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『ドラクエ2』最初からサマルトリア王子が最強だったら? 意外に「楽勝」とならないワケ

マグミクス / 2024年2月5日 21時50分

『ドラクエ2』最初からサマルトリア王子が最強だったら? 意外に「楽勝」とならないワケ

■「呪いの力」を跳ね返して、3人の仲間が揃う(脳内ストーリー)

 1987年1月26日にファミコンで発売されたRPG『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』をプレイしたことのある人の多くは、最初に仲間になる「サマルトリアの王子」の能力が「中途半端で弱かった」という印象をもっているのではないでしょうか。

 今年2024年1月で発売から37年を迎えたのを記念して、前回の記事では「サマルトリアの王子カインだけを最高の「レベル45」まで育てて、ローレシアの王子アスアとムーンブルクの王女マリアがレベル1で仲間になった」ところまでプレイしました。

 RPGなので、プレイヤーの数だけ物語があります。ストーリーのおさらいを兼ねて、筆者の脳内ストーリーを書いていきます。

* * *

 僕はカイン。サマルトリアの王子で、勇者ロトの子孫だ。ある日、妹の王女リルムが部屋にやってきて「僕が、仲間の足を引っ張る上に、大神官ハーゴンの呪いで倒れた」という夢を見たという。リルムが僕に向けられたハーゴンの呪いに気づき、祓(はら)ってくれたのだけど、弾き飛ばされた呪いを、ローレシアの王子アスアが受けて倒れてしまった。

 リルムによると「ハーゴンの呪いを受けないくらい僕が強くなって、その上でアスアの呪いを自分に戻せば、呪いを打ち破れる」のだという。僕は呪いで仮死状態になったアスアを棺桶に入れて、ひとりで戦い続けた。苦戦の連続で、僕はムーンペタの町で倒れてしまう。気絶した僕を、不思議な子犬が助けてくれた。

 僕は、宿屋に子犬の世話をお願いし、ハーゴンの軍勢に占領されたムーンブルクの城で戦い続け、メタルスライムをも破壊する力を得た。

 一方、ムーンブルクの王女マリアが犬にされていることを知った僕は、出会った人たちからもたらされた情報を頼りに、マリア姫の呪いを解くことに成功。仮死状態になっていたローレシアの王子アスアを、ザオリクの呪文で復活させた。ハーゴンの呪いは僕に戻ろうとしたが、究極の力を得た僕に弾き返されて、消滅する。

 ようやく、ロトの子孫3人がそろい、ハーゴン討伐の旅が始まるんだ。

* * *

 というわけで、サマルトリアの王子カインだけ最高の45レベルで冒険が始まります。無限とも思えるレベル上げで、お金はカンスト、買える装備は最強。敵のラリホーアントが落とす「ふくびきけん」を回し続けて、アイテムが割引で買える「ゴールドカード」も入手しました。

 ローレシアの王子は、はがね装備とメタルスライムのドロップアイテム「てつかぶと」も付けた状態のスタートです。

■「守られる」立場だったサマルトリアの王子が……?

生き返ったローレシア王子に、現時点で最強の装備を与えるため、武器屋へ。気の遠くなるようなレベル上げのおかげで、資金はふんだんにある

 なりきりプレイなので(ゲームを進める上では全く必要ありませんが)、まずはサマルトリアの城に戻り、妹のリルムにロトの子孫が揃ったことを報告、かつ「勇者の泉」で旅立つ前の洗礼を受けねばなりません。

 ムーンペタを出た瞬間「よろいムカデ2体」と遭遇。カインの攻撃は78ダメージを与えて、一撃で倒しますが、アスアの攻撃はわずか9ダメージ。「はがねのつるぎ」があっても、大して攻撃が通りません。というわけで脳内ストーリー。

* * *

 俺はローレシアの王子アスア。リリザの町で倒れ、気が付くとムーンペタの町で幼馴染のカインに介抱されていた。カインは俺に「ザオリク」と「ベホイミ」をかけたという。魔法には詳しくないが、どちらも高等魔法のはずだ。何があった?

