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到底シロウトではない! 『仮面ライダー』のおやっさん「立花藤兵衛」は何者なのか

マグミクス / 2024年1月12日 6時10分

到底シロウトではない! 『仮面ライダー』のおやっさん「立花藤兵衛」は何者なのか

■大人になってみてわかる「藤兵衛」のスゴさ

 1971年の放映後、日本を代表する特撮番組となった『仮面ライダー』において、秘密結社「ショッカー」が社会転覆のために送り出す改造人間(怪人)と戦えるのは、基本的には同じショッカーに改造された「仮面ライダー/本郷猛」のみです。

 そうした理由で仮面ライダーは当初、ひとりでショッカーと戦います。そして、人間に戻れない悲しみを背負う本郷を、精神的に支え叱咤激励する人物として第1話から登場しているのが「立花藤兵衛」です。かつて、オートバイを操るオートレーサーだった藤兵衛は、同じくオートレーサーだった本郷のトレーナーでもあり、元々ふたりは信頼関係で結ばれていました。

 藤兵衛は、本郷の最初の理解者として、仮面ライダーの戦いを支援し始めます。続く「2号」「V3」「ライダーマン」「X」「アマゾン」「ストロンガー」に対しても支援を続け、こうして歴代ライダーたちの強い支えとなっていきました。親しみを込めて「おやっさん」と呼ばれている場面がとても印象的な人物です。

 本稿の執筆にあたり、筆者は久しぶりに『仮面ライダー』と『仮面ライダーV3』を観たのですが、大人の視点から眺めると、その立花藤兵衛の超人ぶりに驚かされました。「作品世界がどうしてそうなっているのか」を「ありえない」ではなく、肯定的に考察するのが筆者の執筆スタンスですから、藤兵衛の超人ぶりと、なぜそうなっているのかを考えてみます。

 まず、藤兵衛の凄さは「個人戦闘力」です。演じられている小林昭二(あきじ)さんは『仮面ライダー』放映開始時で41歳、身長164cmの普通体型でした。筋骨隆々でもありませんし、藤兵衛の設定として格闘家でもないはずです。しかし、彼はしばしばショッカー戦闘員を素手で倒します。秘密結社の拷問装置による電撃に耐えたこともあります。

 ショッカー戦闘員も改造人間であり、その能力は常人の数倍と設定されています。『仮面ライダー』の主要人物のひとりで、FBIのエリート捜査員である「滝和也」であれば、特殊な戦闘訓練を受けているのだろうとも考えられますが、藤兵衛は「スナックのマスター」なのです。

 そして、次なる凄さは「トレーナー力」です。藤兵衛は『仮面ライダー』第3話の時点で、本郷に「その体は鍛えれば進化する」と助言していました。なぜ、藤兵衛は改造人間の特性を理解し「もっと速く走れ本郷!」といったように、必殺技の完成系が見えているような発言ができるのでしょうか。そのトレーナー力はショッカーも認めており、大幹部の「イカデビル」は藤兵衛を捕らえて、自身を特訓させることでのパワーアップを目論んだほどでした。

 なお藤兵衛は、その後の歴代ライダーに対しても度々、工事現場の作業用機械などを使って特訓を施し、新必殺技を編み出させています。

■絶対裏がある!? 資金力もとんでもなくスゴい!

BANDAI SPIRITS「S.H.Figuarts ショッカー戦闘員(骨)」 (C)石森プロ・東映

 次に恐るべきは「組織力・資金力」です。「スナックのマスター」あるいは「立花レーシングクラブの会長」であるはずの藤兵衛は、仮面ライダーを支援する少年少女をいつの間にか集め「少年仮面ライダー隊」を結成します。少年仮面ライダー隊の隊長は前出の、FBI捜査官である滝和也で、『仮面ライダーV3』では全国に構成員を持つ組織に成長します。

 そして、藤兵衛は少年少女に「仮面ライダーの帽子」「本部との通信機能を持ったペンダント」「伝書鳩」を渡し、ショッカーや「デストロン」の悪事を通報させています。

 なお、1971年にスマートフォンのような個人が使える通信機器は普及していません。当時の、手持ちで通信機間での通話ができるトランシーバー「ニューラジホーン6」(学研)は定価6500円、現代の価格だと2万8000円くらいになります。藤兵衛は、それよりも小型かつ高性能の無線機を、子供たちへ大量に配っていたということになりますから、恐るべき資金力の持ち主でもあります。伝書鳩も訓練しなければ使い物になりませんが、訓練された鳩を渡しています。

 そもそも、ショッカーなどの秘密結社による悪事が広く認知されてきたから、少年少女は仮面ライダーに協力するようになったのです。つまり、彼ら彼女らの親も秘密結社を認知している可能性が高いはずです。そのような中で、危険行為となる「秘密結社による悪事の通報」を子供たちにさせることができた藤兵衛のカリスマ性は、大変なものがあると思えます。

 そして藤兵衛は『仮面ライダーV3』第2話で、少年仮面ライダー隊本部が「ハサミジャガー」の攻撃で破壊された後、第3話でスポーツ用品店「セントラルスポーツ」の地下に、新たな秘密基地を再建していました。これも、スナックのマスターや、オートレーサーのコーチの資金力で行えることではないと思えます。

 さらに、藤兵衛の凄さは「科学力」にもあります。藤兵衛は本郷と組んで、仮面ライダーが搭乗するバイク「新サイクロン号」の製作に携わります。

 新サイクロン号は「プルトニウム原子炉」が動力源で、ジェットノズルを搭載し、飛行や水中航行も可能という超高性能マシンですから、一見、町のバイク屋のおっさんに見える藤兵衛が、とてつもない技術力を持っていることがうかがえます。設計自体はIQ600の頭脳を誇る本郷が手がけたことも考えられますが、その場合でも超高性能マシンの開発費を無職の本郷が出せるとは思えませんので、藤兵衛が何らかの方法で資金を調達したのでしょう。

 そこから導き出される立花藤兵衛の正体は、「日本政府か国連などの秘密工作員」ではないでしょうか。藤兵衛が諜報機関のエージェントであれば、戦闘員を倒せるほどの格闘術も、改造人間の特性を理解している発言も、高いトレーナー能力も、新サイクロン号の開発に携われる技術力・資金力にも、ひととおり説明がつきます。

 少年仮面ライダー隊を組織し備品や基地を作れる資金力も、FBI捜査官の滝を少年仮面ライダー隊隊長に据えられる権限も、「政府のバックアップがあった」とすれば理解できます。

 また、藤兵衛は劇中で秘密結社による悪事に巻き込まれても、警察や自衛隊を頼ろうとしたことはほぼありません。彼が一般人であれば考えられないことですが、元々、政府が秘密裏に藤兵衛と連携していたからこそ、通報する必要がなかったのでしょう。

 2023年(学研)3月に公開された映画『シン・仮面ライダー』では、日本政府のエージェントが「タチバナ」と名乗ります。本編の藤兵衛も、実は政府のエージェントだったのかもしれません。

(安藤昌季)

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