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観たら『金カム』の世界観がより楽しめる邦画3選 日露戦争の悲惨さを描く『二百三高地』ほか

マグミクス / 2024年2月8日 18時50分

観たら『金カム』の世界観がより楽しめる邦画3選 日露戦争の悲惨さを描く『二百三高地』ほか

■お互いに影響を与え合ってきたマンガと映画

 マンガと映画は異なる表現媒体ですが、古くからお互いに影響を与え合ってきた関係にあります。SFマンガ『サイボーグ009』などで知られる漫画家・石ノ森章太郎氏は映画を参考にし、大胆なコマ割りを生み出しています。ハリウッド映画『ミクロの決死圏』(1966年)は、手塚治虫氏の『鉄腕アトム』からインスパイアされたことで有名です。

 2024年2月1日に76歳で亡くなった米国の俳優カール・ウェザースさんは、ボクシング映画『ロッキー』(1976年)で主人公ロッキーと戦う絶対王者・アポロを演じて人気を博しました。『ロッキー3』(1982年)ではスランプに陥ったロッキーに、アポロがコーチ役を買って出ます。最大のライバルが最高の仲間になるというこの「黄金則」は、日本の少年マンガに多大な影響を与えています。

 1月22日から実写映画『ゴールデンカムイ』が封切られ、公開3週間で興収19億円をあげるヒット作となっています。『ゴールデンカムイ』の原作者・野田サトル氏も、大変な映画マニアとして知られています。実写版『ゴールデンカムイ』の続編が今から待ち遠しいという人向けに、『ゴールデンカムイ』に通じる世界観を持つ実写映画を紹介します。

主題歌「防人の詩」も大ヒットした『二百三高地』

 開拓時代の北海道を舞台に、「不死身の杉元」と呼ばれる杉元佐一(山崎賢人)や狂気のカリスマ・鶴見中尉(玉木宏)らが金塊をめぐるサバイバルレースを繰り広げる『ゴールデンカムイ』。時代背景をより詳しく知るために、ぜひ観ておきたいのが戦争映画『二百三高地』(1980年)です。

 日本とロシアが戦った日露戦争(1904年~05年)で、最も激戦となったのが中国東北部にある旅順の丘陵地帯「203高地」をめぐる攻防でした。将軍・乃木希典(仲代達矢)率いる日本陸軍は、ロシア軍の要塞を攻め落とそうとしますが、完全防備した上に豊富な火器類を備えたロシア軍に対し、生身での突撃を繰り返すという無謀な戦い方をします。

 この戦いで、日本軍の戦死者は1万5400人、戦傷者数4万4000人、ロシア軍の戦死者は1万6000人、戦傷者数3万人にのぼりました。乃木将軍もふたりの息子を戦場で失くしています。辛うじて勝ったとはいえ、日本側の犠牲も計り知れないものがありました。

 3時間にわたって日露戦争の顛末を描いた『二百三高地』では、温厚な教師だった小賀(あおい輝彦)が、戦場の過酷さに加え、戦友が次々と亡くなったことから、ロシア兵を憎悪する兵士へと変貌する姿がひときわ印象に残ります。戦争には、優しい人間すら別人に変えてしまう恐ろしさがあります。小賀が生きて帰ってくることを待ち続ける、婚約者の佐知(夏目雅子)が不憫でなりません。

 ちなみに『二百三高地』を撮った舛田利雄監督は、劇場アニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)や、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(1978年)も大ヒットさせています。特撮監督には、東宝の怪獣映画で活躍した中野昭慶氏が起用されています。

 また、前半終了時には、さだまさしさんの歌う主題歌「防人の詩」が流れ、映画史上もっとも泣けるインターミッションとなっていました。

■かつて人食い熊と少女が戦う日本映画があった

個性派ぞろいの脱獄囚たちによる暴走劇『網走番外地』

ヒグマと杉元が描かれた実写『ゴールデンカムイ』IMAXビジュアル  (C)野田サトル/集英社  (C)2024 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 男たちのフェロモンむんむんの世界に魅了されている『ゴールデンカムイ』のファンは多いことでしょう。そんな方にお勧めしたいのが、高倉健さんが主演した東映映画『網走番外地』(1965年)です。網走刑務所からの脱獄囚を高倉健さんが演じ、雪山でド派手なアクションを繰り広げる『網走番外地』はヒットシリーズとなり、合計18本も制作されています。

 高倉健さんといえば、寡黙な男のイメージがありますが、石井輝男監督が手がけたこのシリーズではコミカルな一面も披露しています。シリーズ10作目となった『網走番外地 吹雪の斗争』(1967年)では、高倉健さん、梅宮辰夫さん、安藤昇さんの3人が露天風呂で一緒になるサービスショットが用意されていました。元「安藤組」の組長・安藤昇さんと健さんの股間を見比べた梅宮さんが「どっちも立派なもんだ」と感心するセリフには、思わず笑ってしまいます。

 名バイプレイヤーの田中邦衛さん、「八人殺しの鬼虎」を演じた嵐寛寿郎さんら、個性派俳優たちが織り成す漢たちの世界を堪能することができます。『ゴールデンカムイ』の「和風闇鍋ウエスタン」的面白さを先取りしたシリーズだと言えそうです。

マタギと少女が人喰い熊と戦う『リメインズ』

 最後に紹介するのは、真田広之さんが主演した動物パニック映画『リメインズ 美しき勇者たち』(1990年)です。作家・吉村昭氏の小説『羆嵐』の題材にもなった、「三毛別羆事件」が物語のモチーフです。

 若き日の真田さんがマタギの猟師・鋭治に扮し、熊に家族を殺された幼なじみのユキ(村松美香)と協力し、人喰い熊と戦います。実写版『ゴールデンカムイ』で凄腕のスナイパー・尾形を演じた眞栄田郷敦さんの父親、千葉真一さんの監督作です。

 レオナルド・ディカプリオ主演映画『レヴェナント 蘇えりし者』(2016年)に比べると、当時の日本の映像技術では熊との対決シーンのチープさは否めません。しかし、人間の女性の肉の味を覚えたヒグマと、マタギたちとの知恵比べはスリリングなものがあります。

 北海道出身の野田サトル氏は、古今東西のさまざまな映画から影響を受けたことを公言しています。映画、コミック、小説、実在した人物や事件などが、野田氏の豊かなイマジネーションと融合し、『ゴールデンカムイ』という魅力的な物語が生まれたのではないでしょうか。

※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」が正しい表記

(長野辰次)

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