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ベジータの「貴様」にロケット団の「やな感じー」…実は台本になかった声優たちの名アドリブ

マグミクス / 2024年1月26日 17時50分

ベジータの「貴様」にロケット団の「やな感じー」…実は台本になかった声優たちの名アドリブ

■あの有名なセリフも実は「偶然の産物」だった?

「オッス、オラ悟空!」は今でこそ『ドラゴンボール』を象徴するセリフとして有名ですが、もともと原作には一切登場していません。実は悟空役を演じる野沢雅子さんのアドリブによって生まれたものだったのです。

 このようにアニメ界隈では、声優のアドリブによって「原作にはないセリフ」が数多く定番化してきました。実際に声優たちがどんな「名ゼリフ」を生み出してきたのか、振り返ってみましょう。

 たとえばTVアニメ『ちびまる子ちゃん』では、前半のパートが終わり、CMが流れるところで「後半に続く」というナレーションが入ることでおなじみです。同作ならではのユーモアを感じさせる名フレーズですが、実はこれはアニメスタッフの考案ではなく、キートン山田さんのアドリブで生まれたものでした。

 山田さんが過去にゲスト出演した番組『ノンストップ!』で語ったところによると、あるときのリハーサルで、CMの前に少し隙間があったため「見ている人に分かりやすく」という意図で件(くだん)のセリフを入れたそうです。そしてこれを原作者のさくらももこ先生が「本番でもいってください」と採用したことで、およそ30年にわたってお茶の間を温める名ナレーションが生まれることになりました。

 なお『ちびまる子ちゃん』の収録現場では、さくら先生の意向によりアドリブが禁止されていたというウワサがあります。それが真実であれば、キートン山田さんのアドリブが例外として認められたわけで、それだけ作品の世界観にぴったりなアドリブだったということかもしれません。

 また「ドラゴンボール」シリーズに登場するベジータの「貴様」呼びも、担当声優である堀川りょうさんのアドリブによって生まれました。往年のファンにとってはもはや常識かもしれませんが、当初のベジータは原作で「お前」や「テメエ」などの二人称を多用しており、「貴様」と統一されたのはアニメ版が最初となっています。

 ベジータが登場した当時、アニメが連載に追いつきかけていたこともあって、現場でさえ先の展開が読めていない状況でした。そんななか、堀川さんはベジータが早々に退場すると予想して、安っぽい悪役にならないようにと「貴様」を採用したのだそうです。

■『ポケモン』『エヴァ』etc…名アドリブはほかにも

綾波レイがパッケージに描かれた「新世紀エヴァンゲリオン DVD STANDARD EDITION Vol.2」(キングレコード)

 声優のアドリブによって定番化したセリフは、アニメ『ポケットモンスター』にも存在していました。同作に登場するムサシ、コジロウ、ニャースからなる「ロケット団」は、サトシたちに成敗された際、「やな感じー」といいながら退場するのがお決まりでした。

 実はこの決めゼリフはそれぞれの担当声優である林原めぐみさん、三木眞一郎さん、犬山イヌコさんのアドリブだったそうで、当時脚本を務めていた故・首藤剛志さんのコラムには「それに触発されて映画版のラストのロケット団のセリフ『なんだかとってもいい感じー』がすんなり書けたといってもいい」ともつづられていました(WEBアニメスタイル「シナリオえーだば創作術」より)。

 そしてムサシ役の林原さんといえば、「エヴァンゲリオン」シリーズの綾波レイ役としても知られています。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』第12話で綾波が注文した「にんにくラーメン、チャーシュー抜き」も、実はもともと台本にはなかったセリフでした。本当は別のラーメン名が書かれていたそうですが、林原さんが冗談でいった「にんにくラーメン」がそのまま採用されたそうです。

 ちなみにアドリブとは少し違いますが、映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のラストで惣流・アスカ・ラングレーが碇シンジに放った「気持ち悪い」という発言も、台本にはなかったセリフです。

 初期の台本では「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ」と書かれていたのですが、これに庵野秀明監督が納得できず、撮り直しを行ったといいます。その過程で庵野監督から「窓から知らない男が入ってきて、宮村の寝ているところを見ながら発情していたらどう思うか?」といった主旨の質問を投げかけられ、宮村さんが「気持ち悪い、ですかね」と答えたところ、そのまま最後のセリフに置き換えられることになりました。

 この秘話は2005年に放送された『BSアニメ夜話』で宮村さん自身から明かされており、「前から監督変な人だなと思ってたんですけど、その(質問をされた)瞬間に気持ち悪いと思って……」とも語っています。演者のリアルな感情から出てきた演技だからこそ、今もなお語り継がれる伝説の名ゼリフとなったのではないでしょうか。

 最近のアニメ業界では「原作通りのアニメ化」が何よりも重要視されるようになっており、アドリブの演技を見かける機会は減りつつあります。そんな今だからこそ、レジェンド声優たちによる名アドリブが心を揺さぶってくるのかもしれません。

(ハララ書房)

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