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苦肉の「アニオリ」が好評だった『聖闘士星矢』 オモチャになった人気キャラも?

マグミクス / 2024年1月13日 14時10分

苦肉の「アニオリ」が好評だった『聖闘士星矢』 オモチャになった人気キャラも?

■『聖闘士星矢』でアニオリが早々に挿入されたワケ

 マンガ原作だけでなく、アニメ作品としても大ヒットだった『聖闘士星矢』は、時には原作にも優るとも劣らないアニメオリジナル展開、いわゆる「アニオリ」が好評でした。

 近年のマンガ原作のアニメ作品では、原作ストーリーを忠実に再現することが一般的です。しかし、『聖闘士星矢』がアニメ放送された時代はまだ原作は原作、アニメはアニメという考え方が主流であり、メインストーリー部分でも違う点が多々ありました。

 特に『聖闘士星矢』ではアニメ化が連載開始から早期に決まったことで、原作ストックが少なかったことも要因です。なにしろコミックス1巻がまだ販売されていない時点でのTVアニメ化決定という、異例の早さでした。

 こうなるとアニメにする際、原作をどうふくらませるかがカギとなります。主人公の星矢がヨットハウスで生活していたり、孤児院の子供たちに原作以上の出番があったりと、アニメでは戦闘面以外でのシーンで物語の尺を補っていました。

 それでも原作の「銀河戦争編」「暗黒聖闘士編」には4か月ほどで追いついてしまいます。この時の原作は、すぐ次のシリーズである「白銀聖闘士編」がようやく終盤を迎えた頃でした。制作時間の誤差を考えれば、ストックは尽きたに等しい状態です。

 そこで差し込まれたのが、アニオリのキャラクターとストーリーだったというわけです。もっとも原作のストックがないことは当初から分かっていたので、最初からここでアニオリを挟んで、原作ストックを回復させるという方針は決まっていたのでしょう。

 ここでのアニオリには、ファンの間でも賛否両論ありました。そのどちらの意見も、間違っていないと思います。しかし一点だけ言えるとすれば、ここのアニオリがなければ『聖闘士星矢』の大ヒットはなかったという事実でしょう。なぜならば、ここでアニオリを挟まなければ、アニメの物語は強引に半年で終わらせなければならなかったからです。

『聖闘士星矢』が半年で終わらなかった最大の理由、それはオモチャの売れ行きが好調だったからでした。この時期に販売されたメインの青銅聖闘士5人の「聖闘士聖衣大系」は後の大ヒットほどではないにしろ、新番組のオモチャとしては一定以上の販売実績があったのです。

 何せ色違いで販売した暗黒聖闘士5人の「聖闘士聖衣大系」も、あっという間に売り切れてしまいました。この商品は限定版だったことで再販もなく、ファンには当時から幻の商品として記憶されています。

 そう考えると、『聖闘士星矢』という作品は、連載すぐにTVアニメ化するという無謀とも思える速さで制作されましたが、時代とのマッチングで考えると絶妙なタイミングだったのかもしれません。そして差し込まれたアニオリは、中継ぎとしてこの窮地を支えたわけです。

 そんなアニオリを盛り上げたアニオリキャラクターたちを、振り返ってみましょう。

■アニオリながらオモチャにまでなったキャラクターたち

『聖闘士星矢』アニメオリジナルのアスガルド編が収録された、『聖闘士星矢 DVD-BOX 4 キグナスBOX』DVD(バンダイビジュアル)

 多くの人がアニオリで一番に思い出すのは「教皇アーレス」ではないでしょうか?

 原作の教皇(当時はシオンの名前はまだなかった)に代わって登場することになったアーレスは、星矢やアテナが倒すべき巨悪として設定されます。これにより聖域(サンクチュアリ)も、様変わりした描写が加えられました。『タイガーマスク』の虎の穴を連想させる無謀な特訓シーンや、世界各地で戦乱を広げる描写などです。

 こうなったのは、当時の原作ではまだ目的が明かされなかった教皇を悪として描けなかったからでした。そこで、教皇が死んで弟のアーレスが代わって聖域を支配したという設定になります。後に原作でも教皇の奇行が描写され始め、それと合流して設定をソフトランディングしました。

 このアーレスは違和感なく物語になじみ、その正体が原作同様に双子座のサガという設定でアニメと原作が合流します。また、アーレスはキャラクターとしてインパクトもあったため、放送当時はオモチャのキャンペーンとして販売促進商品にもなりました。

 この逆に現在でも物議をかもす存在となっているのが、氷河の師匠として登場した「水晶聖闘士(クリスタルセイント)」です。

 ドラマチックなキャラクターとして印象深い水晶聖闘士ですが、後に原作で氷河の師匠である水瓶座のカミュが登場したことで、その存在が原作とアニメで大きな違いを生むことになりました。

 今でも、TVアニメでのカミュ初登場の回を観る直前までの「ドキドキ感」はおぼえています。はたしてどう設定するのか?……期待と不安をかかえてTVの前に釘付けでした。結果的にカミュは水晶聖闘士の師匠で、氷河とは初対面という軟着陸でおさめます。「師匠の師匠と言えば師匠も同然」と、現在でも語り草になる展開でした。

 しかし、水晶聖闘士の設定はここでなかったことにされず、後に氷河の師匠として何度か登場の機会があります。一度、設定したことはなかったことにしない。そういったスタッフの心意気を感じる処遇です。

 ちなみに水晶聖闘士の人気はアニオリキャラクターのなかでも高く、2007年に誌上限定商品として「聖闘士聖衣神話」のラインナップで立体化されました。この時、聖衣部分は雪の結晶のオブジェになるデザインとなっています。

 この他にもカシオスの兄という設定の「ドクラテス」や、シャイナの妹分である「ガイスト」と、その配下である「幽霊聖闘士(ゴーストセイント)三羽ガラス」、アーレスの配下「ギガース参謀長」と、その直属の部下である「炎熱聖闘士(えんねつセイント)」といったアニオリキャラクターがこの時期に登場し、次々と退場しました。

 唯一、ギガースの部下である「パエトン参謀」のみ、アーレスの手下として十二宮編後半まで登場します。もちろんアニオリキャラクターは「白銀聖闘士編」以降も登場しますが、あくまでも原作の補填といった役割で、この時期のように中心として活躍することはそれほどありませんでした。

 この後、「十二宮編」が終了した際に、次の「ポセイドン編」までまたしても原作ストックがなかったことから、本格的なアニオリシリーズであった「北欧アスガルド編」が挟まれます。このアスガルド編は現在でも評価が高い人気シリーズで、『聖闘士星矢』のアニオリの優秀さを知らしめた名シリーズと言えるでしょう。

(加々美利治)

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