 俺が戸惑っていると、カインは道具袋から大切そうに鏡を取りだし、町はずれにいた子犬を照らす。子犬は美しい少女に戻っていった。ムーンブルクの王女マリア。小さいころに何度か会っている。

 俺の父は「ムーンブルク王からの申し出があってな。あの娘はお前の婚約者になる予定だ。大切にするのだぞ」と言っていた。婚約者と言われた少女の顔を忘れるはずもない。

 再開を喜ぶ俺たち。そこでカインが「昔話をしたいけど、時間がない。ムーンブルク城に漂う闇の力は、どんどん強くなっている。毎日魔物を撃退して、食い止めていたけど、ハーゴンが近く、動き出すかもしれない。ついてきて」と話をさえぎった。

 カインは俺を武器屋に連れて行き、鋼の剣、鎧、盾と鉄兜を身に着けさせた。ローレシアやサマルトリアでは扱っていない、強力な武具だ。俺がお礼を言うと「この辺りの魔物は強いから、それでも大丈夫かはわからない。でも、僕が支援するから」と静かに言う。

「カイン、これからどこに行くんだ」

 俺がそう尋ねると「サマルトリアに戻るよ。君が僕の呪いを代わりに受けたことで、妹が君のために今も祈り続けているからね。それに、ロトの子孫は旅立ちの前に、勇者に泉で洗礼を受けないと」と言い、町を出た。

 町の外は魔物の気配がする。スライムが闊歩するローレシアとは比較にならない、強い気配だ。茂みから鎧ムカデが2匹、飛び出してくる。

「アスア、マリア。ここの魔物は手ごわい。援護するけど、油断しないで」
「カイン、馬鹿にするなよ。俺の腕前は知ってるだろ」

 カインとは何度も模擬戦をした仲。その上、こんな立派な武具まで貰っているんだ。遅れを取るわけがない。だが、マリアは首を振った。

「アスア。カインを軽んじてはダメ。彼が手ごわいというなら、手ごわいのよ」

 守るべき人に軽んじられたと思い、俺は現れた鎧ムカデに、鋼の剣を力任せに振りおろした。あまりの硬さに、剣は弾き返される。そして、すぐ横で轟音が鳴り、旋風が俺に吹き付けた。

 それは、カインが振るった鉄の槍だった。もう一体の鎧ムカデは粉々に砕け散っていた。 俺には、カインの槍裁きは全く見えなかった。

* * *

 というわけで、プレイ再開。道中の敵はカインの全体攻撃呪文「ベギラマ」で消滅します。ただ、ファミコン版の『ドラクエ2』は「素早さ」の乱数幅が非常に大きいため、レベル45で、すばやさ140のカインでも先制攻撃ができないことも多々あります。

 『ドラクエ3』以降のシリーズでは「強いキャラクターがひとりいれば、弱いキャラクターを簡単に育成」できるのですが、そのプレイ感覚は全く通用しません。ムーンペタの敵だと、特に防具が「ぬののふく」だけで、レベル1のマリアは、頻繁に回復が必要となります。はがね装備のアスアはレベル1から打たれ強いのですが。

 ローラの門を抜け、リリザの町でマリアに「せいなるナイフ」を買った後、サマルトリア城に戻ります。再び脳内ストーリー。

* * *

「お兄ちゃん……アスア様……よかった」

 妹のリルムが、僕とアスアを引き寄せて、泣きながら抱きしめてきた。
 ずっと祈りをささげていたのだろう。記憶にある元気な妹よりずっと消耗していた。

「ずっと……俺たちの無事を祈っていたのか?」

 リルムの消耗を見て、アスアが心配そうに確かめる。リルムは強く頷いた。
 僕はアスアに、全ての事情を話す。

「そうか……カインにも、リルムにも本当に苦労をかけたみたいだな。すまない」

 アスアは、顔を落としつつ、僕に謝罪した。リルムが首を振る。

「違う。あたしが呪いを上手く祓えなかったから、アスア様を苦しめたの。ごめんなさい」
「呪いを受けたのは、俺が弱かったからだ」

 アスアはきっぱりとそう言った。泣きながら謝る妹に、腰を落として目線を合わせ「君は悪くない」と諭す。

 男らしく、優しい態度だと思う。妹がアスアに好意を寄せるのは、こういうところなのだろう。妹のためにも、アスアを死なせるわけにはいかない。

 そう思っていると、リルムがアスアとマリアの手を取った。

「アスア様、マリア様。お兄……ううん。兄をよろしくお願いします。見違えるように強くなったけど、でも……孤独で、折れそうに見えるの。どうか支えてください」

「全力を尽くすよ」 少し戸惑いつつ、アスアは頷いた。

* * *

 サマルトリア城を出て、勇者の泉に向かいます。ローレシアの王子のレベルが高いと、魔物は逃げてしまうのですが、サマルトリアの王子のレベルは関係ないので、敵が逃げることはなく、経験値稼ぎがはかどります。

