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『フリーレン』アニオリ描写が「良改変」 原作ファンも「深みが増した」と絶賛か

マグミクス / 2024年2月2日 21時10分

『フリーレン』アニオリ描写が「良改変」 原作ファンも「深みが増した」と絶賛か

■アニメ第17話で描かれた「シュタルクの乳搾り」の意味

 マンガを原作としたアニメ作品では、良くも悪くも「アニオリ演出」をめぐる話題が盛り上がることがほとんどです。「原作改変」を蛇蝎(だかつ)のように嫌がるファンがいる一方で、マンガの内容をそのままアニメ化すると、伝わりにくい表現になってしまうことも見受けられます。いつの時代もアニメ関係者の頭を悩ませる問題といえるでしょう。

 そんななか、2023年秋から2クール連続で放送されている『葬送のフリーレン』では、ひとつの理想に近い繊細なアニメオリジナルの描写が光っています。

 同作の原作は、2020年から「週刊少年サンデー」で連載されている山田鐘人先生(原作)、アベツカサ先生(作画)によるファンタジーマンガです。アニメ化の前からさまざまな賞を受賞しており、名作として人気を集めていました。

 マッドハウスが制作を手掛けるアニメ版は、原作にかなり忠実な映像化となっており、設定やストーリーなどもほとんど変わっていません。さらに作中に出てくるセリフがほとんど原作通りであることも話題を呼んでいたほどです。

 しかしその一方で、原作を補完するような気の利いたオリジナル演出が見られるのもアニメ版の特徴といえるでしょう。たとえば印象的だったのは第9話、グラナト伯爵が断頭台のアウラが持つ「服従の天秤」の対抗策について語っていたときの場面です。

「意志の強い者は一時的ではあるが抵抗ができた」と明かすときに、とあるひとりの兵士が描かれていました。この兵士、原作ではどこの誰かも分からない描かれ方だったのですが、アニメでははっきりとグラナト伯爵の死んだ息子であることを示す描写が見受けられます。

グラナト伯爵の息子の結末を明確に描写する必要があったかどうかについては賛否の声があるかもしれませんが、彼が最後までアウラに抵抗した英傑であったことは、原作よりも分かりやすく視聴者に伝わったのではないでしょうか。

 また第17話「じゃあ元気で」においても、さまざまなアニオリ描写が見受けられました。なかでも話題を呼んだのが、Bパートで描かれたシュタルクの乳搾りシーンです。仲間であるフェルンが体調を崩し、療養しているあいだ牛の乳搾りを手伝うシュタルクの姿が描かれていたのですが、原作に当該シーンは登場しません。

 その直前にシュタルクがフェルンの肩を強く押さえてしまい、「やさしくして!」と怒られるという一件があったため、「乳搾りのシーンはシュタルクが力加減を調整できるようになったことを示していたのではないか」とファンのあいだでささやかれているようです。

 ちなみに体調を崩したフェルンを山小屋へ運ぶシーンについても、原作ではおんぶだったところ、アニメではシュタルクがお姫様抱っこをしていました。もしかしたらこれも「やさしくして!」の影響なのかもしれません。

■「あえて描かない」という大胆なアニオリ描写も

フェルンとシュタルクのダンスシーン 画像はアニメ『葬送のフリーレン』第15話の場面カットより (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 ほかにも第15話でフェルンとシュタルクのダンスシーンが長尺でたっぷりと描かれるなど、『葬送のフリーレン』では原作にない描写を追加するアニオリ演出がいくつも見られます。しかしその一方で、原作ではっきりと示されていた描写を、あえて視聴者にゆだねるという真逆の演出もありました。

 物語の序盤、死期が間近に迫ったハイターがフリーレンに「あなたはやはり優しい子です」と声をかける場面でのことです。原作ではこのセリフの直後にフリーレンの顔が正面から描かれ、それまで平然としているように見えた彼女が実は泣いていたのだと発覚します。セリフだけでは登場人物の感情が分からない、マンガならではの演出といえるでしょう。

 それに対してアニメの第2話では、終始フリーレンの表情を一切映さないという大胆な演出によって同じ場面を描いていました。アニメではマンガと違って「声」があるため、表情がなくとも泣いていることは痛いほど伝わってきます。そしてこの改変によって、過剰な演出にならず、フリーレンの心情がすとんと心に落ちてくる印象です。一瞬だけフェルンの後ろ姿を映したのも、心情の描写としてとてもスマートでした。

 同作の監督である斎藤圭一郎氏が以前手掛けたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』もそうでしたが、『葬送のフリーレン』は原作の魅力をそのままに、コマとコマのあいだを補完する技術が卓越しているといえるのではないでしょうか。『ぼっち・ざ・ろっく!』や『葬送のフリーレン』のようなアニメ化がスタンダードになれば、マンガや小説などの「幸せなアニメ化」がもっと増えていくかもしれません。

(ハララ書房)

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