味わえたり、ド派手な召喚獣のムービーが流れたりと、まさに圧巻でした。

●初期から取り入れられていた「属性」の概念

「炎」や「雷」といった、ファンタジー系RPGではお約束の「属性」も、「FF」シリーズでは初期からゲームシステムに組み込まれていました。特殊な攻撃をしてくる敵に対策ナシで臨めば全滅必至です。しかし、対策をとれば辛勝、もしくは余裕で討伐できるケースが多いのも特徴で、痛感したのは『FF5』の、あの強敵でした。

■「属性」の重要性を教えてくれたのはアイツだ!

「【FFピクセルリマスター】『ファイナルファンタジーV』プロモーショントレーラー」より

 防具や装備品における「属性耐性」の必要性を強く意識したのは、『FF5』の「リバイアサン」戦でした。殺意高めの「タイダルウエイブ」という、プレイヤーパーティ全体を対象とした水属性の攻撃が大ダメージすぎて、発動、即全滅してしまうのです。

 そこで「珊瑚の指輪」の登場です。身に着ければ「水属性吸収」、すなわち通常なら被ダメージとなるところを逆に回復するという、「タイダルウエイブ」使いのモンスターが涙目になるような効果が発動するのです。リバイアサンに対してはまさに万全の対策で、無論、勝つことができました。

 これは後に戦う、事実上の最強武器「ラグナロク」を手に入れるための「しんりゅう」戦でも同じことがいえます。しんりゅうは問答無用で開幕タイダルウエイブを放ってくるので、知らずに挑むと即全滅です。しかし、この「珊瑚の指輪」を身につけることで、勝利の目も見えてくるのでした。

 このように『FF』は、子供にはちょっと難しい部分もありましたが、知恵を巡らせ準備をすれば、強敵をも倒せる達成感を味わわせてくれたものです。

●凝った「成長システム」

「コンピュータRPG」の多くは、「経験値」を積んでレベルアップすると能力が増加したり、呪文やスキルなどを覚えたりという成長システムを踏襲している、といえるでしょう。

「FF」シリーズ初期作も同様でしたが、『FF2』だけはちょっと変わった成長方法で、そもそも「レベル」という概念がありませんでした。

 ではどういうものかというと、たとえば戦闘で「たたかう」を選べば「力」のステータスが上昇し、それを繰り返せば「戦士タイプ」に、魔法を使えば「知性」や「精神」が上昇し「魔法使いタイプ」に成長していくというものです。なかでも厄介なのが「回避率」など、敵から攻撃を受けることで成長するステータスで、なかなか被弾しないことにいら立ちを覚えたものです。味方キャラへの攻撃も可能だったので、戦闘が始まるやいなや敵をほったらかしにして味方どうしで殴り合う、などという光景も繰り広げられました。

 武器などの装備品や魔法にも「熟練度」という、使用することで強化されていくシステムが設定されており、これらが組み合わさって、ほかにない独特のプレイングを実現しています。

 私はこの成長システムがよく分からず、四苦八苦したものです。友人に聞いても「戦闘をしていれば強くなる」という、アドバイスにならない助言しかもらえず、苦労しながらなんとかクリアした思い出があります。

■「ジョブ」というキャラクターの「個性」

「【FFピクセルリマスター】『ファイナルファンタジーIII』プロモーショントレーラー」より

 独特すぎる『FF2』はさておき、その前作である無印『FF』の成長システムで斬新だったのが「ジョブ」の存在です。「戦士」や「白魔術士」「シーフ」などがあり、その上位職にクラスチェンジもできます。

 なかでも私を虜にしたのは、白黒魔法の一部が使え、肉弾戦も対応できる「赤魔術士」でした。この万能感あふれるスキルや赤いグラフィックにうっとりした少年少女も多かったはずです。

『FF3』もこのジョブシステムを継承するもので、なかでも最弱と思われた「たまねぎ剣士」が最終的には最強になるという、少年マンガの主人公的な胸熱展開も魅力でした。

 その後もナンバリングが進むごとに成長システムは進化していき、毎回新しさを提供してくれるのが「FF」です。

『FF7』では「マテリア」を収集し、成長させたり組み合わせたりする楽しさがあり、『FF8』では、敵から魔法を吸い取り、各ステータスに「ジャンクション(付与、装着)」してキャラを強化していくオリジナリティを見せてくれました。このふたつは取り返しのつかないケースもあるため、収集癖のあるプレイヤーにはやりこみ要素ともなったことでしょう。

 また『FF10』の「スフィア盤」も画期的なシステムで、個性あふれる登場人物を自由にキャラメイクできる楽しさがあり、大人になってもまたプレイしたいと思わせてくれます。

* * *

 最初に出会ったRPGが『ドラクエ』だったため先入観で、原点にして頂点だと思いこんでいました。

 しかし、自身が成長すると、『FF』の少し工夫しないと強くなれないシステムがクセになり、キャラデザの天野喜孝先生の世界観が脳内に馴染み、没入感を深めてくれました。今では両作にどっぷりハマるユーザーとなっています。

『ファイナルファンタジー』(ピクセルリマスター):
(C)1987,2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:(C)1987,2007 YOSHITAKA AMANO

『ファイナルファンタジーV』(ピクセルリマスター):
(C)1992, 2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:(C)1992 YOSHITAKA AMANO

『ファイナルファンタジーIII』(ピクセルリマスター):
(C)1990, 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:(C)1990,2006 YOSHITAKA AMANO

(南城与右衛門)

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