 全ての敵は「ベギラマ」一発で掃討できるので、苦戦することは全くなく、そのまま「湖の洞窟」で「ぎんのカギ」も手に入れました。この時点で、アスアのレベルは7、マリアは4です。ムーンペタに戻り、風の塔を目指します。

■攻略は「楽勝」……とはならない?

3人がそろった段階で、「勇者の泉の洞窟」を訪問。本来はサマルトリア王子を仲間にするためのヒントが得られる場所だったが、「脳内ストーリー」補完のためにここで身体を清める

 道中、攻撃力の高いマンドリル4体からの先制攻撃を受け、アスアのHPが58→26、マリアのHPが30→10に減ります。ふたりを「ぼうぎょ」させ、次ターンにベギラマで一掃しました。さすがにカインはほとんどダメージを受けません。

* * *

 マンドリルを一掃した後、僕はふたりに駆け寄った。どちらも重傷だったが、ベホイミですぐに回復する。

「すまない、カイン。俺、足手まといになってるな」

「カイン、ごめんなさい。助けられてばかりで……」

「厳しいだろうけど、君たちの力が、必ず必要になるから。今は、歯を食いしばって、強くなって」

 そう言うしかなかった。数えきれないほど戦ってきた僕と、簡単に同じ事はできない。でも、同時に思う。アスアの剣術、マリアの魔法は僕よりもずっと速く成長していると。そこで、アスアがうなだれて、唇を噛んだ。

「カイン、俺は、本当に役に立てるんだろうか。俺は勇者ロトみたいに、魔法を使えるわけでもない。武術でもカインには全然敵わない」

 そう思うのは無理もないのかもしれない。でも、もやもやした気持ちがこみあげてくる。アスアは才能では僕よりもずっと上なのに。それに……。

「君はマリアの婚約者なのに、戦いを放棄するのか」

 アスアに、そう言いそうになった自分に驚く。それは僕の嫉妬だと感じて、言葉を飲み込んだ。言うべきことを考えて、代わりにこう言った。

「君の不安を許してあげたいけど……ごめん、許せない。僕たちは勇者ロトの子孫なんだ。滅ぼされた国も、ある……」

 破壊されたムーンブルク城。無念の思いを託した亡霊たちの姿が頭をよぎった。

「カイン……わたし、貴方と気持ちを分かち合えるほど、強くなるから、何もかも背負わないで。犬にされて、人間の社会の外にはじき出されたわたしは……孤独の辛さを知っているつもりよ」

 マリアが俺の手を取り、真っ直ぐ目を見る。僕は目線を逸らしたくなりながら、言葉を探した。

「今、ひとりになろうとしているのは、アスアの方だ。自分の弱さを理由にするということは、僕や、マリアがその分を背負うということだよ。アスアがそんな身勝手な人ではないと、僕は信じている」

「アスア、大丈夫。わたしたちがついているわ。一緒に強くなろう?」

「……情けない事を言った。すまない、忘れてくれ。カイン、俺に武術を教えてほしい」

 アスアが「心を切り替えた」のがわかった。それは勇者の資質だと思う。嫉妬で情けないことを考えていたのは僕の方だから、その潔さを見て、恥ずかしくなった。

* * *

 風の塔への道中と塔の攻略は、レベル45のカインがいても「楽勝」感はありません。『ドラクエ2』ではメンバーの並び替えはできないので、現状で守備力が一番高いカインを前に立たせることはできません。アスアやマリアはすぐに深手を負い、1戦闘ごとに回復が必要となります。

 リビングデッド3体と、スモーク2体からの先制攻撃で、初めて「苦戦」しました。スモークのマホトーンでカインの呪文が封じられ、リビングデッドのマヌーサで、カインの攻撃が当たらなくなります。

