意外と覚えてないジャンプ黄金期作家の「次回作」 時にはアニメ化された作品も?
マグミクス / 2024年1月22日 17時10分
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■一大ヒット作の後に生まれた作品を見ると作家性が見えてくる?
80年代から90年代まで黄金期と呼ばれる時代を築いた少年誌「週刊少年ジャンプ」は、ヒット作を次々と生み出して多くのファンを獲得しました。しかし、同じ作家によるヒット作は続かないというのも世の常なのかもしれません。
プロ野球などで「2年目のジンクス」と言われるように、「成功した後は失敗する」というのはよくあるケースです。もちろん、そんなジンクスをモノともせずに、2作続けてヒットすることはないわけではありません。『Dr.スランプ』に続いて、それ以上のヒットとなった鳥山明先生の『ドラゴンボール』という例もあります。
しかし、2本続けてヒット作を生み出すのは、1流のマンガ家でも至難の業でしょう。そこで過去の「ジャンプ」作品のヒット作の後に連載されたマンガを見てみようと思います。
デビュー作『ウイングマン』がいきなり大ヒットだった桂正和先生が次に連載したのが、『超機動員ヴァンダー』でした。この作品は前作と同じく桂先生の特撮ヒーロー好きが根底にある作品で、当時の人気特撮番組「宇宙刑事」シリーズを独自解釈した作品と言えるかもしれません。
しかし人気面では苦戦して、同作は5か月ほどで連載終了となりました。その後の連載作品も苦戦しましたが、ラブコメをメインに作風をシフトすると起死回生のヒット作品を連発します。それがアニメにもなった『電影少女』、『D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~』などです。もともと桂先生の描く女の子は定評があり、それを活かした作品が時代にマッチしたと言えるでしょう。
マンガだけでなく、アニメでより大きなヒットを生み出したのが『聖闘士星矢』です。その作者である車田正美先生は、それ以前にもアニメにこそなりませんでしたが、マンガとしてヒット作となった『リングにかけろ』を描いていました(その後、2004年にTVアニメ化されます)。
そして、『聖闘士星矢』の次にジャンプで連載されたのが『SILENT KNIGHT翔』です。前作同様に、プロテクターを装着したキャラ同士が戦うアクションマンガでした。しかし、人気が高まることもなく13週という短期連載で終了します。
この作品が、車田先生が長年連載してきた「週刊少年ジャンプ」の最後の作品になりました。これ以降、集英社系列の青年誌となる「スーパージャンプ」へと活躍の場を移します。
しかし、車田先生の少年誌への挑戦はここで終わりになったワケではありません。角川書店が創刊した月刊少年誌『月刊少年エース』で、『B’T-X』の連載を開始します。この『B’T-X』は、創刊号の表紙でセンターを飾るほどの力の入れ込みようでした。
この『B’T-X』は看板作品として高い人気を誇り、1年ほどでTVアニメ化されます。TVでは完結まで至りませんでしたが、OVAも製作されてアニメオリジナルの結末を迎えました。
『B’T-X』もプロテクターをまとったキャラ同士の戦いが繰り広げられており、『聖闘士星矢』や『SILENT KNIGHT翔』の系列の作品と言えるかもしれません。そういう点で『SILENT KNIGHT翔』のリベンジを、『B’T-X』で果たしたと言えるでしょう。
■一度連載を終了しながらも復活した作品があった
アニメになった人気マンガといえば、4度もTVアニメが製作された『キャプテン翼』を忘れてはいけません。その人気は日本国内だけにとどまらず、世界的にもヒットした作品です。
その作者である高橋陽一先生は、『キャプテン翼』がデビュー作でした。そして、この作品によって日本のサッカー事情が大きく動き出したことはよく知られています。しかし、高橋先生はサッカーに限らず、さまざまなスポーツに造詣が深い人でした。
そのためか、『キャプテン翼』終了後には、さまざまなジャンルのスポーツマンガを手がけています。それが、『翔の伝説』(テニス)、『エース!』(野球)、『CHIBI』(ボクシング)などでした。なかには1年以上の連載作品もありますが、いずれも大きなヒットとはならずに連載終了を迎えています。
しかし、Jリーグ発足に伴うサッカー人気の高まりによって『キャプテン翼』特別編を短期集中連載で描いたところ好評を得て、ふたたび『キャプテン翼 ワールドユース編』という形で連載を再開しました。この時、2度目のTVアニメ化も果たします。
その後、『-蹴球伝-フィールドの狼 FW陣!』や、「週刊少年チャンピオン」で連載開始した『ハングリーハート WILD STRIKER』など、サッカーマンガを中心に活躍するようになり、第一人者としての地位を不動のものとしました。
高橋先生は現在も、ライフワークとして『キャプテン翼』を描き続けています。しかも、連載終了後も物語を最終回まで残すことを宣言し、「ネーム(絵コンテ)」などの形で制作を続ける意向を示しました。。
同じく現在も連載が再開して継続中で、2024年には「完璧超人始祖編」がTVアニメ化されることが発表されたのが、ゆでたまご先生の『キン肉マン』です。
『キン肉マン』はもともとギャグマンガとしてスタートしながらも、格闘技ものへと転身して一大ヒット作品となりました。それゆえに、ゆでたまご先生の得意ジャンルは格闘技ものというイメージがありますが、『キン肉マン』以降の作品を並べていくとそうでもないことがわかるでしょう。
『キン肉マン』後の連載作品だった『ゆうれい小僧がやってきた!』は妖怪もの、その次回作『SCRAP三太夫』はロボットの刑事ものという、別ジャンルの作品になっています。この他にも「少年エース」で連載された『グルマンくん』はグルメマンガと、その引き出しの多さを示してくれました。
この後、「週刊プレイボーイ」で最初は短期連載だった『キン肉マン』の続編『キン肉マンII世』が好評となります。そして、本家を超える14年におよぶ長期作品となりました。この後、異例の新シリーズとして2011年から『キン肉マン』が連載復活したわけです。
この『キン肉マン』がかつてのファンたちを呼び戻し、新たにアニメ化までされるまで盛り上がったわけですから、創作を超えたドラマチックな展開と言わざるを得ません。昨今、数十年前のマンガが新たにTVアニメとしてリメイクされることが多いのですが、『キン肉マン』のような新作続編のアニメ化は異例と言えるでしょう。
こうしてヒット作の陰に隠された作品群を思い出すと、もう一度読み直してみようと思うから不思議なものです。
(加々美利治)
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