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1978年放送、富野由悠季監督『無敵鋼人ダイターン3』 本当に子供向けのアニメ?

マグミクス / 2019年12月16日 19時10分

1978年放送、富野由悠季監督『無敵鋼人ダイターン3』 本当に子供向けのアニメ?

■『スーパーロボット大戦』シリーズでは主力の一角に

 富野喜幸(現:富野由悠季)監督が1978年に送り出したアニメ『無敵鋼人ダイターン3』は、少年が主人公である傾向が強かった当時のアニメのなかでは珍しく、大人の男性である「破嵐万丈」が主人公を務めた意欲作でした。『スーパーロボット大戦シリーズ』への参戦により知名度も高い本作について、ライターの早川清一朗さんが語ります。

* * *

 つい先日、いろいろと動画を視聴していると、突然『無敵鋼人ダイターン3』(以下、ダイターン3)のBlu-ray BOXが2019年12月3日(火)に発売されるというCMが流れ始めました。

 まるで歌舞伎役者のようにズバッと見栄を切るダイターン3の雄姿は、筆者が小さいころに目にして以来、決して忘れられないもののひとつです。

『ダイターン3』は1978年から1979年にかけて放送されたロボットアニメで、総監督は『機動戦士ガンダム』(以下、ガンダム)で知られる富野喜幸(現:富野由悠季)氏。

 主人公の破嵐万丈(以下、万丈)は、人類に反旗を翻した火星開拓用のサイボーグ「メガノイド」と戦う青年で、少年を主人公とすることが多かった当時のロボットアニメ作品としては異色の設定でした。万丈は明るくコミカルな性格ですが、メガノイドを開発した破嵐創造博士の次男であり、母親と兄がメガノイド化の実験台として使われ死亡したという暗い過去を持っています。

 ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズにも長く参戦し続けており、主力の一角として活躍する傍ら、ゲームオリジナルの破嵐財閥の党首や謎の富豪としても登場。少年少女が多いチームメンバーたちを、金銭面や精神面で支える大人として、重要なポジションを占めています。シリーズによっては同じ富野監督作品の『無敵超人ザンボット3』(以下、ザンボット3)や、無敵つながりの『無敵ロボ トライダーG7』との夢のコンビネーションアタックを見せてくれるなど、かなり優遇されている作品と言えるでしょう。

 さて、そんな『ダイターン3』ですが、筆者は子供の頃から何度も観ています。ところがどんな作品だったのか思い出そうとすると、なぜかダイターン3の変形シーンや必殺技の「サン・アタック」くらいしか思い出せません。果たして『ダイターン3』はどんな作品だったのか。その時、ちょうど1話が無料配信されていたタイミングだったので、見返してみることにしました。

■第1話から濃密な演出に驚かされる

Blu-ray BOXの発売を記念して、本編の限定無料配信がされた (C)創通・サンライズ

 第1話のタイトルは「出ました! 破嵐 万丈」。すでにかなりの万丈推しです。富野監督は後に『ダイターン3』のスピオンオフ作品として万丈を主人公にした小説を全4作執筆しています、かなりのお気に入りキャラクターなのでしょう。

 冒頭、いきなり水着姿の金髪美女が走っていきます。この女性こそが万丈のパートナーとなるビューティ・タチバナです。これ、本当に子供向けのアニメなんでしょうかね?

 さらに1話を観ていくと、とにかく万丈のキャラクターがド派手に演出されているのが分かります。ステンドグラスをぶち割って登場し、拳銃でメガノイドをばったばったと撃ち倒し、伸びやかなキックで柱の向こうのメガノイドを蹴り倒し、牢屋の鉄格子を素手で捻じ曲げ、走る自動車の上に飛び乗るのです。今改めてじっくりと見直してみると、一瞬たりとも視聴者の目を切らさないような仕掛けが随所に仕込まれているのがよく分かります。往年のスパイアクションの傑作『007』と時代劇の殺陣を融合させ、アニメのアクションとして昇華させていると筆者は感じました。

 万丈を支えるキャラクターも粒ぞろい。ビューティ・タチバナはメガノイドを投げ飛ばし、もうひとりの女性パートナー、三条レイカは万丈の愛車、ダイターン3のコクピットであるマッハアタッカーを無断借用して突っ走ります。とにかくダイターン3登場までの演出の密度が濃く、現代のアニメにもまったく引けを取りません。40年以上前にこれほどの作品を作り上げた富野監督恐るべしと言うほかはないでしょう。

 ただ、残念ながら、40年前の作品だけあって声優の方々の多くが鬼籍に入られています。万丈役の故・鈴置洋孝さんは2006年に、レイカ役の故・井上瑤さんは2003年に、ギャリソン役の故・北村弘一さんは2007年に、万丈の助手を自称する少年トッポ役の故・白石冬美さんは、2019年に亡くなりました。もし御存命であればBlu-ray BOXの発売と共に、対談で当時のお話が聞けたかもしれません。

 40年越しの思い出話ではどんな話が飛び出すのか、それはもう想像の中の世界にしか存在しないものとなってしまったのがただ悲しいです。

(早川清一朗)

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