絶対に敵キャラ（笑） 安定の「悪役」声優3選「善良なキャラだと逆に違和感」

■悪役でも変態キャラでもない綺麗な子安武人さん……だと？

　この声優さんが演じていたらだいたい悪役……。

　アニメファンのあいだでは、そんな声優にまつわるジンクスがたびたびささやかれています。あまりに悪役のイメージが強い声優の場合には、100％善良なキャラクターを演じているにもかかわらず、「実は悪いヤツなんじゃないか？」と疑われてしまうことすらあるようです。

　たとえば低音を得意とするレジェンド声優の速水奨さんは、その代表格に数えられるでしょう。デビュー当初は『超時空要塞マクロス』のマクシミリアン・ジーナス、『超時空世紀オーガス』の桂木桂をはじめとした二枚目キャラの印象が強かったものの、今では『BLEACH』の藍染惣右介や『戦国BASARA』の明智光秀など、落ち着いた雰囲気をただよわせる「悪のカリスマ」的なキャラクターの演技に定評があります。

　そのイメージが強いせいか、現在放送中のアニメ『ポケットモンスター』で速水さんの演じる敵キャラクターが登場した際には、「圧倒的なラスボス感……！」「もはや勝てる気がしない」などと話題を集めました。

　また速水さんはアニメだけに留まらず、2019年に放送された『仮面ライダーゼロワン』でも「仮面ライダーアークゼロ」なる強敵の声を務めています。驚異的な強さや禍々しい見た目、相手に変身の時間を与えない残虐性などの要素がそろっているキャラクターでしたが、そこに速水さんの低音ボイスが加わったことで、さらに絶望感が増したことはいうまでもありません。

　同じように、イケメンキャラのイメージから一転して、立派な悪役声優のひとりとなっているのが子安武人さんです。『ジョジョの奇妙な冒険』のディオ（DIO）や『銀魂』の高杉晋助、『ソードアート・オンライン』の須郷伸之（オベイロン）など、カリスマ性のある悪役からひたすらヤバい悪役まで、さまざまなタイプを演じてきました。ヴィラン役がすっかり板についているらしく、インタビューなどでは、悪役の方が感情を理解しやすいといった発言を漏らしているほどです。

　だからこそたまに善良なキャラクターを演じていても、「黒幕じゃないのか」「本当は変態なんじゃないのか」などと疑われる始末であり、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で100％善良なキャラクターを演じた際には、「こんなに明るくて情に厚い子安さんを初めて見た」「むしろ悪役じゃないことに違和感（笑）」「珍しく良心しかない子安武人」などとネット上で話題となりました。

　そして今最もアツい悪役声優といえば、代表作に『テニスの王子様』の跡部景吾役などを持つ諏訪部順一さんではないでしょうか。諏訪部さんは近年の話題作に悪役として数多く出演しており、一例としては『呪術廻戦』の両面宿儺や『鬼滅の刃』の響凱、『葬送のフリーレン』のリュグナーなどが挙げられます。さらに『BLEACH 千年血戦篇』では、かねてより諏訪部さんが演じてきた作中屈指の人気キャラ、グリムジョー・ジャガージャックが再登場し、大きな注目を集めました。

　ちなみに諏訪部さんは『Go！プリンセスプリキュア』の劇場版でも、プリキュアと敵対するオリジナルキャラクター「ウォープ」を演じていますが、2023年2月には自身のX（旧：Twitter）にて「キュアダンディやキュアジェントルの出番が来たらぜひお声がけください」「たまには俺にも、みんなの夢とか希望とか平和とか、そういうキラキラしたもんを守らせてくれぇいッ！」と胸中をつづったことがあります。

　速水奨さん、子安武人さん、諏訪部順一さん……。彼らに悪役を演じさせたら、右に出る者はいないかもしれません。

（ハララ書房）