 アスアの攻撃とマリアの「バギ」の連発で、何とか魔物を倒しました。最高レベルの仲間がいても、序盤で苦戦するのが、なんとも『ドラクエ2』です。

* * *

「俺は、守れたのか? みんなを……!」

 アスアが泣きそうな顔をして、絞り出すような声をあげた。

「君たちの力が、必ず必要になるって、言ったろ」

 そう口に出すと、僕のわだかまりは、少し軽くなった気がした。

* * *

 風の塔で「かぜのマント」を入手し、ムーンペタに戻ります。アスアがレベル10、マリアがレベル6です。ムーンブルク西のほこらを経由して、ドラゴンの角と呼ばれる双子の塔を目指します。

●「かぜのマント」入手時の「ふっかつのじゅもん」
 めおが れへぷ とちざら
 りりわ くあこ げきもは
 もみぺ そぬい きりくす
 げほぼ なへあ じわれぎ
 こうさ がいに くいじつ こさ

■「かぜのマント」1枚で3人一緒に飛べるのはなぜ?

 道中の敵は強くなっていて、カインのベギラマだけでは倒せなくなり、マリアのバギが必要となってきます。カインの最強攻撃呪文は、敵を即死させる「ザラキ」なのですが、『ドラクエ2』では雑魚モンスターでも「呪文が効かない」ことも多く、かつザラキは全体攻撃ではなくて1グループしか攻撃できない問題があります(序盤~中盤なのに、5体以上のモンスターが、3グループで出てきたりします)。

 敵をすぐに倒せないと、マンイーターやメドーサボールに眠らせられたり、かぶとムカデの「痛恨の一撃」や、ハブーンの強い攻撃でマリアが息絶えかねないので、攻撃の優先順位には悩まされます。普通にプレイしていると「にげる」を選びたくなるバランスですが、カインのMPが多いことで、ベギラマを連発できるのが通常プレイとの違いです。通常プレイでは嫌がらせに感じたリビングデッドや、マンドリル+ホイミスライム7匹でも、「にげる」必要はありません。

 とはいえ、アスアの成長は目覚ましく、大抵の敵を一撃で倒せるようになってきました。

 ドラゴンの角の最上階に上り、かぜのマントを装備して対岸に降りると港町ルプガナに行けるのですが、ひとりがマントを装備するだけで3人が飛べるって、どういうことでしょう。脳内解釈してみましょう。

* * *

「カイン、アスア、手を出してください」

 ドラゴンの角の最上階で、マリアが風のマントを身に着けてそう言いだした。僕が右手を差し出すと、ぎゅっと左手で握られて、少し照れる。アスアも照れて戸惑っていると、せかされて、マリアのもう片方の手を握る。

「このマントには風の魔力を感じます。実はもう試しましたが、わたしたちを包んでくれると思います。それで対岸に渡れるはず!」

 マリアの発想には驚く。僕は修行のために、ふたりを風の塔に連れて行ったのだけど、何の使い道もないと思ったマントを、そんな風に使おうと考えていたとは。

「失敗したら死ぬぞ? 泳いで渡るとかさ……」とアスア。

「泳いでいる時に、魔物に襲われたらどうするのです? 伝説の勇者ロトの父君であるオルテガ様くらい強ければなんとかなるでしょうけど、カインはともかくとして、わたしとアスアは確実に死にますよ。わたしを信じてください」

 僕とアスアを交互に見るマリア。

「やろう。もし失敗しても、僕が蘇生させるから安心して」

「マジかよ。確かにカインなら生き残りそうだけどさ……。わかった。やるか!」

 マリアに「早く決断しろ」と目線を向けられて、アスアは慌てて同意した。マリアは上品な物言いをするけれど、行動には勇気があふれていて、やはり勇者ロトの子孫なのだと思う。僕たちは息を合わせて、塔から飛び出した。マントから大きな風の翼が出て、僕たちは魔法の風に包まれ、無事対岸に着けた。

* * *

 港町ルプガナに着いたので、まずは装備を更新します。カインとマリアに「みかわしのふく」、マリアに「まどうしのつえ」も買います。「まよけのすず」も人数分買い、換金用に持ってきた「はがねのたて」を売ると、お金は再びカンスト近くに。

 次回はいよいよ、船で世界を巡ります。

(安藤昌季)

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