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半世紀前の1974年を支配? アニメ・特撮にも多大な影響を与えた「2大ブーム」とは

マグミクス / 2024年1月21日 6時10分

半世紀前の1974年を支配? アニメ・特撮にも多大な影響を与えた「2大ブーム」とは

■「1999年7の月」という予言に恐怖した1974年の出来事

 現在から半世紀前の1974年には、子供向け作品にも大きな影響を与えた出来事がふたつありました。当時、日本中から注目された2大ブームについて振り返ってみましょう。

 オイルショックよる品不足に価格高騰や、コインロッカーベイビーといった暗いニュースが流れていたのが前年の1973年の出来事でした。その影響か、あまり明るい話題がなかったのが50年前の1974年です。もっとも子供だった筆者は、後に振り返った時にそう思った程度で、実際は普通に過ごしていました。

 こんな時はどうも暗いものが好まれるのか、小松左京先生の書いた小説『日本沈没』が前年にベストセラーとなり、映画化されて大ヒットとなっています。この年は関東大震災から50年という節目の年でしたから、災害に対して興味をひくには絶好のタイミングだったのでしょう。このヒットを受けて、『日本沈没』は1974年にはTVドラマ化されました。

 この作品に続いて映画化されたのが、『ノストラダムスの大予言』です。パニック映画として製作され、前年にベストセラーとなっていた五島勉さんが書いた『ノストラダムスの大予言』を原作としていました。

 こういった「世紀末思想」や「終末論」が流行したことが、少なからず子供向け番組にもその陰を落とします。影響下にあった作品で思い出す作品と言えば、やはりTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』とTV特撮『SFドラマ 猿の軍団』でしょうか。奇しくも、裏番組としてぶつかることになりました。

 ともに「人類の絶滅」というテーマを持った作品で、子供心に危機感を覚える部分だったと思います。『宇宙戦艦ヤマト』の舞台が2199年というのも、ノストラダムスの1999年からの影響だと子供にもわかる仕掛けでした。

 この他にも、アニメ映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』で登場する謎の預言者も、影響下にあったのかもしれません。また、TV特撮『仮面ライダーX』には第13話で「ゴッドラダムスの大予言!」というエピソードもあり、当時の預言者という存在の影響の大きさが分かります。

 TV特撮『ウルトラマンレオ』の主題歌「ウルトラマンレオ」でも、「何かの予言が当たる時、何かが終わりを告げる時」と歌詞に使われており、終末論が1974年の子供番組に与えた影響は少なくないでしょう。

 もっとも、1974年は終末論といった暗い話題だけではありませんでした。前述の『ウルトラマンレオ』に影響を与えた、もうひとつのブームがあったからです。

■独特の「怪鳥音」が脳裏に残るもうひとつのブーム

50周年でリバイバルされた『燃えよドラゴン 4Kリマスター版』ポスタービジュアル (C)1973, 1998 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

 もうひとつのブームは、ブルース・リーによる「カンフーブーム」です。日本では1973年12月に公開された映画『燃えよドラゴン』が火付け役となり、それ以前から話題になっていたブルース・リーの知名度を一気に押し上げました。この時、ブルース・リーがすでに故人だったことが、逆に伝説化することに一役買います。

 当時のブルース・リーは、間違いなくヒーローでした。それゆえに子供向けであるヒーロー番組の影響は、前述の終末論以上の広がりを見せます。このブルース・リーをモチーフにした主人公が、TVアニメ『破裏拳ポリマー』の鎧武士(よろいたけし)でした。

 主人公を演じた曽我部和恭(当時は曽我部和行)さんには、スタッフからブルース・リー風の演技を注文されたそうです。そのため、曽我部さんは何度もブルース・リーの映画に足を運びました。印象的な劇中でのポリマーの独特の「怪鳥音」はその賜物というわけです。ちなみに怪鳥音とは、ブルース・リーの独特の掛け声のことを指します。

 この怪鳥音といえば、個人的にはTV特撮『電人ザボーガー』の大門豊を思い出します。筆者の学校では一大ブームで、男の子は大門の怪鳥音はもちろん、戦う時のブルース・リーを思わせる表情も真似したくらいです。

 この大門を演じていたのが、前年に放送されていたTV特撮『仮面ライダーV3』で結城丈二/ライダーマン役だった山口暁(後に山口豪久へ改名)さんでした。当時の子供たちは、この大門の演技ですっかりイメージを上書きされたことと思います。

 もちろん主役はタイトル通り、ロボットであるザボーガーなのですが、大門自身も「飛竜三段蹴り」という必殺技を持っており、敵のサイボーグと戦う場面が多いことから子供人気が高いヒーローでした。

 これらに、前述の『ウルトラマンレオ』が加わるわけです。こういったカンフーブームに影響された子供番組が多いのは、やはり明るくてヒーロー向けの素材だからでしょう。企画で終わりましたが、『仮面ライダーアマゾン』の仮称には「ドラゴンライダー」というものがあります。

 放映された『仮面ライダーアマゾン』のアマゾンライダーはマダラオオトカゲという架空の動物がモチーフですが、爬虫類ということで少なからず影響を与えているでしょう。劇中のアマゾンの戦い方は野生児のそれですが、ブルース・リーとも共通点がいくつかあります。

 そう考えると、「ウルトラシリーズ」と「仮面ライダーシリーズ」という2大特撮シリーズに影響を与えたわけですから、ブルース・リーによるカンフーブームがいかに大きなものだったかわかるでしょう。

 最後に忘れてはいけないヒーローがもうひとりいます。「和製ドラゴン」と呼ばれた倉田保昭さんです。倉田さんが主演を務めたドラマ『闘え!ドラゴン』は、特撮番組ではありませんでしたが、原作・脚本はあの伊上勝さんで子供には大人気だったTV番組のひとつでした。

 さらに倉田さんはドラマ『バーディー大作戦』でも、後半からドラゴンという役でレギュラー出演します。そして後番組となる『Gメン75』にもレギュラー出演し、「香港カラテロケシリーズ」では主導的な活躍を見せて人気となりました。

 いつの時代も流行したものはありますが、半世紀前の1974年は陰の終末論と、陽のカンフーブームが特に印象的な1年だったと思います。

(加々美利治)

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