原作を「置き去り」に? 大幅な原作改変も大成功を収めたアニメ3作品
マグミクス / 2024年2月11日 19時10分
■マンガとアニメが同時進行した作品も
昨今のアニメブームは原作の「忠実な再現」を求める声が大きくなっていますが、なかには原作から大胆に脱線しながらもファンの心をつかみ、高い評価を受けた作品が複数、見受けられます。今回は「改変が功を奏した」アニメ3作品を見ていきましょう。
●『けいおん!』
『けいおん!』は当時ガールズバンドブームなどの社会現象を巻き起こし、日常系アニメの金字塔となった京都アニメーション制作の大ヒット作品です。2007年より「まんがタイムきらら」(芳文社)で連載されていた、かきふらい先生の四コママンガが原作です。
主人公の平沢唯が軽い気持ちで入った廃部寸前の桜高軽音部での3年間の学生生活をゆるふわに描いた第1期は、原作に基づいて作られていましたが、第2期で原作を追い越したために、映画も含め大半がアニメオリジナルのストーリーで構成されました。
アニメでは4コママンガのなかでは描ききれなかったゆるい空気感やキャラクターのかわいらしさが見事に表現されており、同時に唯たちが軽音部で組むことになったバンド「放課後ティータイム」による楽曲として、OP、EDテーマや作中に登場する音楽も展開されました。
「学生っぽさ」を残しながらもクオリティが非常に高い楽曲は、多くのファンにバンドでコピーされるなど、秀逸なメディアミックス戦略も相まってアニメは大成功を収めました。「日常系アニメの最高峰」など、制作を担当した京アニを讃える声も多かったようです。
アニメのオリジナル展開は原作ファンにとっていい意味でも悪い意味でも「期待を裏切る」展開となるため、何かと賛否が生まれるものです。ただし、上述した作品のように成功する事例もあるため、一概に「原作改変=悪」とは限らないのがアニメ版の面白いところではないでしょうか。
■大人の事情って怖い…… 原作にない設定でヒットを狙いにいったアニメ
『赤ずきんチャチャ』DVD-BOX VOL.1 (キングレコード)
●『赤ずきんチャチャ』
1994年にTVアニメ化された『赤ずきんチャチャ』(作:彩花みん)は、月刊誌「りぼん」(集英社)にて1992年から連載された学園ギャグマンガですが、アニメでは大きく設定変更されています。
魔法使いのたまごであるチャチャのほのぼのとした魔法学校での生活を描くアニメ版は、マンガのギャグ要素を残しつつ、「チャチャが変身して敵と戦う」という原作にはないオリジナル展開が加えられ、「マジカルプリンセス」として描かれました。
この設定変更には、当時のスポンサーである玩具メーカーの意向が強く反映されており、女の子向けのおもちゃをヒットさせるための「大人の事情」が垣間見えます。ですが、『美少女戦士セーラームーン』をはじめとする当時の「変身ヒロインブーム」にうまく乗っかれたために、結果として無事に大ヒットをおさめました。
存在しなかった設定が作られるほど大幅に変更された同作ですが、「面白いから大正義。面白ければ良い」などの肯定的な意見も多く、大人の事情での原作改編もギャグとして受け入れられた成功事例といえます。
●『美少女戦士セーラームーン』
「月にかわっておしおきよ!」の決めゼリフでおなじみの『美少女戦士セーラームーン』は、原作とアニメでは展開がまったく異なります。
月刊誌「なかよし」(講談社)での原作初掲載が1991年12月なのに対し、アニメの放送開始は1992年3月です。実は原作の武内直子先生のアイデアを元にほぼ同時進行で製作されていたので、マンガとアニメが異なるストーリーになるのも当たり前の状況でした。
マンガは主人公である月野うさぎ(セーラームーン)の内面が色濃く描かれるなど、シリアスなストーリー展開なのに対し、TVアニメは日常をコミカルに描きながら、毎回登場するゲストキャラに忍び寄る敵たちとの「戦い」がメインとなっています。アニメ版は当時の子供たちでも楽しめる内容だったため、今でも主題歌「ムーンライト伝説」のイントロを聞くだけでセーラー戦士らの変身シーンや、技を披露する姿を思い出す大人も多いのではないでしょうか。
マンガとアニメでまったく異なる展開を見せた同作ですが、アニメが作品のヒットの火付け役となったのはいうまでもなく、作品のスタートから30年経った今でも「周年プロジェクト」が動くなど、世界中で注目され続ける作品となりました。
(LUIS FIELD)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
原作者自ら改変するもファンの反応は? 賛否が巻き起こったアニメ
マグミクス / 2024年7月11日 17時25分
-
ムーン・コズミック・パワー!メイクアップ!「セーラームーンS」変身アイテムと「スパイラルハートムーンロッド」がグッズ化
アニメ!アニメ! / 2024年7月7日 13時0分
-
『レイアース』新作アニメが「原作に忠実」ならばいろいろ気になる「懸念点」とは
マグミクス / 2024年7月6日 6時25分
-
アニメ『美少女戦士セーラームーンS』より「ミラクルシャイニーシリーズ」第三弾のコンパクト・ロッドが商品化!
@Press / 2024年6月30日 12時0分
-
「最終話でいきなり?」メインキャラが「死屍累々」の衝撃懐かしアニメ
マグミクス / 2024年6月24日 17時25分
ランキング
-
1【『踊る大捜査線』続編計画】柳葉敏郎主演スピンオフに織田裕二と深津絵里がいなかった理由 織田裕二には“心境の変化”も
NEWSポストセブン / 2024年7月21日 6時59分
-
2「実際にあった事件だし」フジ『27時間テレビ』“不適切”発言続出に視聴者ドン引き
週刊女性PRIME / 2024年7月21日 10時0分
-
3「女性として傷つく部分があったら…」奈緒が映画「先生の白い嘘」で誰よりも早く“謝罪”した背景〈多くの性的シーンが〉
文春オンライン / 2024年7月21日 11時0分
-
4【FNS27時間テレビ】「100kmマラソン」優勝芸人、賞金1000万の使い道は“指輪”「プロポーズします」宣言にスタジオ驚き
モデルプレス / 2024年7月21日 14時31分
-
5「27時間テレビ」女子アナ2人がずぶ濡れに「ギャー!」悲鳴響く「放送事故ぐらいの衝撃」「規格外w」
スポニチアネックス / 2024年7月21日 13時3分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください